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  • 2016/05/12 掲載

アイドルもベテラン歌手もみんな「音楽ライブ」をやりたい理由

地方自治体に大チャンス到来!

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音楽CDの売上は長期低落傾向、音楽配信も頭打ちだが、それを尻目に10年で約2倍の成長を見せているのが「生の音楽ライブ」の興行収入。中でもJ-POPは、聴衆の年齢層も市場規模も厚くなっていて、有望な分野といえる。東京五輪を控えた首都圏ではライブ会場の深刻な不足が起きているが、それは「地域経済への波及効果が大きい音楽ライブを誘致して地域おこし」を狙いたい地方自治体にとっては、大きなチャンス到来と言える。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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音楽業界では生ライブやコンサートの存在感が増している

CDや音楽配信はふるわなくても音楽ライブは過去数年間で急成長

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 これから初夏から夏にかけては野外音楽フェスティバル、略して「野外フェス」「夏フェス」のシーズン。今年も避暑地で、海岸で、スタジアムで、公園で、さまざまな音楽イベントが予定されている。野外フェスに限らず屋内会場も含めた音楽のライブ、コンサートは、右肩上がりで伸びている「成長分野」である。

 同じ音楽でも、CDや音楽配信の売上げは右肩下がりの「不況」が続いている。4月8日に日本レコード協会が発表した「日本のレコード産業2016」によると、CDやDVDなど「音楽ソフト」の国内売上額は長期低落傾向が続いている。

 2015年実績は2,544億円で前年から2億円増えているが、過去のピークの1998年の6,075億円と比べると58.1%減で、半分以下に落ち込んだ。10年前の2005年の4,222億円と比べても39.7%減で、約4割の減少。それは「日本ではミリオンセラー級のヒットがなかなか出なくなった」という、よく聞かれる話を裏付ける。

 かつては「CDは音楽配信にとって代わられている」という見方もあったが、その有料音楽配信の国内売上額は2009年の910億円がピークで、2015年は471億円で48.2%減と、6年でほぼ半減してしまった。

 2015年は「定額音楽配信サービス元年」と言われ、「AWA」「LINE MUSIC」「Apple Music」「Google PlayMusic」が続々日本でサービスを開始して大きな話題になったが、底だった2013年の417億円から54億円持ち直したにすぎない。そんな状況から、「日本の若者の間に音楽離れが起きているのではないか?」という声まで起きている。

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国内の音楽ソフト、有料音楽配信の売上推移
※有料音楽配信の2004年はデータがない
(出典:日本レコード協会「日本のレコード産業2016」)



 もっとも、音楽ソフトでも数時間のコンサートの映像を収録したようなブルーレイディスクの売れ行きは伸びていて、「ライブなら見る。決して音楽離れが起きているのではない」という意見もある。それを裏付けるかのようなデータが示されているのが、ぴあ総研が毎年調査して11月に発表している「ライブ・エンタテインメント白書」である。

 この白書では音楽ライブも、演劇の公演やお笑いライブのようなステージも合わせて調査しているが、国内の音楽コンサートの興行収入をもとにした市場規模に限って言えば、過去10年間、おおむね右肩上がりの成長を続けている。

 2014年の市場規模は2,721億円で、2004年の1,365億円から10年で約2倍。音楽ソフトの売上額(2,542億円)を初めて追い抜いた。とりわけ東日本大震災の翌年でチャリティーライブが盛んだった2012年以後の伸びが顕著で、1,634億円だった2011年から3年間で66.5%も伸びている。

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国内の音楽コンサートの市場規模
(出典:ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント白書」)


 調査対象の音楽コンサートにはクラシックも演歌も国内外の民謡(民族音楽)も含まれているが、全体の8割近くはいわゆる「J-POP」と、海外のポップ・アーチストの来日公演。夏に盛んな「野外フェス」もそれに含まれる。

 J-POPにしても、歌って踊れる10代のアイドルグループの公演もあれば、デビューから40年以上たつような60代のベテランがじっくり聴かせるコンサートもある。

 1966年のビートルズ来日に触発された60年代の「グループサウンズ」ブームから半世紀が経過して、日本のポピュラー音楽はそれだけ、パフォーマー(演者)もオーディエンス(聴衆)も年齢層が厚くなり、生のライブは大きな市場に成長した。

【次ページ】アイドルも中堅もベテランもみんなライブをやりたい理由

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