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  • 2018/03/15 掲載

FinTech(フィンテック)とは何かを基礎からわかりやすく解説、押さえておくべき11分野とは

誰でもわかるフィンテック

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日本でも 2015頃年から注目を集めるようになった「FinTech(フィンテック)」。言葉だけならビジネスパーソンの多くが知っていますが、その一言でカバーする範囲は広く、「ちゃんとわかっていると言えるか不安だ」という声もあります。そこで、カンム 代表取締役社長 八巻渉氏がFinTechを構成する11分野を1つひとつ整理していきます。

カンム 代表取締役社長/Fintech協会 理事 八巻渉

カンム 代表取締役社長/Fintech協会 理事 八巻渉

2009年に慶應義塾大学 理工学部 情報工学科を卒業後、人工知能や自然言語処理といった分野の研究開発を行うStudio Ousiaに入社。2011年にカンムを設立。自社サービスの運用、証券会社のWebサイト構築・アクセス解析、大手飲食チェーンのデータ解析等を行う。データ解析・拡張が得意。2013年から大手クレジットカード会社と提携し、「Card Linked Offer(CLO)」を運営。CLOは、クレジットカードデータを使ったターゲティングと、導入設備が一切不要なことが特徴のカード決済インフラを活用した店舗への送客手法で、既に200社近くの加盟店利用実績がある。2016年には、アプリから誰でも1分で作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」をリリースし、若年層を中心に約37万インストールとなっている(2018年1月現在)。

photo
フィンテックは何からできているのか?
(© anyaberkut – Fotolia)



「FinTechというワードは広すぎる」

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 2018年1月にテーマ別投資を推進する証券会社のFOLIOが、未上場ながらLINE、ゴールドマン・サックス、電通ベンチャーズ、三井物産、SMBCベンチャーキャピタル、DCM ベンチャーズ、ドレイパーネクサスベンチャーズ から70億円を調達しました。このように、FinTechに投資が集まってきています。

 ただ、金融業界の人から「FinTechというワードは広すぎる」という言葉をよく聞きます。たしかに、送金、決済、融資、投資、仮想通貨と、全然違うビジネスがそのワードに含まれてしまいます。

 では、FinTechはどんなビジネスから成り立っているのでしょうか。

 FinTechを理解するのによく使われるのがこのカオスマップです。FinTechの中で、特に注目すべきテーマごとにサービスを分類したものです。

 このカオスマップの各カテゴリについて、説明していきます。

画像
フィンテックを構成するサービスを表すカオスマップ
(画像作成:カンム)


スマートペイメント

 スマートペイメントとは、商取引における、現金や銀行での手続きを必要としない電子的な決済手段のことです(野村総合研究所の定義による)。

 スマートペイメントを使用すると、お札や小銭を管理する必要がなくなり、銀行での手続きなどにかかる時間、手数料がなくなるので、より早く安く消費者のお金の払い方の選択肢を広げることができます。

 スマートペイメントには大きく分けて2種類あります。カードを使った決済とQRコード決済です。

 カードを使った決済とは、通常のクレジットカードの利用を思い浮かべてください。店頭でカードを提示する、あるいはオンラインショップでカード情報を入力して決済することができます。VisaやMastercardなどのブランドを利用する方法を指します。

 カードを使った決済のサービスには、消費者の向けのものと事業者向けのものがあります。

 消費者向けのサービスで代表的なものはバンドルカード、LINE Payカードなどです。

 これらはクレジットカードが持てない人も審査なしで発行できるプリペイド式のカードで、コンビニなどでチャージした分だけ決済に使うことができます。バンドルカードはアプリ上で、オンラインショップでの利用に限ったバーチャルのカード番号が発行されます。希望者には実店舗で使えるプラスチックのカードが郵送されます。

 事業者の立場からカードを使った決済を考えると、実店舗で導入できるカード決済端末を提供するCoineyのようなサービスと、オンラインショップのカード決済用プラットフォームを管理するBASEのようなサービスがあります。

 こうしたサービスを使うと、クレジットカード会社と契約せずに、クレジットカード払いが可能な店舗/オンラインショップを開くことが可能です。

 QRコード決済については主にモバイル決済を指し、実店舗、オンラインショップにかかわらず表示されたQRコードをスマホで読み取ることで決済が完了するタイプで、PAY ID、Origami Payなどが代表的です。

仮想通貨

 仮想通貨の定義は以下の通り。

特定の国家による価値の保証のない通貨。おもにインターネット上で「お金」のようにやりとりされ、専門取引所などで円、ドル、ユーロ、人民元などの法定通貨と交換することで入手でき、一部の商品やサービスの決済に利用できる(日本大百科全書による)。

 仮想通貨とは「ブロックチェーン」という技術で実装されたデジタル通貨であり、ブロックチェーンによって改ざん不可能な取引の記録が可能になります。

 ビットコインをはじめとした仮想通貨は、簡単に送金ができる、特定の組織に依存しない、といったメリットがあると言われていますが、価格の変動が激しいなどのデメリットもあります。

 現状、仮想通貨を取り扱う主な企業/サービスは、仮想通貨の購入、取引、運用を目的とした「仮想通貨取引所」がほとんどです。代表的な仮想通貨取引所はbitFlyerで、代表的な仮想通貨はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)などです。

投資・資産運用・ロボアドバイザー

 Webやアプリ上で簡単に投資できるサービス、投資・資産運用のための分析ツールサービスなどがこのカテゴリに含まれます。

 このカテゴリは、資産運用を企業やソフトに任せるタイプと、自分で投資先を選定するタイプの2つに分けられます。

 運用を任せるタイプでは、AIを使った解析によって資産配分や金融商品の選定、リバランスなどを自動で最適化するものが多く、いわゆるロボアドバイザーと呼ばれます。こうしたサービスには、THEO(お金のデザイン社)やウェルスナビなどがあります。

 自分で投資先を選定するタイプは、スマホから簡単に投資できるOne Tap BUYや、テーマ別投資のFOLIOなどがあります。

クラウドファンディング

 クラウドファンディングとは、ユーザーがやりたいプロジェクトに資金提供してくれる人をインターネット上で募集し、資金を集めることです。

 クラウドファンディングには大きく分けて「寄付型」と「購入型」の2種類があります。

 「寄付型」とはリターンを求めない支援です。一般的な「募金」との違いは、支援がインターネット上で可能な点、資金提供後のプロジェクトの進捗状況が確認できる点です。

 「購入型」とはリターンを求める資金提供であり、この場合のリターンはプロジェクトによって生み出されたモノ、サービスです。具体的には、集めた資金で開いたお店の限定会員券、劇場チケットの先行購入など、さまざまなリターンがあります。

 クラウドファンディングサービスを営む企業は、インターネット上でのクラウドファンディングを実行するためのプラットフォームを運営・管理し、プロジェクトを審査します。

 クラウドファンディングでは、インターネット上で資金提供者を募集することで、ユーザーのプロジェクトが発見されやすくなり、不特定多数の人から資金を集めることができます。さらに、プロジェクトの進捗状況を可視化して見せることもできます。さらに、資金提供者は少額からの支援が可能なため、ユーザーは少額の支援金もこぼすことなく集められるというメリットがあります。

 代表的なクラウドファンディングサービスはJapanGiving、Makuake、Readyfor、CAMPFIREなどです。

ソーシャルレンディング

 ソーシャルレンディングは「貸付型クラウドファンディング」とも言われます。クラウドファンディングとの違いは、金融商品を取り扱っていることです。

 ソーシャルレンディングでは投資家(個人)と借り手が存在し、資金提供に対するリターンが投資家に分配金(元本+利息)として返ってきます。

 ソーシャルレンディングサービスを提供する企業は、借り手の審査、投資家の募集、貸付、返済金の分配を行います。一般的な投資信託との違いは、ソーシャルレンディングでは投資家が自分で融資先を探して決める点、投資家のタイミングでは換金できない点、価格が相場に左右されない点などです。

 代表的なサービスはmaneo、SBIソーシャルレンディング、Crowdcreditなどです。

【次ページ】その他FinTechを構成するサービスたち

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