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- 2013/03/22 掲載
NTTドコモのO2Oサービス投入の狙い、携帯キャリアによる事業参入の理由とは
ビッグデータを有効活用したビジネスも
総合サービス企業への転換を図るNTTドコモ
NTTドコモでは、モバイルを核にした総合サービス企業への転換を推進している。同社では、「M2M」「環境エコロジー」「コマース」「安心・安全」「メディカル・ヘルスケア」「メディア・コンテンツ」「金融・決済」「アグリゲーション・プラットフォーム」など、モバイルとシナジー効果が高いさまざまな領域において新たな付加価値創造に向けた取り組みを推進しているそうだ。なかでもコマース関係には特に注力しており、オンラインの情報をトリガーに、実店舗へ送客させるO2Oのサービス開発に取り組んでいる。同社ではこれからの来店促進として、「利用者がわくわくする体験ができて思わず店舗に行きたくなる仕掛けを提供すること」がカギになると見ている。すなわち、スマートフォンによってリアルの場で楽しめる便利なサービスが重要になると見ている。
NTTドコモでは、それを実現するサービスとして、利用者がスマートフォンを持って店舗に来店するだけで、ポイント「star」が貯まったり、お得なクーポンが手に入るサービス「ショッぷらっと」を開始した。
さらに、気に入った店舗に入店するだけで、ポイント「star」が貯まり、クーポンによる割引を受けることができるという。また、貯めたstarは、商品券やギフトカードなどの特典と交換可能だ。
「ショッぷらっと」のシステムでは、スマートフォンが音波を検知し、サーバから情報を配信することでサービスを実現している。同様のシステムは、スポットライトが展開している「スマポ」や、米国の「ショップキック(Shopkick)」が提供しているが、NTTドコモでは独自に開発したシステムを利用していると自信を見せる。なお、音波技術については、NFCやFeliCaリーダなどで実績のあるビー・ユー・ジーとNTTドコモが共同開発している。
10メートルの範囲で位置情報によるチェックインが可能に
今回のシステムでは、店内入口に音波装置を設置。アプリを起動したスマートフォンを持ったユーザーが来店すると、音波装置から発する高周波をスマートフォンが自動検知し、サーバを通じて、スマートフォンに対してstarやクーポンを配信する。NTTドコモでは、自らの強みとして、「世の中にインフラを広げるパワー。さまざまな文化を発信してきた実績」を挙げる。
たとえば、FeliCaの技術を利用したおサイフケータイ(モバイルFeliCa IC技術)では、携帯電話やスマートフォンをリーダライタにタッチするだけでサービスを受けることが可能な「1センチの世界」を日本市場で発信させてきた自負がある。
「今回のサービスで重要なファクターとなったのは10メートルの世界」と、NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 オープンサービス企画担当部長 斎藤剛氏が語るように、同サービスのトライアルにより、「スポットにチェックインするという新たな世界を確かめたい」としている。また、「社会インフラとして広げていきたい」と意気込みを見せる。
非接触の技術は、NFC(Near Field Communication)、Wi-Fi、GPSなどがあるが、音波を利用すれば10メートルという狭い世界で、顧客を識別しながらセキュアなチェックインが可能となる。
音波装置を複数の店舗や店内コーナーに設置すれば、各拠点の巡回を条件としたポイントやクーポン配信が可能となっている。これにより、たとえば大型店舗では、複数のチェックポイントを設けることで、店内の回遊性を高められる。また、アプリ利用者の来店者属性(性別・年齢・郵便番号)が把握できるため、導入企業・店舗は、マーケティング情報を活かした新たな販促施策などの検討が可能となる。
【次ページ】ビッグデータを有効活用したビジネス、KDDIのO2O
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