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  • 2013/01/11 掲載

J.フロントリテイリング 榎本朋彦氏:百貨店のオンライン戦略、秘策は店舗にあり

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2011年に設立されたJFRオンラインは、持ち株会社であるJ.フロントリテイリング(JFR)傘下の通販企業で、同グループで百貨店業を営む大丸松坂屋百貨店のオンラインショッピング事業の運営委託やカタログ通販事業を展開している。長い歴史を持つ大丸と松坂屋は強い顧客ロイヤリティに支えられてきたが、オンライン市場が急拡大する中、JFRオンラインでは“のれん”の力を再認識し、消費者に最高のショッピング体験を届けるために顧客接点のリ・デザインを目指している。インプレスビジネスメディア主催の「ネットショップ担当者フォーラム」において、J.フロントリテイリングの執行役員で、JFRオンライン 代表取締役社長の榎本朋彦氏がその取り組みを語った。

企業と消費者の間に存在する“需給ギャップ”

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J.フロント リテイリング
執行役員 兼
JFRオンライン
代表取締役社長
榎本朋彦氏
 JFRグループの中核を担う大丸松坂屋百貨店は、日本全国に22店舗を展開、年間売上高は約7,300億円でグループ全体の8割弱を占めている。内訳としては大丸が15店舗/約5,200億円、松坂屋が6店舗/約2,100億円だ。その大丸松坂屋百貨店の通販部門から通販事業を承継して設立されたのがJFRオンラインで、2012年2月期の年間売上高は178億円、従業員数は約90名、冒頭で触れたようにカタログ通販事業とオンラインショッピング事業の2つを展開している。

 榎本氏はまず現在の小売業界について「ネット通販全体で売上高1,000億円を超える企業は9社と聞いている。一方店舗を持つ小売業で1兆円を超える企業は当グループを含めて5社あり、1,000億円を超える企業は上場企業だけでも約100社」と指摘する。

 世界初のオンラインサイトが登場したといわれているのが1991年で、その歴史はまだ20年余り。ネット通販市場は現在急拡大しているが、その歴史はまだ浅く、解決しなければならない大きな課題がある。

「情報の送り手としての企業と受け手としての消費者の間に厳然としたギャップがあると考えている。具体的には、多くの情報を提供して消費者にアプローチしたい企業と、膨大な情報の中から欲しいものだけを選び採りたいという消費者との隔たりだ。」

 たとえば企業は、電話によるアプローチで商品を売りたいと考える。一方の顧客は自分の意思に反して商品を売り付けられたくないという気持ちがある。だから電話は受けたくない。しかし友人や家族からの電話はむしろ逆に電話をもらうことを好ましく感じる。

 また企業は顧客の購買データを把握しているので、ある顧客がここ数年にわたって購買実績がないという状況が分かっているが、一方の顧客はこの百貨店では毎年買っていると信じている。

 なぜ、こうした問題が起きるのか。

「広く浅くアプローチするというマーケティング手法が主流で、顧客の本質を十分に掴み切れていないからではないか。これはネット通販の分野で顧客ロイヤリティを高めるための有効な手立てがまだ確立されていないということだ。結果、最も単純で有効な最終兵器である価格の競争に陥らざるを得ない。しかし成熟した市場の中では、価格だけで顧客の本質的な満足を生み出すことはできないだろう。」

鍵を握るのは「購買頻度」と「購買点数」

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 2012年版の日本百貨店協会「eビジネス白書」によれば、百貨店業界のEC市場は約283億6,600万円。また百貨店業界のネット通販比率は1%に満たない状況だが、米国の4.7%と比較すれば、まだ大きな成長の余地があると考えられる。

 とはいえリアルな百貨店事業とネット通販事業とでは、ビジネスの特性が大きく異なっている。たとえば前者はアクセスのいい場所に立地し、接客は対面販売、また永年の歴史と顧客との信頼関係によって結ばれている“のれん産業”だ。一方後者は、無店舗で非対面販売、日々進化する技術を取り込み、随時改定していく“システム産業”である。

「実は両者をまったく違うものとして考えてしまうところに大きな間違いがある。百貨店は大きい店舗1つで、1,000~2,000億円の年間売上規模を持つ。それは一朝一夕にではなく、お客さまのお店に対するロイヤリティが長い時間積み重なってようやく辿り着いた姿だ。それはオンラインについてもいえるのではないか。強い顧客ロイヤリティを作る努力をしなければ、結局は価格だけの競争に陥ってしまう。」

 それでは顧客ロイヤリティとは一体何なのか。

【次ページ】百貨店事業でのアプローチを活かす

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