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- 2021/11/09 掲載
医療AIのわかりやすい事例、「診断支援」「ヘルスケア」「医薬」の違いとは?
「診断支援AI」とは
病気の診断はさまざまな諸症状を分析し、その結果を既知の病気と結びつける形で行ないます。この時、症状と病名の関連付けは医師の頭の中で行われるわけですが、専門外の分野や稀な病気・症状だった場合には、うまく既知の病気と関連付けられないことがあります。しかし、人工知能(AI)であれば稀な病気・症状でも、分析に必要なデータさえあれば候補として挙げることが可能です。
すでに導入されている事例では、血液検査・レントゲン・CTを含む各種検査結果と症状を合わせ、蓄積された過去の症例と比較する形でAIが病気の診断を補助しています。実際に医師が見つけられなかった特殊な白血病の種類を見抜き、治療方針の変更を提案するなど少なくない成果を挙げており、医療現場への導入が進んでいます。
特に画像診断の領域ではメリットが大きく、1つの検査で数百枚の画像をチェックする放射線診断医の大きな助けとなっています。
画像診断では小さな病変部位を見つけなければいけないことから、ダブルチェック・トリプルチェック体制が敷かれることがあるため、1回分のチェックをAIに任せられるようになるだけでも大幅に負担が減るというわけです。
「ヘルスケアAI」とは
医療現場だけではなく、AIをヘルスケア向けのアプリ・PC・IoT機器などに応用することで、普段の生活の中に潜むリスクを検知し、病院へ行くように促してくれるようなアプローチも広がっています。たとえば、人は体調が悪いとき、多くの人がその原因や治療法を見つけるためにインターネットで検索をかけます。その大半がなんてことのない風邪や疲労に過ぎませんが、1つ1つの症状について検索していく内に「症状に関する情報」が検索ワードとして集まります。すると「この病気ではありませんか?」と提案してくれるような機能が開発されています。
さらにスマートウォッチを代表として、身につける衣服や靴にIoTを搭載し、リアルタイムで健康状態を計測することができるようになれば、身体の状態や動きから素早く異変を察知できるようになります。実際にスマートウォッチが心拍や呼吸の異変を検知し、アラートを出して所有者を救った事例も現れています。
また、トイレにセンサーを搭載して日常生活の中で尿や便の検査をしたり、カプセル型のセンサーを飲み込んでそのまま排出することで口や肛門から内視鏡を入れることなく消化器官の状態を調べられるような検査方法も登場しています。こうしたセンサーとAIを組み合わせることで、病院での検査に近いヘルスチェックが日常的にできるようになるかもしれません。
【次ページ】「医薬AI」「医療データベース」とは?まるごと解説
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