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  • 2021/10/08 掲載

豊田章男氏はなぜ「カーボンニュートラル」と語るのか、「電動化」とは言わない深すぎる事情

連載:MaaS時代の明日の都市

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自動車業界のニュースは相変わらず「電動化」の話題が多い。その中で、トヨタ自動車の代表取締役社長と日本自動車工業会の会長を務める豊田 章男氏は、「カーボンニュートラル」という言葉を多用している。自動車業界におけるカーボンニュートラルと、そこから見える日本が進むべき方向性を考えたい。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『MaaSが地方を変える 地域交通を持続可能にする方法』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『富山から拡がる交通革命』『パリ流環境社会への挑戦』など。


トヨタは「電池戦略」を発表

 9月7日、トヨタ自動車は電池とカーボンニュートラルに関する説明会を開いた。主な内容は車載用電池の開発と供給に関するもので、カーボンニュートラルの実現に向けて2030年に電動車800万台、うちEV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)で200万台の販売台数を見通していると公表した。

 そのためにも電池の開発は急務であり、2030年までに1兆5,000億円を投資すると発表している。電池は2020年代後半までに、1台あたりのコスト半減を目指すとも表明した。

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2030年までのトヨタの電池戦略
(出典:トヨタ)

 次世代電池として注目されている全固体電池については、昨年からナンバーを取得した車両で試験走行を始めているとのことだが、寿命が短いという課題も出てきており、5年以内にまずはHV(ハイブリッド車)に搭載していくとしている。

 電池の調達については、中国のCATLやBYD、さらに国内電池メーカーなどと手を結びつつ、グループ内でも量産を進めていくと公表。車両では、次世代EVであるbZシリーズの第一弾「bZ4X」を、2022年までに発売すると明らかにした。

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(出典:トヨタ)

なぜ、豊田 章男氏は「電動化」という言葉を使わないのか

 つまり多くが電動化に関するものだったのだが、トヨタは「電動化」という言葉を使わず、「カーボンニュートラル」と表現していた。

 そういえば、トヨタの社長である豊田 章男氏が会長を務める日本自動車工業会の記者会見でも、最近は「カーボンニュートラル」を多用している。


 トヨタでは、カーボンニュートラルとは「LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づくもので、材料調達から製造・走行・廃棄に至るまでの行程で使われるエネルギーを含めてのCO2排出量をゼロにすること」と定義している。

 つまり電動化は、カーボンニュートラルの手段の1つにすぎない。そしてEVは、数ある電動化プロセスの中の1つである。ほかにもソリューションはたくさんある。そのことを強調し、「カーボンニュートラル=電動化=EV化」という誤解を払拭したい気持ちが、この表現につながったのかもしれない。

【次ページ】日本政府がアンモニア火力発電とe-fuelを同時進行する理由

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