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  • 2014/04/17 掲載

ディッキーズ 松岡洋平 副社長が語る、わずか3か月で事業の立ち上げに成功した理由

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1922年に米テキサス州で誕生したワークカジュアルブランドの「ディッキーズ」。今や世界110か国以上で展開し、グローバルでの従業員数は約7000名、ブランド小売の売上規模は約2,000億円にのぼる。同ブランドの本格的な日本展開のために設立されたウィリアムソン・ディッキー・ジャパン合同会社は、わずか3か月という短期間での事業立ち上げを目指してクラウドERPを採用した。その取り組みと実際の効果について、ウィリアムソン・ディッキー・ジャパン・リミテッド 日本法人副社長の松岡 洋平 氏が語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

事業基盤の構築と業務の垂直立ち上げを目指し、クラウドERPを採用

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 元々ディッキーズはワークウェアの卸売を手がけており、日本進出自体は伊藤忠商事とライセンス契約を締結した1994年にさかのぼる。

 アジア圏では比較的小売業に注力しており、圏内には約450の店舗を抱え、2008年には中国法人、2011年7月には日本法人を設立した。日中のサプライチェーンと商品の統合を推進していくためだ。ちなみに2008年からの5年間で、日本での小売売上高は3倍、中国での小売売上高は11倍の伸びを示しているという。

 日本法人では2012年1月からの事業開始に当たり、基幹システムを導入する必要があった。その際に大きくこだわったのが“最短”で導入すること。ガートナー エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2014に登壇した松岡洋平氏は次のように振り返る。

「求めた要件は大きく2つ。1つめが、米国本社の財務管理システムときちんと連結できること。それによって、アジアのヘッドクォータとして期待される日本法人の事業基盤構築を目指す。そして2つめが、業務を短期間で垂直立ち上げできること。2012年1月の商品初出荷は決まっていた」

 特に業務の垂直立ち上げについては、会社設立直前の2011年3月に東日本大震災が発生し、ヒトやモノが揃わない状況でスタートしなければならなかったという。

「20名の社員で、半年後の商品出荷を実現しなければならない。スピードにこだわったERP導入を実現する必要があった」

3つのステップを経て、わずか1か月で製品選定を完了

 実際のERP導入に当たって、松岡氏は「大前提はもちろん省コスト。当然枠内に収める必要があり、予算超過はあり得ない」として、1,000万円という予算制約があったことを明かしたうえで、人がシステムに合わせること、セットアップの早さを最優先すること、少人数で運用可能な体制を作ることの3つをコンセプトに設定していたと説明した。

 人がシステムに合わせるという点については、ERPには財務会計や販売管理など、基本的な業務が織り込まれているので、それをできるだけカスタマイズしないで使うことにした。

「業務フローもまだ確立されていなかったので、それも同時進行で整理し、稼働後にチューニングを行うことにした」

 またセットアップの早さを求めたのは、決められた予算で人員も少ない中、事前の準備段階で省けるものは、可能な限り省く必要があり、一方で早くシステムができれば、ユーザーがシステムに習熟するための時間も確保できるからだ。

 そして少人数で運用可能な体制作りを目指したのは、人材確保の困難さとバックアップの利く体制を考慮したからだ。

「欲しい人が欲しい時に採用できるとは限らない。また最初は少数精鋭で運用するほうが、急速な需要変化にも対応できると考えた。一人の人間が複数の事案にも対応できる体制を作り、それに合わせた業務設計をして、できるだけ人に依存しない、バックアップが効く形を志向していくことにした」

 実際の製品選定プロセスは、候補リストの作成から選定完了までわずか約1か月で、これを3つのステップで進めたという。

 まずグローバル展開が可能かどうかを評価ポイントに、RFI(情報提供依頼書)の対象となるベンダー100社から18社に絞り、次にランニングコストを評価ポイントに、RFP(提案依頼書)の対象となるベンダーを18社から4社に、そして最後に、イニシャルコスト/品質/納期を軸に採用製品とベンダーを決定した。

「評価項目が多すぎると、選定する際のポイントが曖昧になる。最終フェーズでは、そのまま使える機能がどれだけ豊富かの1点に絞って、最後の1社を決定した」

画像
最終選定結果:評価項目が多すぎるとポイントが曖昧になるという
(出典:ウィリアムソン・ディッキー・ジャパン)


【次ページ】製品選定後、約3か月で業務の垂直立ち上げを実現

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