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- 2014/04/17 掲載
ディッキーズ 松岡洋平 副社長が語る、わずか3か月で事業の立ち上げに成功した理由
事業基盤の構築と業務の垂直立ち上げを目指し、クラウドERPを採用
アジア圏では比較的小売業に注力しており、圏内には約450の店舗を抱え、2008年には中国法人、2011年7月には日本法人を設立した。日中のサプライチェーンと商品の統合を推進していくためだ。ちなみに2008年からの5年間で、日本での小売売上高は3倍、中国での小売売上高は11倍の伸びを示しているという。
日本法人では2012年1月からの事業開始に当たり、基幹システムを導入する必要があった。その際に大きくこだわったのが“最短”で導入すること。ガートナー エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2014に登壇した松岡洋平氏は次のように振り返る。
「求めた要件は大きく2つ。1つめが、米国本社の財務管理システムときちんと連結できること。それによって、アジアのヘッドクォータとして期待される日本法人の事業基盤構築を目指す。そして2つめが、業務を短期間で垂直立ち上げできること。2012年1月の商品初出荷は決まっていた」
特に業務の垂直立ち上げについては、会社設立直前の2011年3月に東日本大震災が発生し、ヒトやモノが揃わない状況でスタートしなければならなかったという。
「20名の社員で、半年後の商品出荷を実現しなければならない。スピードにこだわったERP導入を実現する必要があった」
3つのステップを経て、わずか1か月で製品選定を完了
実際のERP導入に当たって、松岡氏は「大前提はもちろん省コスト。当然枠内に収める必要があり、予算超過はあり得ない」として、1,000万円という予算制約があったことを明かしたうえで、人がシステムに合わせること、セットアップの早さを最優先すること、少人数で運用可能な体制を作ることの3つをコンセプトに設定していたと説明した。人がシステムに合わせるという点については、ERPには財務会計や販売管理など、基本的な業務が織り込まれているので、それをできるだけカスタマイズしないで使うことにした。
「業務フローもまだ確立されていなかったので、それも同時進行で整理し、稼働後にチューニングを行うことにした」
またセットアップの早さを求めたのは、決められた予算で人員も少ない中、事前の準備段階で省けるものは、可能な限り省く必要があり、一方で早くシステムができれば、ユーザーがシステムに習熟するための時間も確保できるからだ。
そして少人数で運用可能な体制作りを目指したのは、人材確保の困難さとバックアップの利く体制を考慮したからだ。
「欲しい人が欲しい時に採用できるとは限らない。また最初は少数精鋭で運用するほうが、急速な需要変化にも対応できると考えた。一人の人間が複数の事案にも対応できる体制を作り、それに合わせた業務設計をして、できるだけ人に依存しない、バックアップが効く形を志向していくことにした」
実際の製品選定プロセスは、候補リストの作成から選定完了までわずか約1か月で、これを3つのステップで進めたという。
まずグローバル展開が可能かどうかを評価ポイントに、RFI(情報提供依頼書)の対象となるベンダー100社から18社に絞り、次にランニングコストを評価ポイントに、RFP(提案依頼書)の対象となるベンダーを18社から4社に、そして最後に、イニシャルコスト/品質/納期を軸に採用製品とベンダーを決定した。
「評価項目が多すぎると、選定する際のポイントが曖昧になる。最終フェーズでは、そのまま使える機能がどれだけ豊富かの1点に絞って、最後の1社を決定した」
【次ページ】製品選定後、約3か月で業務の垂直立ち上げを実現
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