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  • 2019/05/07

日本人が知らない、米国移民政策の「深すぎる闇」 都合の悪い人は他州に押し付ける

移民、そしてホームレスは米国が抱える社会問題の代表格だ。その取り扱いを巡り、トランプ大統領の発言が波紋を呼んでいる。国境地帯の収容所で拘束されている移民を「聖域州」と呼ばれる移民に寛容な政策をとる州に送るというものだ。当然対象となる州からは反対の声が上がっているが、その移民に寛容な州も実はホームレスに同様の仕打ちをしているという。都合の悪い人々は他州に「押し付ける」状態が米国の実情なのである。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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米国の移民政策の「深すぎる闇」とは
(Photo/Getty Images)

不法移民は“聖域都市”に送れば問題解決?

 トランプ大統領がホワイトハウス関係者を慌てさせる発言をしたのは4月12日。ツイッターで「民主党が非常に危険な移民法の改正に応じようとしないため、我々は実際、報道された通り、不法移民を聖域都市のみに送致することを検討している。過激な左派は国境の開放を唱えているが、それならばこの政策は彼らを非常にハッピーにするだろう」と呟いた。



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「報道された通り」というのは、ワシントンポスト紙が昨年と今年の二度にわたり、トランプ政権が不法移民をサンフランシスコなどの聖域都市に送りつけることを検討中、と報じたことを指す。

 聖域都市とは不法移民に寛容な政策を取る自治体のことで、カリフォルニアはサンフランシスコ、ロサンゼルスなど聖域都市が多いことで知られる。ブラウン前知事は昨年、トランプ政権の厳しい移民政策に対し「聖域州」宣言を行うなど、反抗してきた。一方で政権は聖域政策を採るならば連邦政府による州への補助金を減額するなどの脅しを行ってきた。

国家安全保障省には「移民政策を厳しくせよ」と圧力

 聖域都市とは具体的にどう不法移民に寛容なのか。たとえばカリフォルニア州では運転免許取得が可能、不法移民の子弟の公立教育の付与、公立大学への州民と同様の資格での受け入れ、助成金の提供などが行われ、「不法移民に寛容」だ。

 一方で不法移民に厳しい州では警察官による任意の滞在資格書類提示がランダムで行われ、所持していないと即逮捕、公立学校や大学への受け入れ拒否などが起きる。

 このような状況下でトランプ政権は国家安全保障省に対しより厳しい移民政策を実行するよう圧力をかけ続けてきた。

 同省のクリスティン・ニールセン長官がこの圧力に耐えきれない形で4月10日辞任したが、これは昨年政府が行い世界的な反発を呼んだ「国境地帯で捕縛された不法移民の親子を隔離する」という政策を再実行するよう求めたため、といわれている。ニールセン長官だけではなく、移民政策に関わる多くの人事が「生ぬるい」として刷新される予定だ。

 しかし厳しい移民政策を発表しているにも関わらず、米国国境を目指す中南米移民の数は減っていない。昨年には中米エルサルバドルなどからメキシコを通り、米国境を目指す「キャラバン」と呼ばれる人々が世界的なニュースになった。対策として強硬に進めている国境の壁建設も議会の反対にあい実現が難しい。テキサス州、アリゾナ州、カリフォルニア州などの国境付近にある不法移民収容所はまさに満杯状態で、衛生健康面への懸念も高まっている。

【次ページ】民主党政策をもって民主党を制す? トランプの本当の狙い

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