- 2026/08/19 07:10 掲載
“包丁キャンセル”で市場3倍…「ワンプレート冷食」86%が未購入でも急増中のワケ(2/3)
86%が未購入、立ちはだかる「本当においしい…?」の壁
ニップンでは、これまでの「よくばりシリーズ」を新ブランド「彩りごはん。」に刷新し、全18品を9月1日から全国で発売する。その背景には、「おいしさへの不信感を払拭したい」という狙いがある。同社によると、ワンプレート冷食の現在の年間購入率は14%にとどまり、市場の約86%に当たる大多数は同ジャンルの製品を買ったことがないという。そして、その背景に「おいしさへの不信感」があることが判明した。
「ワンプレート冷食の未購入者は、冷凍弁当に対して『おいしくない』というイメージを強く持っています。『すべての具材がおいしく仕上がるはずがない』と敬遠してしまうそうです。一方、ワンプレート冷食を好む消費者は、味わいを高く評価しています」(ニップン マーケティング本部 マーケティング部 企画チーム 加藤里彩氏)
そこで、ブランドを刷新し、ロゴやパッケージに加えメニューもブラッシュアップした。高級感のあるロゴで高品質を演出するほか、パッケージには写真を大きく配置し、立体感や具材感を意識したシズル写真を採用。メニューは、和食、洋食、韓国、中華と幅広いジャンルの18品をそろえた。
「以前から展開しているメニューも多いのですが、新ブランド立ち上げにあたり進化させています。当社のワンプレート冷食は40代以降の中高年層から支持が厚く、最近では70代以上の購入者が増えています。今後は、同シリーズに慣れ親しんだ方だけでなく、若年層を含め幅広い方に手に取っていただきたいです」(須田氏)
市場シェア1位を維持すべく攻勢をかけるニップンに対し、競合も自社の強みを活かして支持を広げている。2022年に参入したニッスイでは、働く男性層をメインターゲットにして支持を拡大。
2025年度は、同社のワンプレート冷食シリーズ「まんぞくプレート」が前期比50%増と大幅伸長した。この秋冬には、冷凍市場では珍しい「天丼」と定番人気の「中華丼」の2つを新商品として投入する。
後発のニッスイは、男性をターゲットに支持を拡大
ニッスイでは、2022年9月に「まんぞくプレート」シリーズを発売開始した。市場には、シニア層や女性層から支持を得る商品が多かったこともあり、同社では30~50代の男性をメインターゲットに据えたという。「デミグラスハンバーグ」や「生姜焼き」といったがっつり系メニューを選び、ボリューム感を重視して展開すると、徐々に認知が高まっていった。特に好評を得たのは、2024年春に発売した「ふっくらごはんとカツカレー」だ。同商品は、まさに狙っていた男性層の需要に合致したという。
加えて、「白ごはん」へのこだわりも同社ならではの特徴だ。釜炊きしたご飯を使い、電子レンジで加熱した際に最もおいしくなるような水分量や冷凍方法としている。この技術には、同社の看板商品の1つである「大きな大きな焼きおにぎり」で培ったノウハウが生かされているそうだ。
近年は、男性ウケに限らない「たらと野菜の黒酢あん」などメニューの幅を広げているが、最重点は伸びしろのある男性だ。同社によれば、市場全体におけるワンプレート冷食の男女別購入率(2025年下期)は、女性が前年比115%の11.45に対し、男性は同124%の6.76だった(出典:インテージSCIデータ)。
男性の購入伸び率が女性を上回り、直近2年で約1.5倍に拡大している市場動向を踏まえ、2026年3月には、食べ応えのある丼メニュー「まん福どん かつ丼」を発売した。同商品は、購入者の50%以上を男性が占める。シリーズ全体でも男性層が過半数を上回り、年代は50~60代がボリューム層だ。
2026年秋冬も、丼メニューの選択肢を広げるため「天丼」(希望小売価格:635円)と「中華丼」(同503円)を新発売する。有名店の料理人を監修として起用し、家庭では難しい本格的な味わいをレンジ調理で実現したという。
「いずれも定番メニューですが、家庭で調理するには手間がかかります。レンジ調理ながら高品質な丼とすることで、市場のニーズに応えたいと考えました」(ニッスイ 家庭用食品部冷凍食品課 吉田翔太氏) 【次ページ】“包丁キャンセル”で伸びる冷食、背景にある社会の変化
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