- 2026/06/26 掲載
新卒も45歳以上も安泰終了…スタバ元CEOが語る、AI時代「唯一無二になれる人」の条件(3/3)
「もう新卒はいらない」は本当か?企業が新卒を採るワケ
──AIによって、若手が担ってきた仕事がなくなるという見方もあります。新卒採用を減らす企業も出ていますが、この点はどう見ていますか。岩田氏:新卒を採らないことには、反対です。私は、会社が理念や価値観を守っていくためには、優秀な新卒を採用ししっかり育てることは大切だと思っています。会社の価値観やミッション、ビジョンを植え付けられるのは、やはり新卒の若い時期です。
中途採用の人材は、前の会社の価値観や仕事の進め方がどうしても染み込んでいます。それが自社に合っていればもちろんいいのですが、会社は継続していくものであり、会社独自の文化を育てるという意味では、新卒はとても重要でしょう。
──ただ、これまで若手が担ってきた資料作成などの作業は、AIに代替されやすくなっています。
岩田氏:そこは確かにそうだと思います。資料作成のような作業は、AIがあればかなり効率化されるでしょう。あっという間にいろいろな資料を作ってくれます。ただ、どんな資料が必要かは人間が判断しなければなりません。闇雲に資料を作っても混乱するだけです。
でも、たとえばコンサルタントであれば、顧客とどう向き合うのか、この会社を今後どうしていくのか、顧客のニーズをどう引き出すのか、といったことは、単なる作業ではありません。そこにはヒューマンリレーションシップやヒューマンスキルが関わってきます。
そうしたものは、若いころから先輩を見て学ぶ必要があります。紙に書けないようなこと、言葉にしにくい感覚もあるでしょう。コロナ禍のときに、在宅ワークで若手が育たないという話をよく聞きました。だから、作業はAIが代替しても、人を育てる意味がなくなるわけではないと思います。少人数でもいいから新卒社員を採り続け、育て続けることは、企業にとってとても大切なのではないでしょうか。
重宝される人が、こっそり続けている“たった2つの習慣”
──AI時代に重宝される人になるために、個人は何をすべきでしょうか。岩田氏:まずは、考える力を落とさないことだと思います。AIを使えば、すぐに答えが出てきます。学生のレポートなどを見ていても、AIの回答をコピペしているのではないかと感じるものがあります。そうなると、自分で考えなくなってしまう。AI時代には、むしろ人間の考える力が問われます。そのためには、やはり勉強し続けることが大切です。
私は、学習の中心は読書だと思っています。読書によって、自分の視野を広げ、問いを立てる力を養うことができます。
──読書は、AI時代にも重要だと。
岩田氏:そうですね。大企業の部長研修をしていると、最後に決意表明をしてもらうことがあります。そこで「これから毎月1冊ビジネス書を読みます」と言う部長がいる。大企業の部長という、いわばエリートの人たちでも、今は本を読んでいない人が多いのだと驚くことがあります。裏を返せば、本を読むだけで差別化できる時代でもあるのです。電車の中でもほぼ100%の人がスマホを見ています。
──読書以外に、日々の習慣として大事なことはありますか。
岩田氏:小学生に言うようなことになりますが、規則正しい生活です。特に、寝る時間を一定にすること。健康管理はとても大切です。その上で、良い習慣をつけることです。人間の約40%は習慣でできているとも言われます。暴飲暴食をしない、歯を磨く、適度に運動する。そうした基本的なことが、人を作っていきます。
AI時代に「唯一無二」になる人の3つの条件
──最後に、AI時代に会社から重宝される人、唯一無二の存在になる人とは、どのような人だと思いますか。岩田氏:AIより物知りになる必要はないと思います。AIのほうが多くの知識を持っているのは当然です。
大切なのは3つ。問いを立てること。AIの答えを鵜呑みにせず、自分の土地勘で見極めること。そして最後は、自分の価値観や会社のミッションに照らして判断することです。
仕事の内容そのものは、これからますます上司よりもメンバーのほうが詳しいという場面が増えていくでしょう。そうなると、リーダーは方向性を示し、後は任せるしかありません。
そのときに任せられる人とは、価値観や方向性を理解し、自分で考え、自分で判断できる人です。AIが答えを出してくれる時代だからこそ、「自分は何を問うのか」「何を大切にして判断するのか」が問われるのだと思います。
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