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- 2020/06/26 掲載
「スーパーシティ」は監視社会なのか? 個人情報保護・住民の合意がカギ
大阪府・市は万博会場の夢洲に構想
大阪市此花区の人工島夢洲(ゆめしま)。夢舞大橋を渡って夢洲に入ると、広大な空き地が目の前に広がる。総面積は約390ヘクタール。コンテナターミナルや物流センターなど一部に施設が建てられているものの、大半は人の背丈近い雑草が生え、初夏の日差しを浴びている。大阪府・市は2019年、内閣府が募集したスーパーシティのアイデアとして、夢洲に空飛ぶ車やドローンなどを活用した未来の街を築く提案をした。対象地域には大阪市北区の再開発区域うめきた2期地区も挙げている。取り組みは自動運転による移動支援、ドローンによる配送、顔認証技術を利用したチケットレスサービスなどを盛り込んだ。
このうち、注目を集めているのが空飛ぶ車。大阪府箕面市のドローンメーカー「エアロジーラボ」で開発中の水素を動力源としたドローンをベースに、プロペラを備えた軽自動車程度の機体が想定されている。経済産業省近畿経済産業局が開発支援の委員会を立ち上げ、大阪府・市も積極的に支援する構えだ。
大阪府・市はこれらの取り組みをうめきた2期地区で試行したうえ、大阪・関西万博で実証実験して夢洲で実施に移す方針。大阪・関西万博でデモ飛行が実現すれば、万博の目玉の1つになると期待している。
大阪府スマートシティ戦略部は「国家戦略特区の公募に応じるかどうかはまだ決まっていないが、選定基準などが公表されれば検討に入りたい」と述べた。
愛知県は中部国際空港島で計画
愛知県は愛知県常滑市の中部国際空港島とその周辺を対象地域とする構想案を提案している。空港島の愛知県国際展示場を中心に国際会議や見本市を誘致するとともに、自動運転やAI、ロボットなどを活用した先端サービスを集約し、イノベーション(技術革新)の創出を図る内容だ。想定するサービスは空港業務や支払いのスマート化、案内や警備へのロボット導入、自動運転による移動支援、水素エネルギーの活用など。その結果、交通渋滞や混雑が緩和され、空港利用者や地域住民の利便性が高まるだけでなく、地球環境にやさしく災害に強い街づくりが可能になるとしている。
愛知県は自動車産業を中心に日本を代表する製造業の集積地となってきた。先端技術の活用でイノベーションを起こし、地域の産業をさらに活気づかせようという狙いも見え隠れする。
愛知県企画課は「中部国際空港とその周辺の構想はあくまで内閣府にアイデアとして提案したものだ。公募に対する県の対応は内閣府から選定基準などが示されてから考えたい」としている。
【次ページ】スーパーシティの狙いは? 政府は夏までに制度設計の方針
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