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  • 2019/02/28

小売・銀行・家電…業界別の「顧客体験(CX)」向上、どんな目標を設定すればいいのか

企業の商品・サービスに興味を持ち、購入して、アフターサービスを受ける。その間の顧客体験(CX)は企業の売り上げやイメージに直結することから、各社は競うようにその向上に力を入れている。では今後、CX分野ではどのようなテクノロジーがどう利用され、CXにどんな変化が生じるのか。ガートナーでマネージング バイス プレジデントを務めるジーン・アルバレス氏が近未来を展望し、変化への心構えを説いた。

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顧客体験の向上はあらゆる企業が必ず考えるべきテーマだ
(©Robert Kneschke - Fotolia)


顧客体験(CX)向上にVPAと人工知能(AI)の利用が加速

 ガートナーが2017年と2018年に実施した調査によると、顧客体験(CX)の今後の注目テクノロジー分野として過半数が「顧客分析」を挙げ、「ビジネス・プロセス管理」「顧客の声」などが続く。具体的な技術では、3分の1がチャットボットで利用が進むAIアシスタントの「VPA(Virtual Personal Assistant)/VCA(Virtual Customer Assistant)」に着目している。

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顧客体験(CX)で注目の最新テクノロジー

 AIは営業と顧客サービスの向上策としても関心が高い。ガートナーでは2020年までにB2B企業の3割が主要な営業プロセスの強化を目的に採用し、25年までに顧客のつなぎ止めで業務効率が25%改善すると予測する。

 営業や顧客との電話やメールなどのやり取りをAIが自動的に収集。その分析結果を営業活動での自動フォローメールなどに活用することで、顧客との接触以降の顧客管理の手間が抜本的に低減される。「のみならず、分析結果に基づくAIのコーチングにより、顧客とのより密な関係構築も可能となる」とアルバレス氏は解説する。

 ただし、両技術には課題も残されている。VPAは登場してまだ間もなく、使いこなしの知識が現時点で現場は乏しいこと、同様にAIもノウハウが豊富ではなく、既存システムへの技術の取り込みにまだ時間を要しそうなことも代表的なものだ。

「前者を解決するには、IT部門がいち早くVPAを理解し、利用の手本を見せたり、現場にアドバイスを行う活動が欠かせない。場合によっては全社的な理解向上のために専任組織の設置も視野に入れるべきだ。また、後者はモード2の考えで検証を重ねつつ慎重かつ段階的に進めることが肝要だ。そこを軽視していては、思わぬ見落としにより、手痛いしっぺ返しをくらいかねない」(アルバレス氏)

 明るい話題もある。VPAでは不適切な言葉を学習する失敗事例が先行したが、音声操作だけで貯金の管理、移動などが可能な銀行アプリや、スケジュール変更、再予約、ゲート確認などが行える旅行アプリなど、成功事例がここにきて相次ぐ。

 これらを追い風に、今後、VPAやAIによる多様な情報のリアルタイム分析が進むとアルバレス氏は見る。「顧客ライフサイクルからモーメントとジャーニーへ」「オムニチャネルからユニファイド・チャネルへ」「過去からリアルタイムなインタラクションへ」「ビッグ・データから多様なデータへ」「高度アナリティクスから大規模な人工知能/機械学習へ」などが具体的なリアルタイム化の中身である。結果、たとえば店頭での価格の常時変更などが可能になるという。

 ただし、そのためにはIT投資のポートフォリオ管理が必要となりそうだ。

「プロセスやビジネス領域を横断したリアルタイム分析では関連システムにいくつものAIを取り込む必要がある。それらの的確な遂行は、ポートフォリオ管理を抜きには到底実践は困難だ」(アルバレス氏)

顧客体験がデジタル変革も左右する

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 CRMにおいて、スマホやそのアプリは今や利用して当たり前だが、その75%はダウンロードされながらも一度しか使われない“ゾンビアプリ”との報告もある。原因としてアルバレス氏が挙げたのが、スマホ自体が声やメール、SNS、Webなど多様なチャネルを利用できるツールでありながら、そのすべてに対応したアプリが皆無なことだ。

「より深い情報を会話など、他のチャネルで得たいと思っても、タッチ1つでそれらにアクセスできるアプリは皆無だ。そうした使いにくさが積み上がれば必然的に顧客はアプリから離れてしまう」(アルバレス氏)

 また、開発体制にも問題があるという。アプリ開発は現状、多様な部門で個別に進められ、そのことがアプリごとに情報の分断や、ユーザーニーズの乖離を生じさせている。

 これらの対応で柱となるのが全社的なモバイル戦略の策定だ。目指すのはモバイルでの顧客のつなぎ止めを最優先とする、単独ないしは複数チャネルによるアプリ開発の狙いに沿った漏れのない包括的な情報提供だ。

 そこで採用が進むと見込まれるのが前述のVPAだ。VPAであれば、たとえデータの分断などが生じても、VPAが一元的な窓口となることで、声だけで簡単に情報を検索できる仕組みを整備できる。

 「スクリーンでのアプリ操作は今後、一般的なものではなくなるはず。2020年までには全体の3割にまで減少するはずだ」とアルバレス氏は展望する。

【次ページ】デジタル化に取り組む際の業界ごとの中期目標と長期目標

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