- 2026/09/01 07:10 掲載
エヌビディアも実は「22%割安」? AI相場の陰に隠れた「お買い得テック株」12銘柄(2/4)
【銘柄1~4】ブロードコムの底力…「高競争力×割安」の4社
・ブロードコム
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.64
- 米モーニングスターの不確実性評価:High
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:半導体
半導体企業のブロードコムは、今買うべき最良のテクノロジー株リストの中で最も割安な銘柄である。ブロードコムは世界最大手の半導体企業の1社であり、インフラソフトウェア事業にも進出している。同社株は現在、米モーニングスターによる推定公正価値である650ドルに対して36%割安となっている。
ブロードコムは、高い価値を持ち、差別化を実現し、強固な競争優位性を備えた半導体およびソフトウェア事業の集合体である。簡潔に言えばブロードコムは潤沢なキャッシュフローを生み出す企業だ。同社は、規模の大小を問わず企業を傘下に収めることに非常に長けている。企業を買収し合理化する能力により、高い利益とキャッシュフローを生み出し、堅調な株主リターンにつなげている。私たちは同社の優れた事業遂行力と業務効率を高く評価している。これらは大規模な自社投資を土台としており、同社が既存事業の成長によって最終市場を上回る成長を遂げる要因の1つとなっている。
ブロードコムのネットワーキング事業とカスタム半導体事業こそ、同社のWideなエコノミックモートと業績を支える最も強力な原動力だ、というのが私たちの見方である。同社はスイッチングおよびルーティング用途向けのマーチャントシリコンで圧倒的な地位を維持するだろうと私たちは予想している。特に高速処理の分野では業界最高水準にあると考えられる。また、ハイパースケールクラウド事業者がエヌビディアへの依存度を下げるべく独自チップの開発を進める恩恵を受け、カスタムAIアクセラレーターでも強力な地位を維持すると見られる。ハイパースケーラーが、性能向上やコスト削減、ベンダーロックインの回避を目的としてカスタムシリコンの採用をさらに進める中、ブロードコムはAIコンピューティング分野でエヌビディアに次ぐ主要ベンダーになると私たちは見ている。
半導体以外に目を向けると、ブロードコムのソフトウェア事業では、仮想化ソフトウェアやメインフレーム向けソフトウェア、サイバーセキュリティソフトウェアを販売しており、その製品は高い競争力を備えていると私たちは見ている。ブロードコムは、金融機関、政府機関、大企業など、同社製品が深く浸透している戦略的な大口ソフトウェア顧客に注力しており、これが高いスイッチングコストを生み出している。また、VMwareを傘下に収めたことで、アップセルの機会もあると見られる。
AI半導体事業の急成長を背景に、ブロードコムは急速な成長を遂げると私たちは予想している。AIはすでにブロードコムの業績をけん引する最大の要因になっていると考えられる。私たちにとって、ブロードコムに今投資することは、同社のAI半導体事業とネットワーキング事業に投資することを意味する。AI以外では、VMwareと非AI分野のネットワーキング事業がけん引し、より緩やかな成長になると見られる。ブロードコムは今後も買収を検討すると予想されるが、おそらく案件は大型化し、頻度は低下するだろう。2023年のVMware買収後、同社は数年間は負債削減に注力し、その後、再び買収市場に乗り出すと見られる。
ウィリアム・カーウィン氏(米モーニングスター シニアアナリスト)
・タイラー・テクノロジーズ
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.65
- 米モーニングスターの不確実性評価:High
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:ソフトウェア-アプリケーション
タイラー・テクノロジーズは、市町村、郡、学校、裁判所、その他の地方政府機関のニーズに対応する包括的なソフトウェアソリューションとサービスを提供している。同社のエコノミックモート評価はWideで、株価は現在、米モーニングスターによる推定公正価値である500ドルに対して35%割安となっている。
私たちはタイラー・テクノロジーズを、成長が緩やかで、十分なサービスが提供されてこなかった公共サービス向けソフトウェアのニッチ市場における明確なリーダーとみている。SaaSに対する需要の加速や地方政府における旧式ERPシステムの刷新ニーズの高まりを背景に、同社は今後10年にわたり年率約10%の安定した売上高成長を実現できると私たちは考えている。
同社の中核製品は、基幹ERPシステムであるMunis、裁判所管理システムであるOdyssey、そしてWeb対応の取引プラットフォームの3つである。これらのシステムは、財務管理、人事管理、歳入管理、税金請求、資産管理など、政府機関の日常業務を支えている。タイラーは、市町村、郡、学校、裁判所、その他の地方政府機関のニーズに対応している。顧客先で稼働している既存の基幹システムの多くは導入から少なくとも20年が経過しており、非常に古いソフトウェアコード上で運用されている。しかも、これらのシステムを維持できる十分なスキルを持つ次世代のプログラマーはほとんど育っていない。こうしたレガシーシステムの延命を続けることはもはや現実的ではないと私たちは考えている。
タイラーは近年、複数の施策を通じて、取引量に連動する経常収益の拡大へと大きくかじを切っている。過去5年間では、裁判所向け電子申請であるE-Filingや、水道料金のオンライン支払いなどの基本的な行政サービスを提供する地方自治体向けWebポータルが、こうした収益の主な源泉となっている。さらに、2021年4月に実施した政府向けソリューションおよび決済サービスの大手企業であるNICの買収が、取引量ベースの経常収益へのシフトを一段と加速させたと私たちは見ている。
最後に、私たちはタイラーの製品ポートフォリオ拡大が、より多くのソリューションを含む大型案件の獲得につながっていると考えている。同社はかつて10万ドル規模の案件を1件ずつ獲得するために競争を強いられていた。だが現在では政府機関向け市場で十分な実績と知名度を確立しており、関連する政府システムの選定プロセスではほぼ必ず候補企業として検討される存在となっている。潜在顧客基盤も確実に拡大している。事実、州全体を対象とした電子申請システム、取引プラットフォーム、裁判所システムなどに関する案件では、年間数千万ドル規模の契約が相次いでいる。さらに、地方公共機関向け市場は依然として細分化されており、タイラーと同等の規模や事業基盤を持つ競合企業は存在しない。このため、同社は市場において有利な立場を享受している。
ダン・ロマノフ氏(米モーニングスター シニアアナリスト)
・フェア・アイザック
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.65
- 米モーニングスターの不確実性評価:High
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:ソフトウェア-アプリケーション
いま買うべき優良テクノロジー株リストで次に挙げるのはフェア・アイザックである。フェア・アイザックは1956年に設立された応用分析分野のリーディング企業である。株価は米モーニングスターによる推定公正価値である1,600ドルに対して35%割安となっている。
1956年設立のフェア・アイザック(FICO)は、信用スコア分野で業界のリーダーとしての地位を確立しており、これは非常に収益性の高い事業となっている。信用スコアは個人向け融資判断にとどまらず、投資家や金融機関、さらには業界全体にとってのベンチマークとして利用されている。
FICOスコアは、同社の売上の約60%を占める一方で利益の80%以上を生み出している。スコア関連収益の約80%はBtoBであり、フェア・アイザックは金融機関に対してスコアを販売している。同社は長年にわたり、価格を安定的に維持しつつ取扱量の拡大によって収益を伸ばす戦略をとってきたが、2018年以降は価格戦略の見直しを進め、スコアの価格引き上げを開始した。同社は市場での強固な地位を背景に、今後も複数のカテゴリーで価格引き上げを進めると私たちは見ている。また、金融機関向け販売に加え、消費者向け事業でも年間約2億2,000万ドルの売上を計上しており、信用スコアを個人に直接、あるいはエクスペリアンなどのパートナー経由で提供している。
FICOスコアの基礎データは、米国の3つの主要信用情報機関(エクイファックス、エクスペリアン、トランスユニオン)から取得されており、そのためスコアは通常これら3社を通じて販売される。信用情報機関とFICOの関係は、対立的なものから協調的なものへと変遷してきた。2006年には信用情報機関が共同でVantageScoreという合弁事業を立ち上げたが、FICOを置き換えるには至っていない。フェア・アイザックは直接ライセンスモデルへ移行を進める中で、信用情報機関を介さない形への転換を目指している。これが結果的に競合であるVantageScoreの普及を信用情報機関側に促すインセンティブを与えていると私たちはみている。
同社のソフトウェア事業は、金融サービス分野の多様なユースケースにわたって展開されている。同社は2010年代初頭にクラウド移行に注力した点で先見性を示していたと私たちは考えている。最近の重点施策の1つはアプリケーションをFICOプラットフォーム上に統合することであり、同社はこれをモダンでモジュール化されたソフトウェア提供モデルと位置付けている。近年は顧客維持率および経常収益の成長が堅調であり、このソフトウェア戦略が機能していることを示唆している。
ラジブ・バティア氏(米モーニングスター アナリスト)
・ブロードリッジ
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.68
- 米モーニングスターの不確実性評価:Medium
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:情報技術サービス
ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズは、2007年にオートマティック・データ・プロセッシングからスピンオフして設立された。銀行、証券会社、伝統的資産およびオルタナティブ資産の運用会社、ウェルスマネージャー、企業発行体向けに投資家コミュニケーションおよびテクノロジー主導のソリューションを提供するリーディング企業である。同社のエコノミックモート評価はWideで、株価は米モーニングスターによる推定公正価値である250ドルに対して32%割安となっている。
ブロードリッジは20年以上にわたり、証券会社向けの議決権行使(プロキシ)および中間サービスの分野で支配的な地位を築いてきた。規制対象であるこれらのプロキシおよび中間業務は同社の中核事業であり、純利益の大部分はプロキシシーズンに当たる第3および第4四半期に集中している。同社は証券処理ソリューションを提供するグローバル・テクノロジー&オペレーション部門から、手数料収入およびEBITDAの30%超を生み出している。また、個人投資家の参加拡大に伴うポジション増加や取引量の増加も同社にとって追い風となっている。【次ページ】【銘柄5~8】成長市場を握るエヌビディアなど4銘柄の実力
2007年のスピンオフ以降、同社は事業の効率化を進めるとともに隣接市場へと進出してきた。清算業務では長年損失が続いたことから、2010年にペンソン・ワールドワイドへ売却している。その後、郵送、データセキュリティ、処理能力を基盤として、2010年以降に30件以上の買収を実施してきた。主な買収としては、2016年のDSTの北米顧客コミュニケーション事業(4億1,000万ドル)や、2019年のRPMテクノロジーズ(3億ドル)が挙げられる。北米顧客コミュニケーション事業は、金融サービス、公益事業、医療など多様な分野に対して、印刷およびデジタルコミュニケーション、コンテンツ管理、郵送最適化、フルフィルメントサービスを提供している。RPMはウェルスマネジメント向けのエンタープライズソフトウェアおよびサービスを提供している。2021年には、注文・執行管理トレーディングソフトウェアや注文ルーティング、ネットワーキング、コネクティビティーソリューションを提供するアイティビティを25億ドルで買収したが、この買収は割高であったと私たちは見ている。
ブロードリッジは2023年12月の投資家向け説明会で、今後3年間の年次目標として、経常収益の成長率7~9%(オーガニック成長率5~8%)、調整後営業利益率の50ベーシスポイント以上の拡大、調整後1株当たり利益の8~12%成長を掲げた。これらの目標は従来の3カ年計画とほぼ同様であり、同社はその目標をおおむね達成している。
ラジブ・バティア氏(米モーニングスター アナリスト)
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