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  • 2020/11/13

「高度AI人材」の最大勢力はどこの国? AI研究者“上位20%”の経歴から見えたこと

人工知能(AI)の最先端研究が行われている米国。GAFAを始めとするテック企業、大学、研究機関などが世界のAI研究をリードしている。しかし、そこで研究をしているのは米国人ばかりではない。ポールソン研究所のシンクタンク「マクロポロ」は、世界の高度AI人材の出身国や経歴に関する調査を行った。

ITジャーナリスト 牧野武文

ITジャーナリスト 牧野武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

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高度なAI人材の経歴を調査して見えてきたこととは?
(Photo/Getty Images)


AI研究最先端、米国機関の論文で気づく“あること”

 人工知能(AI)研究の最先端が米国であるということに異論を挟む人はいないだろう。GAFAを始めとするテック企業、スタンフォード大学やカーネギーメロン大学を始めとする研究機関で、世界最先端の研究開発が行われている。その成果の多くは、論文にまとめられ、ネットで公開される。そのため、日本にいても、最新の研究をほとんどタイムラグなしで知ることができる。

 エンジニアや学生の中には、AI関係の論文を読むことを趣味のようにしている人も多い。自分の研究や開発に必要があって読む人ばかりでなく、高速で進化する知の世界を知ることはエンターテインメントとしても成立するのだ。ネットを検索してみれば、「2020年面白かった人工知能関係の論文」「おすすめの機械学習関連論文50選」などというエントリーがいくつも見つかる。


 このような論文をいくつか読んでみると、あることに気づく。それは、論文の著者は複数名であることが多いが、5人いれば、1人か2人はLiuやTangやXuといった中国人名であることだ。米国の機関の研究者が中心になって書いた論文でも、中国人研究者が参加していることが多い印象を受ける。この“気づき”に対しての回答となる調査プロジェクトが行われた。

「高度AI人材」はどこの国で学び、どこの国で活動している?

 シカゴ市のポールソン研究所のシンクタンク「マクロポロ」は「The Global AI Talent Tracker」という調査を行った。これは、米国に限らず、世界のAI分野でのトップクラス人材がどこの国で教育を受け、どこの国で活動しているかを追跡したものだ。

 具体的な調査方法としては、機械学習分野での国際的なカンファレンスNeurIPS(Neural Information Processing Systems)に提出された論文の著者を追跡調査した。

 2019年12月に開催されたNeurIPSでは、1万5920人の著者が6614本の論文を提出し、そのうちの21.6%が受理された。マクロポロは、この受理された論文の著者の出身大学、大学院、勤務企業などを追跡調査した。つまり、AI研究者の上位20%にあたる“高度AI人材”の出身地と活動地を調査したことになる。

 高度AI人材がどこの国の機関で研究活動をしているかを調べると、想像通り、米国が59%と圧倒的に多い。以下、中国11%、欧州10%と続く。ところが、同じ高度AI人材の卒業(学部)大学を調べると、様相が大きく変わり、中国29%、米国20%、欧州18%、インド8%となる。これは、AI論文の著者名からの推測──「AI研究者の5人のうち、1人か2人は中国人」という印象とも符合する。

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世界の高度AI人材(上位20%)の活動拠点。圧倒的に多いのが米国で、米国がAI研究の最先端であることは間違いない
(出典:「The Global AI Talent Tracker」より引用)

 なぜ、活動機関と卒業大学で、このような違いが生じるのだろうか。答えは簡単で、中国の大学を卒業した人材が、米国大学院に留学をしたり、米国企業に就職をしたりしているのだ。もちろん、中国の大学を卒業したのが全員中国人ではなく、外国人も含まれるだろうが、この説を覆すほど数は多くないだろう。

【次ページ】調査で分かった、高度AI人材の経歴の特徴

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