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  • 2019/08/14

和歌山県白浜町のサテライトオフィスが大活況、IT企業に選ばれる理由とは?

温泉とパンダで知られるリゾート地の和歌山県白浜町に、国内外のIT企業などが相次いでサテライトオフィスを設置している。白浜町が設けたサテライトオフィス用の貸事務所2棟は計10社が入って満室で、近く3つ目の施設整備に入る計画。サテライトオフィス誘致は多くの地方自治体が力を入れているが、苦戦するところが少なくない。早稲田大大学院アジア太平洋研究科の三友仁志教授(デジタルエコノミー論)は「箱モノを作ったから誘致できるわけではない。白浜町のように企業のニーズをくみ取り、進出に見合うメリットを提供する必要がある」とみている。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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白い砂浜が南国リゾートの雰囲気を漂わせる白良浜海水浴場。サテライトオフィスから目と鼻の先だ
(写真:筆者撮影)

ゆったりと流れる時間の中でシステム開発

 西に紀伊水道、南に吉野熊野国立公園を望む小高い丘の上に白浜町第2ITビジネスオフィスがある。桜の名所として知られる平草原公園の管理事務所を2018年に建て替えた2階建ての施設で、1階が公園の管理事務所とコワーキングスペース、2階が貸事務所だ。

 貸事務所は計4室用意されたが、IT企業などのサテライトオフィスが全室に入居している。その一室に事務所を構えたのが東京都港区に本社を置くIT企業ウフルの白浜事業部。壁に木材をふんだんに使い、木の温かさに囲まれた室内で、CTOの古城篤さん(43)=田辺市東陽=らがパソコンに向かって作業している。

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ウフルの白浜事業部で働くCTOの古城篤さん。「新しいものを生み出すのに白浜は良い場所だ」と考えている
(写真:筆者撮影)

 白浜事業部は本社の仕事をテレワークでサポートするのではなく、IoTを活用して新たな事業を生み出す拠点と考えられている。古城さんら2人が本社から移り、現地採用の社員1人とチームを組む。開発しているのはドライブレコーダーの映像を活用したリアルタイムの渋滞予測システムや顔認証システムなどだ。

 園田崇社長は「白浜はゆったりと時間が流れ、新しいものを作り上げるのに非常に良い場所。東京にいると気づかないことを思いつけるのでないか。白浜事業部をショールームのような存在に育てたい」と意欲を見せる。

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ウフルが入居する白浜町第2ITビジネスオフィス。南紀白浜空港から車で5分の場所にある
(写真:筆者撮影)

 古城さんは奥さんと1歳、4歳の子どもの家族4人で白浜町の隣の田辺市へ引っ越してきた。「大分県別府市出身の私にとって故郷へ戻ってきた感じがする。子どもたちも良い環境でのびのび育ってくれそう」と笑顔で語った。


総務省のテレワーク事業を機にIT企業が次々に進出

 白浜町は和歌山県南西部にある人口約2万人。南紀白浜温泉と美しいビーチの白良浜、テーマパーク・アドベンチャーワールドのジャイアントパンダで知られ、関西を代表するリゾート地になっている。

 白浜町のサテライトオフィス誘致は2004年、民間企業から買い取った保養所を改修し、白浜町ITビジネスオフィスの名で貸事務所を設けたのが始まりだ。しかし、入居した2社が撤退すると、5年以上にわたって全室空きの苦しい状態が続いた。

 ところが、2015年に総務省からふるさとテレワーク推進事業に採択されたことで転機が訪れる。米IT企業セールスフォース・ドットコムの日本法人が入居したのをきっかけに相次いで企業が進出、1年後にオフィスは満室に。

 実証事業では、東京都内で働くのに比べ、商談件数が11%、契約金額が63%増えたことが分かった。通勤時間の減少で余暇や地域と交流する時間が増え、生活にゆとりが生まれたことも明らかになっている。

【次ページ】白浜以外では誘致に苦戦する自治体も、誘致成功のカギとは?

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