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  • 2016/10/21 掲載

講演回数5000回超の達人に聞く「心を動かす話し方」の極意

ドリームインキュベータ 堀紘一会長インタビュー

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世界最高峰のコンサルティンググループ、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の日本代表を務めたのち、日本初のコンサルティング集団、ドリームインキュベータを設立、その後同社を上場にまで導いた堀紘一氏。講演やプレゼンも数多くこなしており、これまで行った数は5000回をゆうに超える。その堀氏が初めて、話し方についての本『心を動かす話し方』を上梓した。そこで堀氏に「話し方の極意」を聞いた。
(聞き手:編集部 松尾慎司、構成:井上健語)

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ドリームインキュベータ
代表取締役会長
堀 紘一 氏

話の中身を考えるためのマトリックス

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──今回、『心を動かす話し方』という本を上梓されましたが、ズバリ話し方の極意とは何でしょうか?

堀氏:いきなり答えから言いますと、話し方の極意とは相手が何を聞きたいかを感じ取る能力のことです。ところが、多くの人は聞き手のことを考えていません。その典型が結婚式のスピーチです。「ご指名ですので・・・」とか「世の中には大切にすべき3つの袋が・・・」といった決まりきった話を聞いても、面白くも何ともない。結婚式には何度も出席していますが、つまらない話を聞かされるたびに、その分、自分の人生が短くなって損をした気分になります。

──本の中では以下のように話の中身をマトリックスで考えることが大事と提唱されています。

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話の中身を精査するマトリックス
(出典:『心を動かす話し方』)

堀氏:話の中身、つまりコンテンツを決めるときは、相手が知っている/知らない、関心がある/ないの4つのマトリックスを意識することが大切です。結婚式のスピーチの例は、相手が知っていて、かつ関心がないことだから最悪です。

 とはいえ、これを見ると相手が知らなくて関心のあることだけを話せばいいと考えてしまうかもしれませんが、それもまた間違いです。それをやったら、相手は消化不良を起こしてしまうのです。相手が消化不良を起こさないよう、相手が知っている話を6割、知らない話を4割くらいにして、カクテルにして飲ませてあげるのがベストです。

中身が主で、話法のような技術は従!

──これまでに、話し方で影響を受けた方はいらっしゃいますか。

堀氏:加藤寛先生、竹村健一先生、日下公人先生、牧野昇先生には、自分の父親と同じくらいに色々なことを教わり、お世話になりました。例えば、「カトカンさん」の愛称で知られる加藤寛先生は、国鉄改革に尽力され、政府税制調査会の会長も務められた方ですが、話し方の名人でもありました。

 例えば、講演でいきなり「皆さんもよくご存じの○○さんという有名な方がいます…」と誰も知らない人の名前を挙げて話し始めるのです。そのあと「○○さんは」と2段階くらい声を小さくする。すると、聴いている全員が、みなが知っていて自分だけは知らない○○さんとはいったいどんな人なのだろうと不安になって耳をそばだてて聞き始める。こんな高等なワザを自由自在に使われる方でした。ユーモアのセンスも抜群でダジャレも上手でしたね。

──相手を惹きつける話し方にはコツがあるということですね。

堀氏:話の面白さには、コンテンツそのものの面白さと話法の面白さの2つがあります。ただ、あくまでコンテンツが主で、話法のような技術は従です。これは絶対に間違えてはいけません。面白いコンテンツによい技術が付いたとき、最大の効果を発揮するのです。

 また、話しているときは、常に「次に何を話すか」を考えていなければなりません。エンディングを決めて、いま話している話題からエンディングまで、どのようにつなげていくかを考えていなければならないのです。

【次ページ】プレゼン下手の日本人が世界で戦う方法

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