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- 2013/01/30 掲載
国をまたぐ共通ポイント事業、O2Oとビッグデータを活用したマーケティング需要で拡大
CCCはヤフーと提携し、会員基盤やO2O展開を強化
流通業における顧客サービスの変遷をみると、1960年代から紙を利用したスタンプサービスが登場し、1980年代後半になると百貨店を中心に顧客の囲い込みの目的でカードが発行されるようになった。1989年には、ヨドバシカメラがポイントカードの発行を開始した。今もヨドバシカメラのポイントカードには、「ポイントカードは、ヨドバシカメラが初めに考案したシステムです。」と記載されている。1990年代の後半からはスーパーやコンビニエンスストアなどが顧客を特定する会員サービスを開始。2000年代に入り、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)の「Tポイント」や三菱商事子会社のロイヤリティ マーケティング(以下、LM)が運営する「Ponta」といった共通ポイントが登場している。両社とも主要な電子マネー事業者を上回る月間1億5,000万件強のトランザクションを誇る(表1)。
表1 TポイントとPontaの比較 | ||
Tポイント(2012年10月末) | Ponta(2012年11月末) | |
プログラム運営会社 | Tポイント・ジャパン (カルチュア・コンビニエンス・クラブ子会社) | ロイヤリティ マーケティング (三菱商事子会社) |
ポイントの開始 | 2003年 | 2010年 |
会員数 | 4,229万人 (累計発行枚数1億3,000万枚以上) | 5,000万人以上 |
提携企業数 | 91社 | 56社 |
加盟店数 | 4万9734店舗 | 4万店以上 |
また、Tポイントアライアンス企業は2012年10月末現在、全国91社4万9734店舗となっている。最近では、地域に密着した街の中小店舗やインターネット加盟店の開拓に取り組みTポイントアライアンス網を拡大している。
CCCとヤフーでは2012年6月、戦略的資本・業務提携について基本合意したと発表した。ヤフーでは、「Yahoo!ポイント」を「Tポイント」に切り替え、CCCは「T-ID」を「Yahoo! JAPAN ID」へ統一する。
CCCでは、ヤフーと提携することにより、会員数の拡大に加え、店舗数26万店、年間取扱高3兆円規模の会員組織になるとみており、今後はオンラインとオフラインを連携した取組が活発に行われると思われる。また、ファミリーマートなどと協力し、Tポイントの会員属性とアライアンス先のPOSデータを融合させた新たなマーケティング活動にも取り組んでいる。
Pontaではビッグデータを活用したCRM研究会を発足
一方、LMが展開する共通ポイントサービス「Ponta」は、2012年2月に会員数4,000万人を突破。2012年11月30日時点で5000万人を達成した。当初LMでは、2013年7月末に5000万人到達を予想していたが、目標を8カ月前倒ししての達成となる。目標を上回る急速な会員数拡大の主な要因は、(1)新規提携社拡大によるPonta会員の利便性向上、(2)「Ponta」のデータ分析を活用したLM独自のマーケティング支援の拡大、と同社では捉えている。
2012年11月30日現在、Ponta提携社は、56社71ブランドまで拡大。SNS「mixi」を運営するミクシィやリクルートライフスタイルと提携するなど、O2Oにも積極的だ(参考記事:O2Oとは)。
また、異業種連合による「CRM研究会」を発足し、消費者の行動情報を一元的に把握して、より効率的なマーケティングを実施できるように取り組んでいる。すでにPontaの提携社であるローソンでは、会員データを活用して効果的な商品開発やマーケティング施策につなげているが、それ以外の業種・業態の店舗でも実のあるCRM展開を実施できるように努めている。
【次ページ】海外のポイントカード動向と今後のゆくえ
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