- 2026/09/01 07:10 掲載
エヌビディアも実は「22%割安」? AI相場の陰に隠れた「お買い得テック株」12銘柄(4/4)
【銘柄9~12】TSMCなど次に狙いたい「裏方4銘柄」
・シノプシス
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.79
- 米モーニングスターの不確実性評価:High
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:ソフトウェア-インフラ
シノプシスは、電子設計自動化(EDA)ソフトウェアおよび知的財産(IP)製品を提供する企業だ。同社のエコノミックモート評価はWideで、株価は米モーニングスターによる推定公正価値である520ドルに対して21%割安となっている。
シノプシスは、複雑な半導体チップの設計という業界の根本課題を解決するためにエンジニアが使用するソフトウェアツールの大手プロバイダーである。同社はチップ設計の効率化、チップ構造の効率向上、プロセスの自動化、エラーの最小化を実現する製品を提供している。同社のソリューションは世界のほぼすべての主要半導体企業に加え、現在も増えている電子システム企業にとって不可欠なものとなっている。主な成長要因は、顧客による新たなチップ設計の開始と、提供する付加価値の拡大を反映した値上げであると私たちは見ている。AI関連のチップ開発に加え、電子システムにおけるチップの高密度化と普及拡大を背景に、チップ開発活動の拡大余地は長期にわたって続くと見られる。
シノプシスには3つの事業部門がある。電子設計自動化(EDA)事業は、同社の売上高の半分を占めている。シノプシスは、ケイデンス・デザイン・システムズやシーメンスEDA(旧メンター・グラフィックス)といった競合他社の中でも、デジタルEDAの大手プロバイダーである。半導体チップの複雑化が進み、業界がマルチダイやチップレットのアーキテクチャーへ移行するに従ってより高度な設計ソリューションが必要になることから、EDAツールの需要は大幅に拡大すると予想される。シノプシスは、こうしたソリューションを提供する上で有利な立場にある。
知的財産(IP)事業では、設計済みのチップ部品を販売している。IP事業はEDA事業を補完するものと私たちは見ており、標準化された部品向けの設計済みIPブロックに対する業界ニーズの高まりがIP需要を支えるものと予想される。
シノプシスは最近アンシスを買収し、これによりシミュレーション・分析部門を新たに設立した。アンシスとの戦略的統合を私たちは評価している。この統合により、シノプシスは2030年までに獲得可能な最大市場規模を約700億ドルに拡大するとともに、シミュレーションと検証の分野で価値あるシナジーを引き出せる立場にある。また、シミュレーションはIoT、ロボティクス、予知保全、デジタルツインにおいて当然必要となるものであり、アンシスはこれらの分野の将来需要を取り込める態勢を整えている。
AI関連のニーズに重点を置くためのIPポートフォリオの再構築、ロイヤリティ収入の比重を高めたIP料金体系、AIで強化されたEDAワークフロー、そして経済全体における半導体需要の構造的な増加が、いずれもシノプシスの成長をけん引する主要因になると私たちは見ている。
エリック・コンプトン氏(米モーニングスター ディレクター)
・TSMC
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.79
- 米モーニングスターの不確実性評価:Medium
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:半導体
台湾積体電路製造(TSMC)は世界最大の専業半導体ファウンドリで、2025年の市場シェアは約70%である。同社のエコノミックモート評価はWideで、株価は米モーニングスターによる推定公正価値である534ドルに対して21%割安となっている。
TSMCは世界最大の半導体受託製造専業企業(ファウンドリ)であり、2026年半ば時点の市場シェアは70%を超えている。同社は顧客独自のIC設計に基づいて集積回路を製造している。TSMCは長年にわたり、世界の半導体企業が垂直統合型デバイスメーカーからファブレスの設計企業へと移行する恩恵を受けてきた。他のすべてのファウンドリと同様、顧客市場の景気循環性が非常に高い中、同社は工場運営にかかるコストと設備投資を負担している。ファウンドリは需要が急増する局面で生産能力を過剰に増強する傾向があり、その結果、景気後退局面では設備稼働率が低下し、収益性が圧迫されることがある。
ファブレス半導体企業の台頭はファウンドリの成長を支え、それがさらなる競争の激化を促してきた。しかし、こうした新規参入企業の大半は、最先端技術に伴う莫大なコストとエンジニアリングのノウハウが障壁となり、ローエンドの製造にとどまっている。TSMCは最先端プロセス技術、すなわち最先端ノードによって得られる超過リターンを長期化するため、まず中央処理装置(CPU)やモバイルチップを中心に使用されるロジック製品に注力し、その後、よりコストを重視する用途へと展開している。この戦略は成功を収めており、数十社もの競合他社が後れを取る中、同社が今なお最先端ノードを有する2社のファウンドリのうちの1社であることがその証左である。
TSMCの長期的な成長要因は2つある。第1に、半導体企業の統合が進むことで、最先端ノードで製造される統合システムへの需要が生まれると予想されること。第2に、AI、IoT、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)用途の成長が、数十年にわたって続く可能性があること。AIとHPCは、人間や機械からの入力を迅速に処理し、自動運転や言語処理などの複雑な問題を解決する上で中心的な役割を果たしており、これによってエネルギー効率の高い半導体の必要性が一段と高まっている。また半導体の低価格化により、センサーやコントローラー、モーターを組み込みやすくなり、家庭、オフィス、工場の効率向上につながっている。
フェリックス・リー氏(米モーニングスター シニアアナリスト)
・ガイドワイア・ソフトウェア
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.80
- 米モーニングスターの不確実性評価:High
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:ソフトウェア-アプリケーション
ガイドワイア・ソフトウェアは、損害保険会社向けのクラウドベースのソフトウェアソリューションを提供している。私たちは同社のエコノミックモート評価をWideとしている。株価は現在、米モーニングスターによる推定公正価値である220ドルに対して20%割安となっている。
ガイドワイアは長年にわたり、損害保険会社向けの先進的ソフトウェアを開発するとともに、老朽化した基幹レガシーシステムをガイドワイアのソリューションへ刷新する案件の獲得に取り組んできた。こうした近代化の流れは現在も続いているが、同社は今や保険会社のクラウド移行を主導する立場にあり、レガシーソフトウェアベンダーによるサービス提供が十分ではなかった保険業界に再び変革をもたらしている。新規顧客の獲得、既存顧客内での適用業務領域の拡大、さらには追加ソリューションのクロスセルを通じて、同社には長期にわたる成長余地があると私たちはみている。
ガイドワイアは典型的な「ランド・アンド・エクスパンド」戦略を実行している。まず、顧客との接点を担い保険金請求処理を管理する最も重要なシステムであるClaimCenterから導入を進め、その後数年にわたりBillingCenterやPolicyCenterを段階的に展開してきた。現在では、保険会社の業務ニーズ全般をカバーする幅広いソフトウェア群を強力なプラットフォーム上に統合しており、多様な追加ソリューションも提供している。中でもアナリティクス分野は重要な成長ドライバーとなっている。
客観的な指標で見れば、ガイドワイアは損害保険業界向け基幹ソフトウェアのリーディングプロバイダーとなっている。同社のソリューションは既に業界の正味収入保険料の25%以上をカバーしており、年間獲得案件数も主要競合各社の合計を上回っている。同社がかつて業界のシステムの近代化を後押ししたように、現在はInsuranceSuite Cloudをはじめとするクラウドソリューションを通じて大手保険会社のSaaS移行を主導しており、今後も業界変革の最前線に立つと私たちはみている。
私たちはガイドワイアが今後も市場シェア以上のペースで新規顧客を獲得し続けると予想しており、特に大手保険会社市場でその傾向が強まると考えている。その後は、追加の保険業務分野への展開や機能拡張によるアップセルが成長を支える見通しだ。同社はティア1保険会社の重要案件を数多く獲得しており、事業モメンタムは同社に有利に働いていると私たちは考える。また、業界全体としても、場合によっては1950年代に構築されたレガシーシステムを維持し続けることは、もはや時間的にもコスト面でも許容できなくなっているとみている。
ダン・ロマノフ氏(米モーニングスター シニアアナリスト)
・アンフェノール
- 米モーニングスターの株価/公正価値:0.84
- 米モーニングスターの不確実性評価:Medium
- 米モーニングスターのエコノミックモート評価:Wide
- 業種:電子部品
電子部品メーカーのアンフェノールは、今買うべき最良のテクノロジー株リストの最後を飾る銘柄である。アンフェノールは、コネクター、センサー、相互接続システムを世界的に供給している。同社株は現在、米モーニングスターによる推定公正価値である200ドルに対して16%割安となっている。
アンフェノールは差別化を実現しているコネクターサプライヤーだ。優れた事業運営能力を持つ企業であるとともに、株主資本の配分においても卓越した実績を有する企業だと私たちは評価している。電気部品業界は細分化されており競合企業も数多いが、アンフェノールは幅広い最終市場を対象としているため、特定市場が低迷する局面でも売上高を拡大することが可能である。私たちはまた、同社がコスト管理を徹底する能力において競合他社を上回っていると考えている。その結果、アンフェノールは同業他社と比べても最高水準の営業利益率を実現しており、数多くの買収先企業を迅速に全社平均並みの収益性へ引き上げることができている。
アンフェノールは、過酷な環境下で使用されるミッションクリティカルな用途向けに、高性能かつ高信頼性のコネクターを提供している。そのため、同社の顧客との関係は非常に強固であると私たちは考えている。顧客がほかの部品サプライヤーへ切り替える場合には、多額のコストや機会損失が発生するだけでなく、部品故障のリスクも負うことになるためである。私たちはまた、顧客がアンフェノールを単なる部品供給企業ではなく、最先端製品の提供や最終製品における新機能の実現を支援する設計パートナーとして位置付けていると考えている。既存製品がコモディティ化しても、同社は新たなソケット向けに新製品を投入することで高い価格水準を維持することができる。こうした高いスイッチングコストと価格決定力を背景に、アンフェノールはWideなエコノミックモートを有していると私たちは評価している。
私たちは、アンフェノールが今後も多様な最終市場構成を維持するとともに、M&Aを通じて技術領域および地理的事業展開を拡大していくと予想している。これまで同社の売上高成長の約1/3は買収によってもたらされてきた。私たちはまた、中期的には人工知能関連の売上高が同社最大の成長ドライバーになると見込んでいる。ただし、その売上構成比は全体の半分未満にとどまると考えている。同社はエヌビディアをはじめとする主要企業のサーバ構成において有力なポジションを確立しており、その恩恵を受ける見通しだ。事業規模が拡大しても、アンフェノールは業界最高水準の営業利益率を維持できると私たちは考えている。その背景にあるのは、分権型の組織運営モデルである。同社は140人超のゼネラルマネージャーを擁しており、それぞれが大きな裁量権を持って顧客ニーズへの対応やコスト管理を行っている。アンフェノールが買収を進め新たな市場へ進出するにしたがい、ゼネラルマネージャーの数もさらに増加していくと私たちはみている。
ウィリアム・カーウィン氏(米モーニングスター シニアアナリスト)
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