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  • 2019/02/26

過労死しやすい4つのタイプ、それを防ぐ効果的な方法とは?

けがをしたり風邪をひいても時間がたてば自然に治るのは、私たちの体に備わった「自然治癒力」のおかげである。自然治癒力は、脳・内分泌系・免疫系の3つから構成されている。昔から「病は気から」と言うように、ストレスが強すぎるとこの3つのバランスが崩れ、病気にかかりやすくなる。日本人は世界的に見ても過労死しやすい傾向がある。だからこそ、ストレスを慢性化させない工夫が必要だ。「マンガでわかる自然治癒力のしくみ」の著者である薬学博士の生田哲氏が、過労死しやすい人の特徴と、過労死を防ぐストレスマネジメント法を語ってくれた。

薬学博士 生田哲

薬学博士 生田哲

1955年、北海道に生まれる。薬学博士。がん、糖尿病、遺伝子研究で有名なシティ・オブ・ホープ研究所、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)などの博士研究員を経て、イリノイ工科大学助教授(化学科)に。遺伝子の構造やドラッグデザインをテーマに研究生活を送る。帰国後は、生化学、医学、薬学などライフサイエンスを中心とする執筆活動を行う。著書に、『脳は食事でよみがえる』『よみがえる脳』『脳と心を支配する物質』『がんとDNAのひみつ』(サイエンス・アイ新書)など多数。

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日本人が過労死しやすい傾向にあるのはなぜか?
(©oka - Fotolia)

脳だけを酷使する現代人

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 多くの日本人が慢性疲労に陥っている主な原因の一つは、昔と現代とでは疲労の内容が様変わりしたことである。

 農耕社会のころの労働者は体全体を使って作業していたため、疲労は全身性であった。だが、現代の労働者は肉体をあまり使わず、その代わり脳ばかり酷使しているから、疲労は局所的である。

 このことはビジネスの現場を見ればすぐに分かる。少し前までの職場では、書類の受け渡しなどで歩いたものである。こうすることで椅子から立ち上がり、足の運動ができ、血液の流れが促進されたが、今では椅子に座ったままほとんどの作業ができる。

 かつては手紙を投函するにも歩いていたが、今ではそれも大幅に減り、内容を電子メールで送信するだけで用が足りる。一歩も動くことなく作業ができるため、仕事の効率は格段に高まった。その反面、疲労が局所に集まりやすくなった。

 たとえば、パソコンを長時間使用することで、頸、肩、腕に痛みやしびれが走る經肩腕症候群や、かすみ目、疲れ目、頭痛に苦しむ眼精疲労に陥る。これなども局所疲労から全身に広がる新しいタイプの疲労である。

 現代人の多くは、肉体的なエネルギーはあまり消費しないものの、長時間労働が日常化するといった、重い精神的ストレスを受けながら生きている。

日本人は過労死しやすい

 労働ばかりしてリラックスしないと、心身に疲労が蓄積する。過労がストレスとなる。

 アメリカでは、6500万人以上が仕事によるストレスで苦しんでいる。そこでストレスを和らげようと、彼らはフィットネスクラブに通い、薬物、サプリメント、リラックスのノウハウを伝授する書籍を購入している。その総額は、年間400億円以上に達している。

 わが国で疲労を訴える労働者は全体の6割に達するが、アメリカではこの半分以下の15~30%に過ぎない。アメリカの疲労している労働者の割合が、わが国の半分または4分の1程度であるのは、ストレス対策の効果の表れであるように思う。

 疲労→過労→発病→過労死というプロセスは、ゆっくりやってくるから、気付きにくい。だが、もし疲労が解消されないまま蓄積していけば、ある日、限界点に達する。そして、突然、発症し、最悪の場合には死亡する。

 わが国における過労死の犠牲者は、毎年、約1万人と推定され、“karoushi”は国際語にもなっている。わが国の労働者が過労死しているのとは対照的に、アメリカ人は過労死または仕事が直接の原因となって死を選ぶことはほとんどない。また、わが国の毎年の自殺者数は約3万人だが、これは、単位人口当たりアメリカ人の2.3倍という高さである。

 日本人は、アメリカ人より過労死と自殺をしやすいのである。経済成長がかつてほど望めないこと、未来が予測できないことへの不安、非正規雇用が増え職が不安定になったことなど、理由はいくつか考えられる。

 だが、未来は本質的に分からないものなので、いくら考えても、この問題は決して解決しない。こうして不安を抱き続けるうちに、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの興奮性伝達物質が枯渇する。気分が低下し、やがてうつになる。これがわが国の中年男性に自殺者が急増した原因と思われる。

こんな人が過労死しやすい

 では、どんな人が過労死しやすいのだろうか。これについては、1960年代に、アメリカのメイヤー・フリードマン博士とレイ・ローゼンマン博士が、パイオニア的な研究結果を発表している。

 彼らは、過剰な心理的ストレスが心臓麻痺の原因になっていること、心臓麻痺になる患者には特有のパターンがあることを発見した。彼らは、これを「タイプA行動パターン」と名づけ、このような性格の人をA型人間と呼ぶことにした。A型人間は過労死しやすいのである。A型人間の特徴はこうだ。

(1)精力的に活動する
(2)時間を惜しむ
(3)競争心が強い
(4)敵愾心が強い

 長きにわたり典型的なA型人間は、企業のトップにいる人間だと言われてきた。彼らは企業の盛衰を両肩に担うのだから、1日十数時間働くのは当たり前で、その上、毎日、たくさん酒を飲み、大きなサーロインステーキをペロリと平らげると思われているからだ。このため、このタイプの人は、40代後半になるころ、心臓麻痺になっても不思議ではないとされていた。

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敵愾心の強い人は心臓病リスクが高いという研究結果が出ている
(©Prazis Images - Fotolia)

 だが今では、心臓病リスクのより正確な尺度として、A型人間の特徴の1つ、敵愾心が用いられるようになっている。それは、敵愾心の強い人は、それほど怒りを誘う状況でなくても血圧が上がることが判明しているからだ。

 これは、アリゾナ州立大学のメリー・デイビス教授の報告だが、被験者と意見の対立する人を議論させたところ、敵愾心が強い人の血圧はそうでない人に比べ、大きく上昇したのである。

 その上、彼らは血圧が上がっても、心臓から送り出される血液の量は、敵愾心の強くない人よりも少なかったのである。すなわち、敵愾心の強い人の心臓は速く動いたものの、血液を効率よく送り出してはいなかったのだ。心の持ちようによって心臓病が発症しやすくなることが分かる。

 逆にいえば、心の持ちようによって心臓病の発症を抑えることができるし、たとえ発症しても病気からの回復を早めることもできるということだ。

【次ページ】ユーモアと笑いによって不治の病からカムバックした男

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