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  • 2014/05/21 掲載

au WALLETで流通規模1兆円を目指すKDDI 異業種混戦のID・ポイントサービス経済圏

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KDDIの経済圏がついにモバイルの世界を飛び出した。大々的にテレビCMで告知しているのでご存じの方もいるかもしれないが、同社は本日、2014年5月21日から電子マネー「au WALLET(ウォレット)」を開始する。世界約3810万のMasterCard加盟店、国内約2000社のWebMoney加盟店の双方で利用でき、ポイントも貯まるのが特徴だ。ネットとリアルを融合させ、「流通規模1兆円を目指す」(KDDI 田中社長)という。一方、インターネットのポイントで圧倒的な強みを持つ楽天では、「楽天スーパーポイント」のリアル展開を今秋開始し、リクルートホールディングスは「Ponta」運営のロイヤリティマーケティングと提携した。ID・ポイントサービスの世界は、ネットとリアル入り乱れた“異業種格闘戦”の様相を呈してきた。

KDDIがスマホと連携した「au Wallet」を開始、「チャージ」「決済」「ポイント」を融合

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「au Wallet」のカードとアプリ
 KDDIが開始する「au WALLET」は、4000万人にのぼるKDDIユーザーのうち、配布を希望するユーザーに年会費無料・審査無料でポイントカードを配布するプログラムとなる。サービスのポイントは、「チャージ」「決済」「ポイント」だ。

 無料で配布したカードには、キャリア決済サービス「auかんたん決済」、auショップ、じぶん銀行、クレジットカードからチャージが可能だ。入金の上限金額は10万円、1回のチャージは2万5,000円まで(auかんたん決済の場合2万円、じぶん銀行、クレジットカード、auショップの場合2万5,000円)。中でも「auかんたん決済」は、都度チャージに加え、オートチャージの2種類を用意している。

 以前は、携帯キャリア決済というとデジタルコンテンツを中心とした決済に利用されてきたが、最近ではスマートフォンの広がりとともに、物販でも徐々に利用されるようになった。利用者にとっては、都度のクレジットカード番号などの入力などの手間がなく、外出先でもPINのみで簡単にチャージできるメリットもある。

 電子マネー決済については、汎用性の高いブランドプリペイドカードを採用。KDDI 代表取締役 田中孝司氏によると、電子マネーは誰でも使えて、ポイントが貯まるなど「市民権を得ている」が、(1)コンビニエンスストアなど小額決済での利用シーンが中心、(2)グループ内など利用箇所が限定的――といった課題があるそうだ。

 それに対し、「au WALLET」は、クレジットカードのように世界約3810万のMasterCard加盟店で利用可能であり、十分戦っていけると判断した模様だ。また、小額から数万円の買い物まで、ネット・リアル問わずさまざまな業種・業態で使用できるのもアドバンテージとなる。

11社、約2万店舗の「ポイントアップ店」で特典を提供、2016年度に流通規模1兆円を目指す

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auショップに来店し、専用端末「au WALLETウェルカムガチャ」にau WALLETカードをかざすと、抽選で最大3000ポイントがプレゼントされる
 さらに、利用特典として、プリペイドカードの利用やau携帯電話など毎月の通信料金の支払い金額に応じて「WALLETポイント」を付与している。リアルやネットでの決済時は200円(税込)で1ポイント、auショッピングモールでは100円(税込)につき1ポイント、au通信料では1,000円(税込)で10ポイント付与される。

 加えて、11社、約2万店舗の「ポイントアップ店」では、通常のポイント付与に加え、ポイントが上乗せされる。ポイント特約店には、セブン-イレブン、マツモトキヨシ、ココス、コロワイド東日本(甘太郎、北海道、ラ・パウザなど)、アトム(ステーキ宮、にぎりの徳兵衛など)、紀伊國屋書店、TOHOシネマズ、第一興商(BIG ECHO、ビッグエコー、ビッグエコー25、祭一丁&ビッグエコーなど)、ランシステム(自遊空間)、ヴィクトリア(ヴィクトリア、ヴィクトリアゴルフ、エルブレス)、アコーディア・ゴルフが名を連ねている。

 ポイントアップ店については、共通ポイントカードを展開する企業のように、1業種1社といった制約は設けていない。そのため、今後も大手を中心にポイントアップ店の開拓を進めていくという。

 また、決済時に貯まるポイントの原資負担については、各流通企業との交渉により決定される。流通企業によっては、他のポイント事業者との契約関係により、ポイントを併用しての付与ができないケースもある。貯まったポイントは、ネットショッピングや携帯端末の購入代金として利用できるほか、au WALLETカードにチャージして店舗での決済に利用可能だ。また、auの通信料金にも充当可能となっている。

 KDDIでは、「au Wallet」のサービスにより、「Walletポイント」を介したバリューチェーンを生み出し、ネットとリアルを融合した新たな経済圏の創出を狙う。

 2月の会見時に田中氏は、「auの顧客基盤を活かして、2016年度に流通規模1兆円を目指す」と発表している。ちなみに1兆円という金額は、イオンが発行する「WAON」が2012年2月期に、ポイントカードで初めて年間の決済総額が1兆円を超えたのに匹敵する規模となる。

 また、au Walletでもポイントの原資は発生するが、ポイントアップ店からのキャンペーン費用に加え、カード手数料収益を得ることが可能となる。田中氏が掲げる「生活革命」が実現できるか、楽しみである。

【次ページ】ドコモの「iD」における課題を払拭できるか?

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