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- 2019/04/24 掲載
米Stripe最高ビジネス責任者が説く、オンライン決済のポテンシャル
シンガポール「Money20/20」レポート
インターネットで機会均等を実現したい
米国サンフランシスコに拠点を構えるStripeは、インターネットを活用したオンライン決済サービスを提供するテクノロジー企業である。今やスタートアップから大規模企業までが、Stripe を使って顧客からの支払いを受け取ったり、ビジネスを管理したりしている。
Stripeが世界的にサービスを提供し始めたのは2011年。またたく間に人気となり、今や120カ国以上、数百万に及ぶ企業が活用している。日本に登場したのは2016年で知名度は低いが、三井住友カードが資本業務提携し、日本での決済サービスを取り扱っている。
StripeのCBOであるアルバラード氏はホンジュラス出身。同氏の祖父は、父が18歳になったときに10ドルを渡して旅立たせた。非常に貧しかったため、父は昼間働き夜に勉強に励んだという。そのかいあって父は会計士の学位を取得し、地元の銀行に職を得た。父は懸命に働いたうえに、いいメンターとの出会いもあって職位を上げた。そのため、同氏および兄弟たちは恵まれた教育を受けることができた、と講演の冒頭で父に感謝を捧げた。
同氏がこの話をしたのも、世界は機会均等ではないことを伝えたかったからだ。
「ホンジュラスは経済的な機会に乏しいところですが、父が私のために未来への道を開いてくれました。そのおかげで私はテクノロジー、金融、そしてグローバルな経済にアクセスできます。ホンジュラスにも多くの野心家がいますが、その機会を追求するリソースのない場所にいることもあります。ですから、インターネットこそが彼らが発展するための“ドア”として、教育やグローバルなコミュニティにアクセスするために機能すべきだと思います」(アルバラード氏)
インターネットは発展途上段階
しかし、そのインターネット自体もまだまだ発展途上段階だと同氏は主張する。商取引に利用される比率が低いからだ。アルバラード氏は、インターネットを介したビジネスは、ほかのビジネスより急成長を遂げているにもかかわらず、世界における商取引のオンライン比率がたった3%であることを挙げ、以下のように主張した。
「複雑な規制、世界中の込み入った金融システム、エンジニアの不足などにより、インターネットエコノミーの発展が抑制されています。こうした障壁を取り除くことは必須です。それが実現してこそ、ベンチャー企業は新規ビジネスをスタートできるのです。さらに既存企業の発展や経済的なアウトプットの上昇にも大きく寄与します」(同氏)
アルバラード氏は、1960年代にインナーコンテナを導入した輸送関係の起業家 マルコム・マクリーン氏を例に挙げる。
マクリーン氏が発明に関与したコンテナとシステムは、1トンあたりの輸送コストを、6ドルから16セントにまで下げた。以来、30年以上にわたり国際輸送に貢献している。
今日、コンテナは毎年100億トンの商品を運搬して400億ドルを生み出し、1400万人の雇用をグローバル経済にもたらしている。
【次ページ】Stripeがグローバル化に与えるインパクトは
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