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- 2018/07/17 掲載
インドのデジタル動画広告が「50%越え」の超成長、中国に次ぐ広告市場形成へ
ガガン・パラシャー
IILM卒。財務分析、投資コンサルティング、ビジネス調査の経験を経てBig4系列で法人事業コンサルティングに従事。その後X-Ciel Consulting Pvt. Ltd.を立ち上げ、エクシール・エフ・エー・コンサルティングに参画。インド北部ノイダで活躍中の気鋭のコンサルタント。大塚賢二
東京大学法学部卒。金融機関、Big4系列コンサルティングファーム勤務等を経て現在、株式会社ファルチザンの代表を務める。中小企業の海外進出、金融機関の経営管理・内部統制の支援に注力。エクシール・エフ・エー・コンサルティングではガガン・パラシャーとともに中小、ベンチャー企業のアジア進出を支援。国民の購買力がインドの「ブランド志向化」を進める
低コストでの高速ネットワーク利用が大きく進んだインドでは、デジタルメディアの効率性が大幅に進歩し、デジタル広告の発達が加速している。
その他の広告業界の成長要因としては、メディア向けプラットフォームの普及がある。経済成長の著しいインドでは、地域ごとに発達したメディアチャネルを使って広告主が自社製品やサービスを宣伝する機会が多くなっている。経済成長も手伝って国民の購買力は総じてさらに強まり、消費行動はブランド志向を強め高額品へと向かっている。その結果、企業は広告・宣伝を広く行うことで自らのブランドイメージを作り出すことに力を注いでいるのだ。
インドの広告市場をけん引する自動車、都市、金融
インドの広告宣伝費の伸びはいくつかの業界で顕著になるだろう。まず自動車産業では、ホワイトカラーや若年層の所得が上昇し内需が堅調であることから自家用車の需要が伸びる。また、インフラ開発の活発化や排ガス削減目標達成に向けた電気自動車に対する政府支援は、商用車への関心も高める。したがって、自動車セクターは広告宣伝費支出の伸びの大きな要因となるだろう。
また、ティア2都市(人口100万人以上400万人未満の都市)やティア3都市(人口100万人未満の都市)における商業活動の隆盛に伴い、日用雑貨の普及が進んでいく中で、広告宣伝費も膨張していくものと思われる。
政府の金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン、国民に対し銀行などのフォーマルな金融システムの利用を促進すること)への取り組みは地方への銀行・金融・保険サービスの浸透をもたらし、広告宣伝費を増加させる。地方でのデジタル化、eコマースの進展で、耐久消費財関連の広告宣伝費も伸びるだろう。
2018年はインドにとって希望の年だ。広告業界は高額紙幣廃止やGSTといった改革の余波で1年半余り伸び悩んだが、今後は日用雑貨やその他の製品にかかわる国内大企業の広告宣伝費が増えていくものと思われる。
【次ページ】デジタル動画広告は50%を超える成長
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