- 2026/06/26 掲載
新卒も45歳以上も安泰終了…スタバ元CEOが語る、AI時代「唯一無二になれる人」の条件(2/3)
AIを使う人、AIに使われる人…違いは“ある力”にあった
──AIが多くの答えを出せるようになる中で、人間に残る役割は何でしょうか。岩田氏:これから大切になるのは、問いを作る力です。つまり、問題意識ですね。普段から「これは本当にそうなのか」「この常識は正しいのか」と疑う力が必要になると思います。
答えは、AIに聞けば返ってきます。でも、問いがなければ、答えも出てきません。だから、問題意識を持てる人と持てない人の差は、これからますます大きくなるのではないでしょうか。
──AIを使いこなせる人と、AIに振り回される人の違いはどこにあるのでしょうか。
岩田氏:一番怖いのは、AIが自信満々に間違えることです。人間なら、何か質問されたときに、自信がなければ少し首をかしげたりしますよね。「ちょっと自信がないですが」といった反応がある。でもAIは、間違っていても「これです」と断定してきます。自分が土地勘がある分野だと「それは違うのでは」と聞くと、「すみません」と言って、しれっと別の答えを出してくる。
たとえば私自身についてAIに聞くと、「岩田松雄さんはトヨタ自動車に勤めて工場長をやっていました」といった答えが出てきたことがあります。私は日産にいましたから、明らかに違うわけです。
でも、自分のことだから間違いに気づけます。もし、よく知らない海外の人物について聞いたら、「そういう人なのかな」と信じてしまうかもしれません。
つまり、AIを使うには、ある程度の土地勘が必要なんです。細かいことを全部知っている必要はありません。ただ、その分野の大枠を知らないと、AIの答えが正しいのか間違っているのか判断できません。
──AIを使う側にも、最低限の知識や経験が必要だということですね。
岩田氏:そうです。AIに頼りすぎると、間違った判断をしてしまう可能性があります。AIの答えを見極めるには、自分の中にある程度の判断基準や最低限の知識が必要です。私は必ず、ファクトチェックのために別のAIにも聞いて確かめています。それでも正解がわからないときは情報の原典にあたってみます。
AIを使うのはいい。しかし、AIに使われてはいけないと思います。
AIが100個の答えを出しても、最後に選ぶべき決断とは
──AIが選択肢を出せるようになっても、最終的な判断は人間に残るということでしょうか。岩田氏:そう思います。会社にはミッションがあります。そのミッションを実現するために、戦略や戦術があります。AIが入ってきても、この軸は変わらないでしょう。
たとえばスターバックスであれば、「人々の心に潤いを与える」というミッションがありました。その先で、具体的にどう行動するかは、店舗のパートナーたちに任せるしかありません。
AIも、選択肢は出してくれるでしょう。たとえば「こういう会社のミッションを作りたい」と言えば、いくつも案を出してくれます。でも、その中からどれが自分たちの会社にふさわしいかを決めるのは、人間の価値観や思いです。
──極端に言えば、AIは100個以上の選択肢を出せても、最後に選ぶことはできないということですね。
岩田氏:そうですね。AIはその中で「これが1番です」と言うかもしれません。でも、もう一度聞けば、また別の答えを出してくることもあります。
最終的には、人間の判断です。そこには価値観や思いが関わってきます。単に売上や利益や合理性だけでは、人も世の中も動いていません。
だからこそ、AI時代には、会社の価値観や自分自身の判断軸を持っていることが大切になると思います。問題意識を持って正しい問いをする。その上でAIの答えをどう判断するか。そこに人間の役割が残るのではないでしょうか。
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