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- 2021/10/08 掲載
豊田章男氏はなぜ「カーボンニュートラル」と語るのか、「電動化」とは言わない深すぎる事情
連載:MaaS時代の明日の都市
トヨタは「電池戦略」を発表
9月7日、トヨタ自動車は電池とカーボンニュートラルに関する説明会を開いた。主な内容は車載用電池の開発と供給に関するもので、カーボンニュートラルの実現に向けて2030年に電動車800万台、うちEV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)で200万台の販売台数を見通していると公表した。そのためにも電池の開発は急務であり、2030年までに1兆5,000億円を投資すると発表している。電池は2020年代後半までに、1台あたりのコスト半減を目指すとも表明した。
次世代電池として注目されている全固体電池については、昨年からナンバーを取得した車両で試験走行を始めているとのことだが、寿命が短いという課題も出てきており、5年以内にまずはHV(ハイブリッド車)に搭載していくとしている。
電池の調達については、中国のCATLやBYD、さらに国内電池メーカーなどと手を結びつつ、グループ内でも量産を進めていくと公表。車両では、次世代EVであるbZシリーズの第一弾「bZ4X」を、2022年までに発売すると明らかにした。
なぜ、豊田 章男氏は「電動化」という言葉を使わないのか
つまり多くが電動化に関するものだったのだが、トヨタは「電動化」という言葉を使わず、「カーボンニュートラル」と表現していた。そういえば、トヨタの社長である豊田 章男氏が会長を務める日本自動車工業会の記者会見でも、最近は「カーボンニュートラル」を多用している。
トヨタでは、カーボンニュートラルとは「LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づくもので、材料調達から製造・走行・廃棄に至るまでの行程で使われるエネルギーを含めてのCO2排出量をゼロにすること」と定義している。
つまり電動化は、カーボンニュートラルの手段の1つにすぎない。そしてEVは、数ある電動化プロセスの中の1つである。ほかにもソリューションはたくさんある。そのことを強調し、「カーボンニュートラル=電動化=EV化」という誤解を払拭したい気持ちが、この表現につながったのかもしれない。
【次ページ】日本政府がアンモニア火力発電とe-fuelを同時進行する理由
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