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- 2015/12/24 07:00 掲載
「当たり前」のことしか載っていない? 「孫子の兵法」から本質を体得するには
現代人が陥りがちな「孫子の兵法」の落とし穴(前編)
1982年生まれ、東京大学工学部システム創成学科卒。製造業DX・人材ビジネス・IT開発・新規事業などの経験から、プロジェクト活動における「未知」という難しさを痛感。解決策を模索する中で、学生時代に学んだ設計学・サービス工学のプロジェクト活動への応用を着想した「プ譜(プロジェクト譜)」は、進行設計を計画書ではなく「譜面」として表現することで、管理に寄りすぎず、柔らかな進め方ができる手法として、静かながらも長年の支持を得ている。組織マネージャ、ITプロマネ、二児の父という三足のわらじが履ききれなくなって、2019年5月に独立。企業研修や実務支援に取り組む中で、どの業界、企業、人にも共通する悩みがあると理解し、何か一助になりたいと思いながらも試行錯誤を続けている。近年はプ譜を用いた壁打ちセッションを試行中。
「孫子の兵法」に記されている言葉は本当に金言なのか?
戦略論の元祖といえば「孫子の兵法」ということで、毎月毎月飽きもせず、驚くべき数の孫子解説書が出版されている。事業戦略論から始まって、スタートアップの生き残り戦略、営業マンの仕事術から中小企業の経営指南、本格的な翻訳・新訳企画にチャート式図解、マンガ解説と、あらゆる観点・切り口で、二千五百年以上も前の書物が研究され、解説され続けている。
しかしその原文は、驚くほどシンプルである。そのオリジナルは、印刷技術どころか紙すらなかった時代に書かれたもので、長い歴史のなかで数え切れない人の手によって、人力カット&ペーストで受け継がれてきた。そのなかで、様々なバージョン違いが生み出されては消えていったわけだが、結果、現代に流通している原稿本は、文字数にしてたった約四千字の書である。
どのような入門書から入っても、必ず目にする言葉は「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」。しかし、このフレーズをただ読んで納得したとして、そこに何があるのだろうか?
この言葉を現代語訳すれば「相手のことを知って、自分のことを知ったら、百回戦っても負けない」となる。どこからどう突っ込みを入れようとも、この論理に瑕疵を発見することはできない。しかし、「このフレーズが意味するところのものが、実際のところ、どういうことなのか」ということは、意外と語れることが少ないようである。
「相手のことを知って、自分のことを知ったら、百回戦っても負けない」というけれども、「相手のことを知る」とはどういうことなのだろう?百回戦っても負けないためには、何をどの程度知ることができれば良いのだろうか?
【次ページ】言われてみれば当たり前、孫子から得られるものはあるか?
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