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  • 2016/03/03 掲載

テレビ局5社の決算を比較!本業で稼げる日テレと稼げないTBS、本当はどちらがよいのか

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「団塊の世代」に始まる戦後世代は、テレビと一緒に大きくなった。プロ野球中継で王や長嶋の豪打で元気をもらった後、3アウトチェンジになると流れる自家用車やビールのCMで、テレビ局も金銭的な元気を注入された。そうやって民放テレビ、特に東京にあるネットワークキー局5社は、広告収入をたっぷり吸い込んで巨大化した。だが今、「お茶の間」は死語になり、テレビもマスメディアの絶対的な王者ではなくなった。それを反映して最近の各社の業績は上下の変動が激しくなり、放送の「本業」では稼げなくなった企業も出て、リモコンのボタンのように横並びではなくなっている。「テレビ離れ」とも言われる中、在京キー局5社はこれからどんな方向に活路を見出そうとしているのだろうか?
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TBSの営業利益の稼ぎ頭は「赤坂サカス」などの不動産セグメントだ

最終利益でフジは退潮し、日テレは連続増益

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 日本のテレビの業界地図は、東京にある「在京キー局」が番組を制作し、それを各ブロック、各県にある系列局のネットワークを通じてCM込みで全国に流す、という構図になっている。芸能番組は関西のテレビ局も制作することがあり、各地の系列局も自主制作の番組をつくることがあるが、基本的には大部分の番組が東京の在京キー局で制作されている。広告収入もいったんキー局に入り、「ネットワーク費」「電波料」といった名目で系列局に分配されている。

 そのため、テレビ制作会社も芸能プロダクションも芸能人も、コメンテーターとしてスタジオに呼ばれる評論家も学者も、東京に集中する。言い換えれば「東京にいないとメシが食えない」のだ。そうやって高度成長期、テレビ周辺業界の東京一極集中が進んだ。

 民放テレビ放送開始の4年後の1957年には作家の大宅壮一氏から「一億総白痴化」と軽蔑され、活字の世界の“教養人”から低俗呼ばわりされた。

 それでもテレビマンは活字メディアに対し「こっちのほうが新しいのだ」という屈折した思いを抱きながら、約50年かけて日本のテレビ業界、テレビ文化を築いていった。いつしか在京キー局5社の周辺では巨額のカネが動くようになり、マスメディアの「王者」として君臨するようになった。

 しかし今、「テレビ不況」と言われ、その王者の地位が脅かされている。「国民的キラーコンテンツがなくなった」「娯楽の多様化」「CSの専門チャンネルに流れた」「動画サイトなどネットに流れた」「若者のテレビ離れ」など要因はいろいろ語られるが、結果は上場しているフジ・メディア・ホールディングス(フジ)、東京放送ホールディングス(TBS)、日本テレビホールディングス(日テレ)、テレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日)、テレビ東京ホールディングス(テレビ東京)の在京キー局5社の決算数字に現れている。

 2011年3月期はTBSの最終利益が1億円まで落ち込み、2013年3月期はテレビ東京が3億円の最終赤字を計上した。アベノミクスのもとで景気は回復したと言われ、企業業績は改善しているが、収入を広告に依存するテレビ業界は必ずしもその恩恵にあずかれていない。2016年3月期の業績見通しもフジ、TBSは最終減益を見込んでいる。

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在京キー局5社の最終利益の推移(単位:億円)

 特に退潮が目立つのが、かつて「視聴率三冠王」を占めわが世の春を謳歌していたフジで、視聴率低下と歩調を合わせて最終利益は2012年3月期の612億円をピークに落ち込み、200億円を超えなくなった。TBS、テレビ朝日は100億円前後の水準にとどまる。

 テレビ東京は最終赤字から立ち直って健闘。唯一、日テレだけコンスタントに最終増益を続けており、2016年3月期は360億円を見込み、5年前の約7割増という好調ぶり。業績を見れば、現在のテレビ業界でわが世の春を謳歌しているのは日テレだと一目瞭然だ。

【次ページ】本業で稼げる日テレ、稼げないTBS 「SMAP問題」の底流にあったものとは?
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