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  • 2017/09/21

洋上風力発電とは何か?「福島復興」に挑む「島国・日本」の課題と展望

2015年のCOP21でのパリ協定採択以降、再生可能エネルギーの普及が急速に広まっている。国際エネルギー機関(IEA)は、最新の「Medium-Term Renewable Energy Market Report 2016」で、2015年から2021年までに全世界の再生可能エネルギー発電量が42%増加すると発表した。これは、前年に発表した同レポートの数値に比べて13%高い数値である。なかでも、継続的な成長を続ける風力発電において、洋上化の動きが昨今注目されている。今回は、フロスト&サリバン ジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャの伊藤 祐氏が洋上風力発電の現在、日本が持つポテンシャル、今後の展望について解説する。

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

フロスト&サリバンジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャ。日本、シンガポール、フィリピン、タイ、イギリス等において、ビジネスプロセスリエンジニアリングやERPシステム導入、海外展開戦略策定やM&A実行支援、スマートシティのグローバルトレンド調査等のプロジェクトに携わる。慶應義塾大学にて経済学士取得。

執筆アシスタント:フロスト&サリバン ジャパン 黒崎 花子

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再生可能エネルギーへの期待が高まる中、
日本は「洋上風力発電」のリーダーになれるのだろうか
(© peshkova – Fotolia)



「洋上風力発電」とは 仕組みとメリット

 風力発電は温室効果ガスを発生させない地球に優しい発電方法として、ヨーロッパを始め多くの国々が導入数を増やしている。世界の風力発電の設備容量は2017年に544GW(前年比111.7%、図では四捨五入した後の112%)になると予想されている。この設備容量の拡大は発電市場において2番目に大きい成長幅であり、風力発電が今後電力市場拡大の要になることを示唆する。

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世界の発電設備容量
(出典:ワールドエナジー・アウトルック、フロスト&サリバン)


 風力発電は太陽光発電とは違い、昼夜問わず発電できるのがメリットだ。しかしながら、現在主流である陸上設置型風力発電では、ブレード(回転羽根)を回せるだけの風が確保できる場所が限定的であり、風力発電所や風力発電装置稼動に伴う騒音被害が悩みの種だった。

 そこで注目され始めたのが、洋上風力発電である。洋上風力発電とは、海洋上に風力発電の設備を作り、海の上に設置された風車を風の力によって回転させて発電することを指す。

 洋上風力発電のメリットは2つある。1つは、陸上に比べてより大きな風力を持続的に得られるため、安定的に大きな電力供給が可能になる点、もう1つは洋上であるため、騒音や万が一の際の人的被害リスクが低く、設置場所の確保がしやすい点である。これらのメリットから、風力発電市場において、洋上化の動きが活発になってきている。

洋上風力発電をアグレッシブに進める「島国・イギリス」

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 ヨーロッパ諸国では、2020年までに電力需要の20%を再生可能エネルギーで賄うという目標のもと、風力発電に力を入れている。ヨーロッパ諸国の風力発電による発電供給量は毎年約10%拡大しており、堅調な増加傾向にある。

 特に注目したいのは、ヨーロッパ主要国のうち、風力発電供給量の増加率がドイツに次いで2位となっているイギリスである。

 イギリスが急速に風力発電供給量を伸ばしている背景には、風力発電の洋上化がある。

 イギリスは1996年より洋上風力発電の導入に積極的に取り組んでおり、2008年10月にデンマークを抜いてから5,355MWの発電量を持つ現在に至るまで、洋上風力発電のグローバルリーダーとして君臨している。

 2016年にイギリスが風力発電に投資した金額はおおよそ127億ユーロと、全ヨーロッパの風力発電投資金額の46%にも及ぶ。イギリスは2020年までに国内供給電力の15%を再生可能エネルギーで発電することを目標に掲げており、そのほとんどを洋上風力発電によって賄おうと、洋上化の勢いをさらに加速させている。

 イギリスはこれまでに、技術取得を目的とした「ROUND1」、比較的海岸に近い15の区域で実用化に成功した「ROUND2」、そして海岸から100~300km以上離れた9つの区域で2020年までの完成を目指す「ROUND3」の3つのプロジェクトを進めてきている。

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ヨーロッパ諸国風力発電資産投資
(出典:ウィンド・ヨーロッパ、フロスト&サリバン)


 イギリスが風力発電の洋上化を急速に拡大している背景には、イギリスの3つの特徴がある。

1. 国土面積が狭い
 イギリスの国土面積は、242,500㎢であり、日本よりも国土面積が狭い。加えて、人口密度は世界33位と、アジアを除く先進国の中で最も人口密度が高い国である。陸上風力発電を導入できる土地が、物理的に少なかったことが洋上化につながったのである。

2.長い海岸線
 イギリスは四方を海で囲まれた島国であるため、長い海岸線をもっている。それにより、必然的に経済水域が広くなり、洋上風力発電を設置する場所の確保がしやすいのである。

3.遠浅の海
 洋上風力発電は海洋上に発電装置を設置するため、陸上よりもしっかりと基盤を設置する必要がある。イギリスのように、遠浅の海が広がっていると、海底に直接装置を設置できるため、波や風の影響にも耐えうる洋上風力発電の設置ができる。

 以上3つの理由から、イギリスは最も洋上風力発電に適していると言われており、ヨーロッパ以外の製造メーカーからも熱い視線が注がれている。

【次ページ】「島国・日本」のポテンシャルは? 2つの課題と今後の展望

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