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  • 2019/03/19

なぜあなたの顧客は逃げていくのか? 3タイプ別「顧客維持率」向上のアナリティクス術

ガートナーが解説

「顧客維持率」はあらゆる企業にとって最も重要な指標であり、その維持率の向上は多くの企業にとって最優先事項だろう。では、顧客を維持するためにデータをどう分析すればいいのだろうか。ガートナーのバイス プレジデントアナリスト、ガレス・ハーシェル氏はアナリティクスを行う前段階として、顧客を大まかに「もろい顧客」「エンゲージメントの低い顧客」「不満を持つ顧客」の3つのタイプに分けて、それぞれに対応策を考える必要があると説く。

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顧客の多くは何も言わずに去っていく。そのためアナリティクスが必要になる
(© Elnur - Fotolia)


「顧客維持率」は企業にとって最も重要な評価指標

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 顧客の離脱を防ぐことは、新規顧客を獲得することと同じだともいえる。業種によっては新企顧客獲得にかかるコストのほうが大きいため、一度捕まえた顧客を維持することは重要だ。ソーシャルメディアのおかげでレピュテーションリスクも小さくなく、顧客との関係を構築できなかったことによる代償は取り返しのつかないものになりかねない。

 ハーシェル氏は、「顧客維持率は最も重要な評価指標」だと説く。その理由は、この指標を注視することによって、マーケティング活動をして適切な顧客を獲得できているか、生産ラインに問題がないか、顧客の期待に見合ったサービスが提供できているか、カスタマーサービスが顧客のニーズを的確に把握して対応できているか、といった組織全体の活動の健全性をチェックすることができるからだ。

 「組織全体が顧客の問題を解決する、全員が顧客の期待を超えるという考えを持った時、初めてアナリティクスは大きな助けになる。逆に、組織にその姿勢がなければアナリティクスは役に立たない」とハーシェル氏は断言する。

 そしてアナリティクスを行う前段階として、顧客を大まかに「もろい顧客」「エンゲージメントの低い顧客」「不満を持つ顧客」の3つのタイプに分けて考える必要があると示した。

「もろい顧客」はその根源的ニーズに着目する

 「もろい顧客」とは、現状では商品やサービスに不満があるわけではないが、将来的に離れる可能性が高い顧客ということだ。他にもっと良い選択肢がないかを常に見ていて、良いものがあればそちらに乗り換える。

 このような「もろい顧客」に対しては、まず外部からの脅威による最大損失額を予測することが必要だ。たとえば、より安価な類似商品を競合企業が提供した場合にどのくらいの顧客が乗り換えるのか、競合店が近くに新しくできた場合にどのくらいの顧客がそちらに流れるのか。そして、損失額がどの程度になるのかを、データサイエンスを使ってモデルを構築し予測する。

 ただ、全体としての損失額は予測できても対応策は一つではない。顧客が価格、ステータス、利便性、品質などのうち何を重視するかによって離れる理由が異なるからだ。そこで「顧客が顧客になった理由」を見極め、それぞれの志向ごとに「もろい顧客」がどの程度いるのかを予測するモデルを作ることが必要となる。

 では、その志向をどのようにセグメントするのか。ハーシェル氏は、アブラハム・マズローの欲求5段階説の図を引用して説明する。人の欲求には下から「生理的欲求」「安全欲求」「愛着・帰属の欲求」「尊重・承認欲求」「自己実現欲求」の5段階があり、下層の「生理的欲求」がある程度満たされると、次の段階の「安全欲求」が生まれてくるというのが欲求5段階説だ。

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顧客は商品が欲しいわけではない

 「人がドリルを買うときに欲しいのは『ドリル』ではなく『穴』である」という有名な格言がマーケティングの世界にはある。商品そのものが欲しいわけではなく、根源的なニーズは別のところにあるということだ。ハーシェル氏は、下の方の階層のニーズほど、それを満たしてくれる「機能」を買うモノに対して求め、階層の上の方に行くほど、買うモノが直接的にもたらしてくれる以上の「体験」という付加価値を求めるようになると説明した。

「このことから、顧客がなぜ顧客になったのかを考える上では顧客にどのような根源的ニーズがあり、それに対して自社の商品・サービスがどのような機能を果たしているのか、あるいはどういった意味合いをもたらしているのかを知ることが重要だ。それを理解することで、効果的に顧客維持の対策ができるはずだ」(ハーシェル氏)

 また、顧客が長年顧客であり続けることを考えると、ライフステージによってニーズが経年的に変化することも見落とせない視点である。

「人の人生には“キーモーメント”がある。親から独立して家を借りる、結婚する、子どもが生まれる、最初の子どもが独立する、両親が亡くなる、そのようなキーモーメントにおいては、周囲との関係も変わるし、求める製品も変わる。これは実はBtoBでも同じ。ビジネスの発展段階の中で、新商品を発売する、新しいオフィスを構える、会社を買収する、創設者がリタイアする、最大の顧客が倒産する、そういった、会社の“一生”の中でのライフステージを見ていく必要がある」(ハーシェル氏)

 つまり、一番の脅威は必ずしも同じ業種の競合ではないということだ。ハーシェル氏は、「ビデオレンタルチェーンのBlockbuster社は別のビデオレンタル会社によって倒産に追い込まれたわけではなく、Netflixなどのインターネット動画サービスに敗れた」と語る。根源的なニーズを満たす、新しいソリューション、新しい体験が影響したということだ。破壊や革新(ディスラプション)が起こっている商品・サービスの領域に注意を払う必要がある。

【次ページ】「エンゲージメントの低い顧客」で注意するべきポイント

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