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2016年03月03日

ソニー吉田修平氏が語るVRの可能性、「Sense of Presence」がキーワード

「Oculus Rift」や「PlayStation VR」(PS VR)といったVR機器が話題を集め、真の意味でのバーチャリアリティ(VR)を実現する原動力になりつつある。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE) ワールドワイド・スタジオプレジデントの吉田修平氏は「システム的に品質の高いVR体験を届けられる環境が整い、エンターテインメントだけでなく、医療・教育・研究・旅行・イベント、ジャーナリズムでも、非常にパワーのあるメディアとしてVRが使われていくだろう」と説明する。


いまVRが注目されている2つの背景と原動力

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ソニー・コンピュータエンタテインメント
ワールドワイド・スタジオプレジデント
吉田 修平 氏

 VRの研究自体は、決して新しいものではない。1960年代頃から始まり、1990年代には一世を風靡したのち、その後、下火になった。そのVRが、なぜいま改めて注目されているのか。

 まず、VRには非常に高精細で性能の優れたフラットディスプレイが必要だ。それがスマートフォンの爆発的な普及によって大量生産されるようになった。その結果、コンポーネントとしてのディスプレイやセンサーの性能が良くなり、同時にコストも下がってきたという背景がある。

「スマートフォンとVRシステムのキー・コンポーネントには共通点が多い。その証拠に“Google Cardboard”や“Samsung Gear VR”のように、スマートフォンそのものを利用してVRを実現する機器も提案されている」(吉田氏)。

 もう1つ、いまVRが注目されている理由として、3Dグラフィックス性能の飛躍的な向上も挙げられる。素晴らしいVRを実現するには、ハイパフォーマンスなコンピューターで3Dグラフィックをリアルタイムに生成しなければならない。近年はCPU自体の性能も追従してきた。そしてコンテンツを開発するディベロッパーが“Unity”などの優れた統合型ゲーム開発環境を使って、高品質な3Dグラフィック・アプリケーションを容易につくれるようになった。

「このような環境が惑星直列のような絶妙なタイミングで同時に整ってきた。そしてコンシューマーレベルの価格でコンテンツを制作できるようになった。これが今回、VRが世間で騒がれている理由であり、大きな期待の原動力になっている」(吉田氏)

VR体験を語る際の共通キーワード「Sense of Presence」とは

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 もちろんソニーも以前からVRに取り組んでいる。たとえば2010年からモーションコントローラーとPS3用のUSBカメラを使用するプレイフォーマット「PlayStation Move」を発売。

 これはコントローラーの3次元空間におけるポジション(距離)と傾きを正確に測定できるだけのシステムだったが、当時はこれを映像用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と組み合わせ、簡易的なVRシステムをつくる活動が草の根的に始まった。

「こういった動向をみてきたため、PS4の時代になれば、本当に素晴らしいVRの世界が実現できると感じていた。そこで2011年に日米のスタッフを募ってプロジェクトをスタートさせたのが、PS VRを開発する契機となった」(吉田氏)

 いまVRに取り組む業界では、素晴らしいVRのエクスペリエンスを語る際に「Sense of Presence」という言葉が共通キーワードになっているという。

「これはVRシステムを利用した際に、あたかも別世界に自分が存在することを信じてしまうような感覚のことだ。没入感を超えたもので、たとえば高層ビルから覗き込んだ世界で、自分の体がガクガクと震えてしまうような状態を指す」(吉田氏)

 Sense of Presenceは、VRでしか実現できないものの1つだが、1つでも何か違和感があればユーザーが醒めてしまうものでもある。サイト(映像の追従性)、サウンド(音の方向)、トラッキング(3次元におけるHMDの位置)、コントロール(インタラクション)、コンフォート(HMDの重量や装着性)、コンテンツといったすべての要素が総合されて、初めて心地よいVR体験が実現できる。このようなVR体験には、非常に多くの知見と技術、努力、工夫が求められると吉田氏は指摘する。

【次ページ】PS VRの発売時期は?VR技術で未来はどう変わる?

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