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- 2022/07/06 掲載
“言い訳部下”を動かすフィードバック術、部下の「責任転嫁」癖を作る上司の行動とは
連載:リーダー必携マネジメント術
言い訳には付き合わず、未来の話をする
部下が当初の目標を達成できなかったとき、上司を前にした部下は何かしら言い訳をしたくなるものです。しかし、上司はそれに付き合ってはなりません。怒鳴ったりなじったりすることも適切ではありません。過去は変えられませんから、未来の話をしましょう。
フィードバックにおける上司の仕事は、「具体的にどうすればよかったのかを伝えること」ではなく、「ゴールへ向けた道筋を自分の力で描くように部下を促すこと」です。
たとえば、1週間の売り上げ目標が100万円であるのに、80万円しか売り上げられなかった部下がいたとします。上司はまず、販売した商品や売り先に関するデータを提出させ、部下の動きを把握しておきます。その上で、部下自身に次の1週間で100万円の売り上げ目標を達成するために、どのように行動を変えるかを考えさせるのです。
「先週は10人に会って売り上げが80万円でしたから、今週は15人に会います」と言ってきたのであれば、これは承認できます。しかし、部下が「一生懸命やります」や「とにかく努力します」と言うだけでは、また同じ失敗を繰り返す可能性が高いです。この場合、私なら「もっと根拠を示しなさい」と伝えます。根拠が出てこないのであれば、「それは承認できない。その戦略は非現実的だ」と言いますね。
部下が迷わず努力できる環境の整え方
ただし、このフィードバックが効果を発揮するためには、部下が迷わずに努力できる環境を整えておく必要があります。たとえ目標がはっきりしていても、部下がそれに向かって懸命に努力しようとしなければ何の意味もありません。そこで必要になるのが「定量的な評価」です。これは、管理職というより経営者の大事な役割です。
たとえば、「4週連続で週間売り上げ100万円を達成したら昇格する」という基準は、誰であっても達成したかどうかの判断が容易ですよね。これが定量評価です。
一方、「目標達成に向け熱心に取り組んだか」が評価項目になっていたらどうでしょうか。部下が一生懸命仕事に取り組んだと思っていたとしても、上司からはそう見えなかったとします。このような定性評価であれば、部下が言い訳に終始したとしても不思議ではありません。
それに、定性評価では情が入り込む余地が出てきてしまいます。人は本来、他人に嫌われたくないはずですから、マイナス評価を付ける上司は少ないでしょう。
定量評価にすれば、事実だけを見ることになり、感情が入り込む余地が少なくなります。誰が見ても結果が明らかですから、部下の納得も得られますし、公平性を担保しようとして、同じ人を2人や3人で評価する必要がありません。ちなみに、「360度評価」は上司1人による評価では個人的な意見が反映されやすいという理由もあり提唱されましたが、評価基準が定量的であれば、この課題も解決できるというわけです。
【次ページ】部下の責任転嫁を招く、上司がやってしまいがちな行動
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