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「なぜあの新人はすぐに帰るのか」「なぜあの上司は意思決定ができないのか」「なぜあの部署の人は全体最適が考えられないのか」──同じ組織の中でも「わかりあえない人」は数多くいるが、異なる立場(異立場=ITACHIBA)からお互いの意見をぶつけ合うことで、組織の中の問題を見つめ直し、組織を革新させるためのヒントを探る ワークショップが開催された。前半はワールドカフェ形式で問題を提起し、後半はOST(オープン・スペース・テクノロジー)形式で行われたその模様をレポートする。
あなたの身の回りの「不協和音」は何か
ITACHIBA会議とは、異なる立場(異立場)でさまざまな問題を議論する会議。5回目となる今回は「InnovatorsClub ~組織革新は、イノベーターからしか始まらない」と題し、ワールドカフェ形式で問題をあぶり出すとともに、その後、OST(オープン・スペース・テクノロジー)形式で熱い議論を行った。参加者は約30名。業種はITが半分、残りは製造や教育・医療などさまざまな業種につとめる人が参加した。
「ワールドカフェ」形式による議論では(ワールドカフェそのものについては
過去の記事を参考にしてもらいたい)、今回は1グループ4~5名にわかれ、その中で1人がホスト役をつとめた。
最初のテーマは、「あなたが気になる不協和音とは!?」。各テーブルで語られていた内容は異なるが、まとめると以下のような意見が出ていた。
◆ヨコの不協和音
他の事業部が何をやっているのかわからない。組織が独立して個別に数字を追っていて、たとえば研究開発部門は本当に顧客を向いているのか、といった問題がある。
◆タテの不協和音
上司と部下の不協和音、世代間の相違、ものごとを決められない役職者が多い。若手の意見としては、上司と飲みに行くよりも、英会話学校に行くほうが出世できる。
◆相互間の不協和音
社内のコミュニケーション。本人は一生懸命だが伝わらない
◆制度の不協和音
副業を許可しているが、50代で副業してもよいといわれても副業などできない。
◆ツールの不協和音
メール、SNS、LINEなど、スピードは速いが人間関係が作れない。ITが情報の共有のように見えて、分断化を促しているのではないか
各テーブルの議論の中で、もっとも多く話題にされていたのが「タテの不協和音」だ。上司と部下で意識に違いがあったり、世代間でも価値観が異なるといった問題点を指摘する声が多かった。上司の立場から見れば、うまく伝えられない若手とうつり、若手の立場からみれば、部下の声に耳を傾けないパワハラ上司となっていた。「どうしても溝が埋まらない」(参加者)。
次点で多かったとみられるのが、ヨコの不協和音だ。他の事業部が何をやっているのかわからず、おのおのの部署が部分最適化を図っている問題点を指摘する声が多かった。
良い組織に必要な「3つのキーワード」
今回のITACHIBA会議で企画・司会をつとめたオープンイノベーターの古杉和美氏はここで、日頃の組織革新の支援において目指している「良い組織に必要な3つのキーワード」があると解説した。
まず大前提にあるのが、組織または、チームがビジョン実現に向かおうとしていること。そのうえで、良い組織を実現する1つ目のキーワードが「一流」であること。ここでいう一流とは3人いたら3人が同じ目的に向かうことをいう。3人がバラバラの目標に向かうと「三流」だとした。次のキーワードは「賢明」。これは組織としての賢さを指す。さまざまな人がいる中で、集合知を生かすためにいかにコラボレーションできるかということもここに含まれるという。
最後の3つ目が「健全」さ。やっていい、やってはいけないという人間関係でのモラルが組織としてどの程度兼ね備わっているのかが重要な要素だと指摘した。
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