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  • 2014/12/26 掲載

伊藤園 角野賢一氏が語る お~いお茶をシリコンバレーに浸透させたマーケティング戦略

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エバーノートやヤフーをはじめとするシリコンバレーのベンチャー企業に端を発し、いまアメリカで緑茶ブームが起こっている。その火付け役になったのが、2015年2月1日に緑茶飲料の発売30周年を迎える日本企業、伊藤園の「お~いお茶」だ。緑茶を飲むという習慣が根付いていなかったシリコンバレーに、なぜこのムーブメントが起こったのだろうか。Peatixの主催で行われた「イベント・マーケティングセミナー」では、伊藤園の角野賢一氏が登壇し、伊藤園のお~いお茶がシリコンバレーで愛されている秘密を明かした。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

シリコンバレーのベンチャーに愛されるお~いお茶

photo
伊藤園
マーケティング本部
広告宣伝部
角野 賢一氏
 グーグル、フェイスブック、ツイッターといったベンチャーのカフェテリアの一角、フリードリンクコーナーの冷蔵庫にはいま、伊藤園の「お~いお茶」が鎮座しているのをご存知だろうか。

 シリコンバレーのベンチャー企業に対して営業活動を行ってきたのが伊藤園の角野 賢一氏だ。角野氏は2009年、伊藤園の米国現地法人である「ITO EN(North America)INC.」で、西海岸の販売強化のためサンフランシスコを拠点に営業をすることになった。当初は先輩社員と2人で活動を行っていたが、まもなくして角野氏がひとりで同地域を担当することになった。

 いままでひとりで仕事をした経験もなく、どうやって仕事を進めていくべきか?と悩んでいた同氏は、渡米前に人事部長にかけられた言葉を思い出した。

「角野君、いきなりサンフランシスコに行って、売上げが何倍にも伸びるとは期待していない。売上げを伸ばすよりも、とにかく何か自分の足跡を残してほしい」

 それまで同氏は、国内で自動販売機や店舗周りなど、顧客と触れ合いながら泥臭い営業を地道にやってきた。逆にそれが、自分の大きな強味であることも認識していた。角野氏は「アメリカでも国内と同様のやり方で、新たな人脈とルートをつくることが大きなチャレンジになると思いました」と当時を振り返る。

お~いお茶をベンチャー企業に売り込んだ理由

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 サンフランシスコを舞台に営業をするならば、どこがよいのだろうか――。

 角野氏は思案を巡らせた。子供の頃から日本茶に親しんでもらい、大人になっても飲み続けてくれるように学校へ拡販するのはどうか糖尿病などの疾病を抱える患者が多いアメリカでは、また病院に売り込むのもよいかもしれない。考え抜いた末に「世界の最先端企業が集まるシリコンバレーに乗り込んでいくこと」だと考えたのだ。

「シリコンバレーで働くようなベンチャー企業は社員の福利厚生に力を入れており、カジュアルな環境で、無料のフリーランチやフリードリンクを社員に振る舞う文化がありました。そこに向けてお~いお茶を入れていきたいと考えたのです」

 とはいえ、当時の角野氏は何のコネクションもなかった。もちろん企業のカフェテリアに設置されていたフリードリンクの冷蔵庫にも、伊藤園の商品の取り扱いはゼロの状況だ。「そこで、とにかく片っ端から会社リストをつくり、力任せに飛び込み営業を行っていきました」

 しかし、世の中はそう甘くない。ましてや、ここは米国だ。アポなしの飛び込み作戦では門前払いされたり、かなり苦戦したという。なかなかキーマンまで取り次いでもらうこともできず、体当たりの営業はうまくいかなかったそうだ。

 万策尽きた同氏だったが、あるとき知り合いを通じて、エバーノート日本法人のCEOである外村 仁氏に相談に乗ってもらう。ここから、伊藤園のお~いお茶がシリコンバレーのベンチャー企業に受け入れられるきっかけが生まれる。

【次ページ】シリコンバレーでは「プッシュ型マーケティング」が通用しにくい

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