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  • 2019/03/11

5Gは本当に「夢の技術」か? メディアが語らない“暗い未来”の真実

昨年末から世界中を騒がせた中国ファーウェイ(華為技術)のCFO、孟晩舟氏がカナダで拘束され、米国への身柄引き渡しがカナダ司法省によって許可された事件。この問題の根底にあるのは、ファーウェイがリードする5Gネットワークに対する米国の警戒感だ。体感ベースで、現在の4G通信のおよそ100倍になるとされる5Gは、各業界から夢の技術と呼ばれているが、果たして本当のところはどうなのだろうか。また、日本は5G先進国になりえるのだろうか。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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コネクテッドデバイス普及の推移予測
(出典:Ericsson)

5Gネットワークで可能になること

 今年になり米トランプ大統領が「1日も早く6Gネットワークを構築したい」と呟いたことが話題となった。5Gさえまだ普及していない時期に、いまだ存在しない6Gの実現を訴える。そのことに、大統領の技術に対する無知さとともに、5Gネットワークで中国に先を越される悔しさが滲んでいた。

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4Gと5Gを各種の基準で比較
(出典:QORVO, 2017)

 ではそこまで注目される5Gネットワークが実現すれば、どのようなことが可能になるのか。

 まず、4Gによるダウンロード速度は現在、理論上は最大1Gbpsだが、5Gになるとそれが20Gbpsになる。さらに5Gでは低遅延、同時接続増加などにより、体感ベースではおよそ100倍高速化するともいわれる。つまり現在、数分はかかる高画質動画のダウンロードがわずか数秒で行えるようになる。VRではこれまでよりリアルな映像を楽しめるようになるし、IoTなどの大量データを高速にさばくことができるようになり、結果的にさまざまな新しいアプリが生まれる。テレビ会議なども現在より普及し、働き方も変わるかもしれない、とまで言われている。

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5G普及の前に4Gすら普及していないという現実

 では、実際はどれほど進んでいるのか。米国ではベライゾンがサクラメント、ヒューストン、ロサンゼルス、インディアナポリスですでに一部導入しているが、5G通信を行える機器を購入するほか、5Gの回線費用として追加で50~70ドルが必要となる。英国では今年後半にも5Gネットワークが利用可能となるが、実際には英国国民の23%はまだ4Gネットワークにも接続していない。米国でも同様で、26%がブロードバンド通信の恩恵を受けていないという調査結果もある。つまり5Gは「ネット格差」をますます広げる存在になるのは間違いない。

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国別平均接続スピード(2018年)
(出典:Akamai)

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 しかし、現在の5Gに対する期待値そのものが高すぎて、実際に導入されると人々の期待を裏切るものになると予言するのは米アナリストのJ・ゲリー・パーディ氏だ。モバイル、ワイヤレス技術についてのニュースレター、Mobilocityを発行するパーディ氏は、5Gが実際に普及するためにはまずネットワークの構築、そして対応デバイスの普及という手順となり、実際に人々が利用できるようになるのは2021年以降としている。

 実際アップルは5G対応の携帯について「時期尚早」として製造を待っている段階だ。ベライゾン、AT&Tでも「5G対応携帯」というものはまだ存在せず、5Gを使ったWi-Fiホットスポットを提供しているに過ぎない。そしてそこでWi-Fiに繋いでも、宣伝されているような速度の通信が実現できる保証はない。

 さらに5Gネットワークの通信料金になると未定であり、「広く普及すれば料金は下がる」という説明があるのみで、現時点で4Gと比べてどれだけ高いのか、また5Gが普及したときに3Gあるいは4Gで安い通信プランを選択することは可能なのか、などについての答は出ていない。

【次ページ】5Gは自動運転に適用できるのか

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