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  • 2023/03/10 掲載

配達効率は「日本の2倍」、中国1位のデリバリー企業がたどり着いた“圧巻の仕組み”

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コロナ禍をきっかけに広く使われるようになったフードデリバリー。日本では、Uber Eatsや出前館が地位を確立しているが、中国では「美団(メイトワン)」がアリババ傘下の「ウーラマ」を追い抜き、トップ企業として独走中だ。美団の強さの秘訣は、驚異的な配達効率にある。日本でのUber Eatsと比較すると「2倍」にもなる配達効率を実現する仕組みとは。

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

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美団はどうやって驚異の配達効率を実現しているのか? 写真は美団の配達員
(Photo/Andy Feng/Shutterstock.com)

日本でのUber Eatsは「4.5時間で10件」が目安

 中国のフードデリバリー市場は、2008年に「ウーラマ」が創業、美団(メイトワン)が追従し、激しい競争の末、美団がトップ企業となった。美団も日本のデリバリー企業も、ギグワーク(雇用関係ではなく、登録をするだけで自由な勤務体系で働ける)を採用しているのが特徴で、特にコロナ禍による失業や収入が減少した人のセーフティーネットとしても機能した。

 しかし、美団が他のデリバリー企業と一線を画しているのは、その規模と配達効率だ。

 ここでは日本におけるUber Eatsと比較してみよう。Uber Eatsは、実際に配達スタッフとして働いている人がブログを書いていることが多く、中には管理画面の画像を公開するなど、信頼できる情報発信をしている人もいる。

 たとえば、ZEY社が運営する配達員向けの情報サイト「Uber Eats速報」から、配達件数などを計算してみると、14日間の勤務で、1日平均8.16時間働き、22.5件の配達をし、1万3,245円(報奨金、チップ含む)の収入だった。これを8時間で換算すると、配達は22.06件、収入は1万2,986円になる。月20日フルタイムで働けば月収は25.7万円となり、アルバイトと考えれば悪くない収入だ。他のブログでも「4.5時間、10件、6,000円」「8.5時間、20件、1万2,000円」というのが目安になっているようだ。


中国トップ企業「美団」は「平均3.75時間で20件」

 一方、美団では2021年には527万人が配達スタッフとして働き、そのうち59.2%が本籍のある省で仕事ができている。つまり、地方の就業率を上げることに大きく貢献している。

 美団研究院がまとめた「2021年上半期美団騎手就業報告」から、騎手(配達スタッフ)の平均値を計算してみると、勤務時間は1日3.75時間、月収は4,233元となった。美団が公表している1人あたりの1日の配達件数は「59.6%のスタッフが11~30件の配達をする」というもので、1日30件の配達をすると報奨金が加算される仕組みになっている。平均3.75時間で20件前後の配達をしていることになる。Uber Eatsの目安「4.5時間10件」と比較すると、倍以上の効率だ。

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美団の騎手(配達スタッフ)の1日の勤務時間の分布。兼業をしている人が多く、1日の平均勤務時間は3.75時間
(出典:「2021年上半期美団騎手就業報告」(美団研究院))
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美団配達スタッフの月収の分布。平均4,233元だが、1日8時間勤務に換算すると9,030元(約17.2万円)。物価の安い地方都市であれば十分に暮らしていける金額だ
(出典:「2021年上半期美団騎手就業報告」(美団研究院))
【次ページ】なぜ配達効率に2倍もの差が生まれるのか? 凄すぎる仕組みの数々

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