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- 2017/07/19 掲載
イニシャル・コイン・オファリングとは何か?VALUがビットコインと開く個人の可能性
個人がビットコインを使って資金調達できるVALU
さらには、YouTubeで動画を公開してお金を稼ぐユーチューバーが知られるようになり、知名度に関わらず多くのアイドルにファンがついている。
ソーシャルメディアの力を使って個人が注目を集め、これまでのビジネスモデルでは考えられなかった手法で事業を展開できるようになってきたのだ。他にも、店舗を持ったり、新製品・新事業開発を行ったりと起業を後押しする機運が高まっている。
個人的な事業に対して資金調達を行う良く知られた手段として、「クラウドファンディング」が挙げられる。ファンによるアーティストの支援や、先進的なベンチャー企業や学術研究への出資などを、インターネットを通じて公募し、不特定多数の人間から事業に必要な資金を獲得する。出資者は特典を受けたり、金銭的な見返りを得たりといったメリットがある。日本ではCAMPFIREやReadyforといったプラットフォームが知られ、矢野経済研究所の2016年9月時点での予測では、同年の国内クラウドファンディング市場規模は477億8,700万円と見込まれた。
そんな中、2017年6月1日の発表以来、急速に話題を集めている新たな資金調達プラットフォームが「VALU」だ。VALUでは、企業が株式公開を行って資金を調達するのと同様に、個人が「VALU」と呼ばれる模擬株式のようなもの(単位はVA)を発行して、不特定多数のユーザーから資金を獲得できる。
まず、上場者が模擬株式を発行する際には、ソーシャルメディア上のフォロワー数などから、オンライン上の存在感に基づき、模擬株式の時価総額が計算される。また、対面での交流などの特典を設け模擬株主を募る。
模擬株主は、ソーシャルメディア上での活動などから支援したい上場者を選び、出資を行う。模擬株主限定のイベントに出席したり、コンテンツを楽しんだりできるため、ファンとして上場者を支援できる。出資したいという人が増えれば、模擬株式の価値が上昇するため、上場者の時価総額が上昇していく。
出資や調達は仮想通貨「ビットコイン」で行われる。ビットコインは特定の国家に管理されない分散的でセキュリティの高い仕組みが特徴なので、日本に限らず、世界のどこにいても出資や資金調達が行えるようになる。ソーシャルメディア時代で力をつけてきた個人にとっては大きなチャンスが待っているのだ。
VALUは模擬株式のような仕組みだと言われる場合が多いが、その特徴は模擬株式よりも「模擬通貨」に近いと言えるだろう。企業の株式であれば、過半数の株式を保有した場合に、その企業の議決権が獲得できるが、VALUの場合は、過半数を確保しても個人の生き方に影響できるわけではない。また、実際の株式は配当などによる収益が前提となるが、VALUの場合、得られる特典は明確ではない。
VALUが発行しているのは「模擬通貨」であると考えれば、上記の特徴も説明がつく。実際の通貨が需要と供給によって為替レートが決定されるように、VALUも買いたいユーザーと売りたいユーザーのバランスによって、その価値が決まるのだ。「いちど公開、取引されたVAは、暗号通貨として流通し、時価総額も日々変動します。」(原文ママ)とVALUは解説している。
【次ページ】新たな資金調達手法「イニシャル・コイン・オファリング」とは
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