計画された産業都市、ノイダ
ノイダはウッタル・プラデーシュ州北西部のガウタム・ブッダ・ナガル県に属している。面積24万㎡(本州と同程度)のウッタル・プラデーシュ州には、日本の人口をはるかにしのぐ2.2憶人が住んでおり、インドの中では面積で5番目、人口は最多という巨大な州である。
ノイダは首都デリー南東近郊の計画された産業都市だ。ノイダ(Noida)というその名前自体、New Okhla Industrial Development Authority(新・首都近郊産業開発局)に由来している。また、ノイダはセクターと呼ばれる区域に分割され、すべての区域には「セクター何番」というように、規則的に番号が割り当てられている。
デリーへのアクセスは大変便利で、デリーを経由すれば、高速道路、一般道路、鉄道、至近のインディラ・ガンディー国際空港を利用して、インドの隅々に行動範囲を広げられる。標準的な生活や公共インフラにかかる費用は総じて安く、デリー首都圏に最もふさわしい近郊エリアと目されている。
若年層が多く住み、中心部には多国籍企業のオフィスや本社が多数進出しており、産業面で目覚ましい発展を遂げてきている。また、要所に緑地、娯楽エリア、ショッピングエリアが整備されていることも、ノイダの大きな利点である。
ノイダは、東側の比較的新しい開発地域の「グレーター・ノイダ」と23kmの自動車道で結ばれている。さらに、デリーの地下鉄であるデリーメトロはノイダの一部にまで延長された。地下鉄延伸工事は現在も継続しており、ノイダおよびグレーター・ノイダの主要部を網羅した「ノイダメトロ」として2020年12月に開通する予定だ。
ショッピングモールに運河、華やかな商業施設
急増する人口に対応するだけのエンタテインメントや、生活の上でのニーズに応えようと、ノイダには高層のショッピングセンターがいくつか出現している。そうした施設では、買い物、食事、イベントが一度に堪能できる。中でも、セクター38のグレート・インディア・プレイスはインド最大のショッピングセンターの1つで、ノイダの名物スポットとなっている。
また、グレーター・ノイダにあるグランド・ベニス・モールは、イタリアン・テイストをコンセプトに作られたショッピングモールだ。水をたたえた運河が張りめぐらされた館内をゴンドラに乗って移動するアトラクションまである。その他にも、いくつかの人気ショッピングモールがあるが、いずれも国内外の一流ブランド品を扱い、優れたレストラン、シネマコンプレックス、アミューズメント施設が軒を連ねている。
一方、ノイダのあちこちには中堅・中小商店街も発達し、住民や旅行者は必要に応じあらゆる商品を買うことができる。1日かけてショッピングするのもいいだろう。アッタ・マーケットの狭い通りで掘り出し物を探すもよし、自分の胃袋と相談しながらブラマプトラ市場へ行ってみるのもよし、ノイダに行けば誰でも財布のヒモが緩んでしまうこと請け合いだ。予算の大小に関わらず、ここでは程よい出費で買い物をすることができるだろう。
ノイダでは、インド料理、ムグライ料理(かつてインドを支配したムガール帝国の宮廷料理)、中華料理ばかりが受け入れられているわけではない。日本食や韓国料理も人気があり、今ではノイダで、本家に引けを取らない水準の料理を提供するレストランも何軒か見られるようになった。その多くはグレート・インディア・プレイスなどのショッピングモール内にあるが、単独で店を開いているケースもある。
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