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  • 2020/06/26

「スーパーシティ」は監視社会なのか? 個人情報保護・住民の合意がカギ

特定区域を国家戦略特区に指定して法規制を緩和し、人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を街づくりに活用するスーパーシティの公募が9月にも始まる。内閣府は公募に手を挙げた地方自治体から5カ所程度選び、未来都市づくりを進める方針。高齢化の進行や人口減少、人手不足など日本社会が抱える課題を先端技術で解決しようとしているわけだが、個人情報の流出や監視社会の到来を招く危険性があると指摘する声が出ている。奈良女子大大学院人間文化総合科学研究科の中山徹教授(都市計画学)は「公募に応じる自治体は個人情報の取り扱いについて住民の同意をしっかりと取る必要がある」と指摘する。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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大阪府・市が国家戦略特区の対象区域に挙げた大阪市北区の再開発エリア「うめきた2期地区」。オフィスや商業施設、ホテルなどが開発される
(写真:筆者撮影)

大阪府・市は万博会場の夢洲に構想

 大阪市此花区の人工島夢洲(ゆめしま)。夢舞大橋を渡って夢洲に入ると、広大な空き地が目の前に広がる。総面積は約390ヘクタール。コンテナターミナルや物流センターなど一部に施設が建てられているものの、大半は人の背丈近い雑草が生え、初夏の日差しを浴びている。

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2025年に予定される大阪・関西万博の会場となる大阪市此花区の夢洲。大阪府・市は夢洲に未来都市を建設する計画を提案した
(写真:筆者撮影)

 大阪府・市は2019年、内閣府が募集したスーパーシティのアイデアとして、夢洲に空飛ぶ車やドローンなどを活用した未来の街を築く提案をした。対象地域には大阪市北区の再開発区域うめきた2期地区も挙げている。取り組みは自動運転による移動支援、ドローンによる配送、顔認証技術を利用したチケットレスサービスなどを盛り込んだ。

 このうち、注目を集めているのが空飛ぶ車。大阪府箕面市のドローンメーカー「エアロジーラボ」で開発中の水素を動力源としたドローンをベースに、プロペラを備えた軽自動車程度の機体が想定されている。経済産業省近畿経済産業局が開発支援の委員会を立ち上げ、大阪府・市も積極的に支援する構えだ。

 大阪府・市はこれらの取り組みをうめきた2期地区で試行したうえ、大阪・関西万博で実証実験して夢洲で実施に移す方針。大阪・関西万博でデモ飛行が実現すれば、万博の目玉の1つになると期待している。

 大阪府スマートシティ戦略部は「国家戦略特区の公募に応じるかどうかはまだ決まっていないが、選定基準などが公表されれば検討に入りたい」と述べた。


愛知県は中部国際空港島で計画

 愛知県は愛知県常滑市の中部国際空港島とその周辺を対象地域とする構想案を提案している。空港島の愛知県国際展示場を中心に国際会議や見本市を誘致するとともに、自動運転やAI、ロボットなどを活用した先端サービスを集約し、イノベーション(技術革新)の創出を図る内容だ。

 想定するサービスは空港業務や支払いのスマート化、案内や警備へのロボット導入、自動運転による移動支援、水素エネルギーの活用など。その結果、交通渋滞や混雑が緩和され、空港利用者や地域住民の利便性が高まるだけでなく、地球環境にやさしく災害に強い街づくりが可能になるとしている。

 愛知県は自動車産業を中心に日本を代表する製造業の集積地となってきた。先端技術の活用でイノベーションを起こし、地域の産業をさらに活気づかせようという狙いも見え隠れする。

 愛知県企画課は「中部国際空港とその周辺の構想はあくまで内閣府にアイデアとして提案したものだ。公募に対する県の対応は内閣府から選定基準などが示されてから考えたい」としている。

【次ページ】スーパーシティの狙いは? 政府は夏までに制度設計の方針

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