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  • 2014/07/15 掲載

東京都檜原村で林業を営む東京チェンソーズが、なぜ下請けから元請けへ転換できたのか

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東京都で林業に従事する東京チェンソーズは、2006年の創業以来、ほぼ右肩上がりで業績を伸ばしている。創業当初は地元森林組合からの委託事業がほぼ100パーセントだったが、2010年に下請けからの脱却を目指し、180度の方向転換を図った。2014年4月末の前期終了時点での年商は、約6500万円にのぼるという。林業というレガシーな業界において、東京チェンソーズはなぜ一定の成功をおさめることができるのか。opnlab主催のイベント「農家×林業家が語る:一次産業の新たなビジネスモデルとソーシャルメディアマーケティング」で登壇した代表の青木 亮輔氏が、これまでの取り組みと今後の展開について語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

下請けからの脱却を図り、創業4年目に元請けへの転換を目指す

 読者の皆さまにとって「東京×林業」は、あまり馴染みのない組み合わせと思われるかもしれない。

 しかし、東京チェンソーズ 代表の青木氏によれば東京都の実に36パーセントが森林で、東京チェンソーズは檜原村を拠点に、奥多摩町、日の出町、青梅市、八王子市などで林業に従事しているという。

photo
東京チェンソーズ
代表取締役社長
青木 亮輔氏
「林業は、“持続可能な循環型の産業”です。苗木の植え付けから始まり、周辺の草を刈り、いい木にするために形の悪いものは抜き、密度を調整するために間伐も行う。成長後は下枝を打ち落とす枝打ちという作業をし、30年、50年、あるいは100年、200年経ってから最後に伐採する。そしてまた植え付けから始まる。この一連の作業を、繰り返し行います」

 東京チェンソーズが拠点を置く檜原村は、どんどん人口が減っている。約14~5年前には約3500人だったものが2010年に約2500人、今では2400人台になっているという。なおかつ林業の就業者も全国的にどんどん減っているのが現状だ。

 住む人も、林業をする人も減っていることは、逆にニーズがあるのではないか――。元々地元森林組合に勤めていたという青木氏は、森林組合から独立する形で東京チェンソーズを立ち上げた。当時は4名で、冒頭でも触れたように森林組合からの委託事業が中心だったが、2010年に下請けからの脱却を図り、東京チェンソーズ自身が元請けになることを目標に掲げた。

 現在の事業内訳としては、公益財団法人 東京都農林水産振興財団や東京都関係の仕事など公共事業の色合いが強いものが中心で、もちろん森林組合や個人山主からの請負業務もある。具体的な事業内容としては、造林・育林の管理作業の請負、森林の整備、管理、調査、森林に関するイベントの企画、制作、開催だ。

元請けへの転換のためには、優秀な人材の育成が必須

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 ただしいきなり下請けからの脱却を図るといっても、それまでお世話になってきた森林組合との関係がある。そこでは誠意を持って、自社の意向をきちんと伝えたという。

 一方、同社が独立した元請けとして成功するためには、やはり優秀な人材の育成が必要不可欠だ。そこで青木氏は求める人材像として、3つの柱を立てた。

 1つめが、既成概念に囚われない柔軟な発想と行動力のある人材、2つめが、常に地域社会に貢献する意欲を持って活動できる人材、そして3つめが、現場での技術と知識を磨き、その経験を会社事業に活かせる人材だ。

「しかし林業の現場は、『きつい・汚い・危険』のいわゆる『3K』だと言われました。現場と事務職の温度差も非常に大きかった。たとえば現場は日給月給制なのに対し、事務所は完全月給制でボーナスも出る。さらにはそうした不満もなかなか言い出せない空気があったのです」

 そのため待遇に不満を持って辞めていく人が多く、また若い人材が入ってきても長続きしなかった。事務職の人には現場の苦労が見えていない。情報の共有も、意思の共有もされていなかった。そこで青木氏は、社内の基盤づくりに乗り出すことになる。

【次ページ】社内基盤づくりのための「3つの要素」

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