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- 2018/12/26 掲載
「仮想通貨の躍進が始まるのはこれから」、SBIグループ 北尾CEOが大胆予想する理由
前編はこちら(この記事は後編です)
仮想通貨の躍進が「これから」な理由
皆さんは仮想通貨にどんなイメージを持っていますか?おそらく、多くの方はマウントゴックス事件、コインチェック事件、Zaif事件とここ数年で起きたさまざまな出来事によって、肯定的なイメージを持っていないかもしれません。しかし、それらはいずれも仮想通貨の仕組自体に欠陥があるために起きたわけではなく、管理の不備が原因でした。「仮想通貨は金融商品としても、決済用の通貨としてもすでに終わっている」という見方がコンセンサスとなっているようですが、そこに私は違和感を覚えます。
なぜか。仮想通貨の中核的な技術であるブロックチェーンが、世界規模で「価値の交換」を実現する、人類の歴史に残る技術革新と捉えているからです。特に金融機関においては、この技術が最も重要な業務である決済サービスを革命的に進歩させるでしょう。
拙著『これから仮想通貨の大躍進が始まる!』でも書きましたが、ブロックチェーン技術を簡単に説明すると、ネットワークで直接結ばれた複数のコンピューターを同期させてデータベースを構築していく技術と言えます。今までコンピューター処理方式の主流はハブ&スポーク方式で、中央にハブとなる大型装置が必要でした。それがブロックチェーンによってダイレクトに送受信できるようになり、大幅なコスト削減が可能になるとともに処理スピードも向上します。
また、ブロックチェーンはデータを一定量ごとに暗号を用いて直前のデータを包含しながら1つの塊=ブロックにして数珠つなぎにする点にも特長がありますが、これによってデータ改ざんが非常に難しくなります。
この画期的な新技術を活用しない理由はなく、仮想通貨とその基盤技術であるブロックチェーンによって世の中に“革命的”な変化が起こせると考えています。
未来を予見することは難しいが、それを創ることはできる
未来を予見することは難しいですが、それを創ることはできると私は考えています。ブロックチェーン技術で劇的に変革できるのは、たとえば国際送金の世界です。しかも、手続きをしてから相手に入金されるまで、4~5日かかることは普通で、1週間以上かかることも少なくありません。というのも、送金を依頼する国内銀行が決済用の口座を送金対象国に持っていない場合、いくつも中継銀行を経由することになるからです。
たとえば国内の地方銀行から海外の地方銀行に送金をすると、国内の地銀→国内の中継銀行→SWIFT(国境をまたぐ銀行間金融取引仲介ネットワーク)→海外の中継銀行→海外の地銀、という流れになります。
コンピューターによって自動決済されるといっても、手続きには行員の手を介する部分があるため、中継する銀行が増えればそれだけ業務にヒューマンエラーが生じるリスクも高まります。
つまり、現状の国際送金システムは高コストでかつ迅速性に欠け、さらに正確性にもリスクが残っています。これを、ブロックチェーンを使って国内銀行と海外銀行をダイレクトにつなぐネットワークとして構築すれば、数々の問題点を解消できるというわけです。
【次ページ】大切なことは「実需」をしっかり確保すること
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