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  • 2020/10/06

第1次人工知能(AI)ブームの終焉、なぜAIは「冬の時代」に突入したか

連載:図でわかる3分間AIキソ講座

1956年のダートマス会議によってはじまった第1次人工知能(AI)ブームは、1970年代には終わりを迎えます。人類の知能を再現するという理想と共に始まったAI研究の流行は、どうしてわずか十数年で終わってしまったのでしょうか。

フリーライター 三津村直貴

フリーライター 三津村直貴

合同会社Noteip代表。ライター。米国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後は国内の一部上場企業でIT関連製品の企画・マーケティングなどに従事。退職後はライターとして書籍や記事の執筆、WEBコンテンツの制作に関わっている。人工知能の他に科学・IT・軍事・医療関連のトピックを扱っており、研究機関・大学における研究支援活動も行っている。著書『近未来のコア・テクノロジー(翔泳社)』『図解これだけは知っておきたいAIビジネス入門(成美堂)』、執筆協力『マンガでわかる人工知能(池田書店)』など。

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AIのアルゴリズムである「パーセプロン」が対処できる問題と、対処できない問題とは(後ほど詳しく解説します)


AI研究発展の限界、打ち切られた数々の出資

 1950~60年代の間、米英を中心に人工知能(AI)に対してかなりの投資が行われてきました。ところが、1970年の前後になると、さまざまな投資が打ち切られることになります。

 まず、1966年に米国の調査委員会が「機械翻訳を現実的な期間で実現することは不可能である」という結論を「ピアス勧告」において出しました。2020年のいまでこそ、幅広いジャンルで利用可能な機械翻訳が登場していますが、少なくとも当時「50年待ってくれ」と言われてお金を出し続けることは現実的ではなかったのでしょう。これにより全米研究評議会による出資が打ち切られてしまいます。

 1973年には「AIは組み合せ爆発の問題を解決できない」とした「ライトヒル勧告」によって、英国政府による各大学へのAI研究に関する資金援助が打ち切られます。

 いまでこそ機械学習によって「人間の行動を模倣する」形で組み合せ爆発などの問題にある程度は対応することができますが、探索アルゴリズムを中心に構築されていた当時のAIにとって、組み合わせ爆発は解決不可能な問題だと思われたのです。

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AIの能力の限界が指摘されていく中、研究費用を出資してくれる機関は減少し、AI研究は停滞していった……
(Photo/Getty Images)
 

ニューラルネットワークの壁

 さらに、当時注目を集めていたAIのアルゴリズムである「ニューラルネットワーク」にも限界が指摘されます。当時は「パーセプトロン」と呼ばれる小型のニューラルネットワークが主流でしたが、原理的に「パーセプトロンが線形分離可能な問題しか解けない」という点が明らかになったのです。

 線形分離可能というのは、2つの集合が二次元平面上にある時、それらの集合を1本の直線で分離できる状態のことを指します。たとえば、「庭に散らばるりんごとバナナをきれいに分けろ」と言われた時に、一本の直線を引いて分けることができるという意味です。

 仮に、直線で分けられるのであれば、つまり線形分離可能な問題としてパーセプトロンはりんごとバナナをきれいに分けてみせますが、ぐにゃぐにゃと曲がった線を引かなければいけない場合、つまり線形分離不可能な問題となると分けられません。

 要するに、2つの違いが明らかな場合にはそれを見分けられるものの、少しでも混ざり合っているような部分があると見分けられなくなってしまうのです。

 理想化された数学の世界であれば、それでも多くの問題を解決できるのですが、現実世界で遭遇する問題のほとんどが線形分離不可能な問題です。ここでもまた、AIが現実世界でまったく通用しないという説を強く印象付けることになりました。

 このそれぞれの違いを見つけて「分ける」という能力は、AIにおいて非常に重要なスキルです。たとえば「猫を見分ける」というのも、ほかの動物の違いに何らかの境界を引く作業ですし、チェスや囲碁でも優勢か劣勢か戦況を的確に「分ける」能力が必要になります。

 人の場合は、物を考える時には無意識の内に色々なものをいくつかに分けています。極端な話、「どっちにしようか?」と思った瞬間、それは分類作業なのです。このような分類作業が、直線で分けられるような簡単な課題でしかできないのでは話になりません。

【次ページ】AI研究停滞の時代「AIの冬」とは

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