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  • 2016/10/26

CADユーザーのコミュニティは「地方」にこそ必要だ

オートデスクユーザー会 @augijp リブートの意味

地方の多くは製造、土木、建築といった産業に支えられているといっても過言ではない。こうした産業に欠かせないのが、CADをはじめとした設計ツールだ。図面作成ソフトウェアの「AutoCAD」で知られるオートデスクのユーザー会「AUGI(Autodesk Users Group International)」の日本支部にあたる「AUGIjp」は長らく休眠状態に入っていたが、2016年に入って再び活動を開始。5月に東京、続いて9月に富山でワークショップを開催している。今回はAUGIjp初めての取り組み「地方ワークショップ」イベントの様子を紹介しよう。

フリーライター 重森 大

フリーライター 重森 大

メインの活動フィールドはエンタープライズ向けITだが、ケータイからADCまでネットワークにつながるものならなんでも好きなITライター。現場を見ることにこだわり、毎年100件近い導入事例取材を行ってきた。地方創生の機運とともにITを使って地方を元気にするための活動を実践、これまでの人脈をたどって各地への取材を敢行中。モットーは、自分のアシで現場に行き、相手のフィールドで話を聞くこと。相棒はアメリカンなキャンピングカー。

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数年の休眠を経て再開したオートデスクユーザー会が、富山で初の地方ワークショップを開催


オートデスクユーザー会が初の地方ワークショップ開催

 オートデスク製品の中で真っ先に思い浮かぶのが図面作成ソフトウェアのAutoCADだろう。しかし、実際には3次元機械設計や都市/造成計画、CG/アニメーションツールなど多様な製品を展開している。これは3Dモデリングの応用範囲が広がり、それぞれの分野に特化した製品を投入してきた結果だ。

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AUGIjp
副会長
星康久 氏
 多岐に渡る各製品の活用方法を共有したいとなれば、やはりユーザー同士のコミュニティに勝るものはない。オートデスク社の後押しもあり、今回AUGIjpはリブートを果たした。ワークショップ開催の舞台として選ばれたのは富山だ。AUGIjpとして地方でワークショップを開催するのは初めてだった。AUGIjp副会長 星 康久氏は次のように語る。

「AUGIと名前がつく前に一度、山形でワークショップをやったことがあります。それ以来の地方ワークショップとなりました。AUGIjpが休眠している間に私自身が富山に引っ越したため、いつかリブートしたら富山でワークショップをやりたいねという話をしていました」(星氏)

AutoCADの基本的な機能を解説

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AutoCAD関連で多くの著書を手がける芳賀 百合氏
 ワークショップは、AUGIjp 会長の星野 和実氏の挨拶から始まった。地方では初めてのワークショップということで、全体的に初心者でも楽しめる内容となっていた。

 まずユーザーセッションに登壇したのは、AutoCAD関連で多くの著書も手がけてきた芳賀 百合氏だ。「実務で使える!ダイナミックブロック入門」というセッションでAutoCADの基本的な機能であるダイナミックブロックについて紹介した。

 ダイナミックブロックとは、PowerPointでいうグループ化のような機能で、複数の図形パーツを単一の図形として扱える機能だ。部品集として登録しておけば簡単に呼び出して使えるため、自分の業務で頻繁に使う図形を毎回作成しなくてもよい。

 ダイナミックブロックは変形が可能で、設定次第では変形後のサイズをあらかじめ数パターン登録可能だ。例えばアルミサッシの基本的な定型サイズを事前に登録しておけば、部品集から呼び出してプロパティを選択するだけでそのサイズのアルミサッシを描画できる。集計時にもサイズ別に集計されるので、実際に発注すべき点数をサイズ別に把握できる。ルックアップテーブルで建具記号を指定しておけば、図面内や集計表内に建具記号を表示させることも可能だ。

作図標準の重要性と作り方のポイント

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戸田博之 氏
 続いて戸田博之 氏は「作図標準とカスタマイズ」に関するセッションを展開。戸田氏はまず会場に集まった参加者に「自分の職場に作図標準があるという人はどれくらいいますか」と質問した。挙がった手はまばらで、多くの現場では作図標準が作成、運用されていない様子だった。

「図面を作成する際に品質を保つためのガイドライン、それを明文化したものが作図標準です。作業を迷わず進めるための規則であり、複数人で作業をしても同じ品質を保つためのルールでもあります」(戸田氏)

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 図面自体は、CADアプリケーションの知識さえあれば作れるが、成果物の品質を担保するためには、それぞれの業務に関する深い知識が求められる。作業者ごとにばらつきがある業務知識を均質化して図面の品質を保つのが作図標準を作る大きな目的だが、ルールを増やすことは作業者の自由を縛ることにもつながる。しかし、そのデメリットを大きく上回るメリットがあると戸田氏は力説した。

「新しいルールを作ることは、現場では作業する人たちから喜ばれることではありません。図面内の品質や作業を均質化するということは、その人独自のやり方を制限することでもあるからです。しかし作図標準があれば、設計者にもメリットがあるのです」(戸田氏)

 例えば「共通パーツは必ずブロックを使用して作図する」というルールを作図標準として定めたとする。同じブロックを使えば図面内の品質が均質化し、作業者は毎回同じパーツを作る必要がなくなる。手間が減るだけではなく、作業の進め方の指標にもなり個々人が悩むシーンを減らせるという。

「作図標準があると、自動化ツールも使いやすくなります。同じルールに則って作業している人が多ければ多いほど、自動化ツールの効果は大きくなり、適用範囲も広げられます。結果的に作業者の負担も減るのです」(戸田氏)

 明文化されていないだけで、作図標準のもとになる暗黙のルールには多くの設計現場にすでにあるはずだと戸田氏は語る。特定の部材や建具の色を他の作業者と合わせていたり、ブロックを分解しないようにと先輩から後輩に口頭で指示されていたりといった暗黙のルールを明文化していけば、作図標準は作れるというのだ。

「全体で取り組むのが難しければ、仲のいい数人と部品集やテクニックを共有したりしていけば、作業が楽になっていくはずです」(戸田氏)

【次ページ】なぜAUGIjpを復活させたのか? 地方だからこそ必要なこと

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