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  • 2014/12/09

IT投資の評価手法をガートナーのデーブ・アロン氏が指南、ROIやNPVに代わる考え方とは

企業のビジネスモデルの進化にITを活用する動きが活発化する一方で、そのIT投資の価値をどのように測定し、評価すればよいのかといった課題が、以前よりも顕著なものになってきている。企業はどのような手法でIT投資を評価すればよいのだろうか?売上高に占めるITコストの割合やROI・NPVに代わる指標はあるのか?ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント兼ガートナーフェローのデーブ・アロン氏が指南した。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

“ITコストの単位量当たりで生み出された売上”でも評価すべき

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ガートナー リサーチ部門
バイスプレジデント兼ガートナーフェロー
デーブ・アロン氏
 これまでのITは、ビジネスプロセスの最適化を図るためのものだったが、現在進むデジタル・ビジネスの世界では、仮想/物理環境を問わず、人/モノ/ビジネスが直接つながり、顧客との関係が瞬時に変化していく状態が当たり前のものとなる。

 「Gartner Symposium/ITxpo 2014」に登壇したアロン氏は「デジタル化は成長やイノベーション、あるいは差別化のために継続的な機会を提供するものだが、IT価値の測定と管理がより難しくなる」と語る。

 それでは今後、IT価値の測定と管理をどのように進めていけばいいのだろうか。アロン氏は次の3つの変化が必要と説く。

  1. 情報技術のリーダーシップを変えること
  2. 価値に関するリーダシップを変えること
  3. 人と文化に関するリーダーシップを変えること

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「この中でも特に価値に関するリーダーシップに注目すべき」(アロン氏)

 現在ITのパフォーマンスを測定する指標として、大半の企業が使用しているのは、ITコストやサービスレベル、顧客満足度など目によく見えるもの、つまり“測定しやすいもの”だ。

「これらの指標は、いわば遅行指標で、既に起こったことを測定したものだ。ITパフォーマンスを網羅的に評価するためには、それらに加えて先行指標、つまりビジネス価値につながるような指標も併せて見なければならない。具体的にはITスキルやITのモラル、イノベーションに振り分けられるIT投資の比率などだ」

 これまではITパフォーマンス評価指標の1つとして、ITコストを売上高で割った値(=ITコスト/売上高)が使用されてきた。“売上に対して、どれだけのITコストをかけているのか”を見るもので、一般的な値としては1~4%だろう。しかし、これで分かるのはITの効率性で、限定的な評価尺度に過ぎない。そこでアロン氏は、ITの価値をより強調できる指標として「売上高をITコストで割った値(= 売上高/ITコスト)」を提示する。

「先の指標の分母と分子を入れ替えたものだが、[売上高/ITコスト]という指標にすれば、“ITコストの単位量当たり、どれだけの売上が生み出されたのか”を示すものとなる。従来の指標ももちろん重要だが、ITコストをかけることでどれだけの価値が生まれたのか、という見方も必要だ」

IT集約型投資は、3つの観点で評価/管理する

 また、IT全体ではなくIT集約型投資、つまりプロジェクト単位やプログラム単位での投資を評価する際によく用いられる指標として、投資資本利益率(ROI)や正味現在価値(NPV)などが挙げられる。

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日本でプロジェクト評価に用いられる評価指標
(出典:ガートナー)


 この点についてアロン氏は、「現在は同じ評価指標をどんなプロジェクトにも均一に当てはめている。しかしプロジェクトはROIを高めるためにやっているわけではない」と強い疑問を投げかける。

 企業がIT投資を行う理由は3つ、「それは不安と事実と信念」であり、3つの観点から異なった指標で管理すべきであるという。

 まず不安のための投資は、売上やマーケットシェアなど、今のビジネスを守るためのもの。インフラのアップグレードやセキュリティ対策などが相当する。「不安ベースの投資は、ビジネスにかかる税金のようなもの。ベンチマークテストやコスト/品質/リスクの評価指標で管理すべきものだ」。

 次に事実ベースの投資は、その投資によって期待できるキャッシュフローや生産性が明らかなもの。既存のビジネスモデルやツールを拡張することが相当する。「事実ベースの投資は価値評価指標、即ちROIやNPVなどで管理する」。

 そして信念に基づいた投資は、既存の枠を超えた変革に対するものだ。たとえばソーシャルリスニング(SNSやブログに書き込まれた情報を分析し、今のトレンドを把握したり流行を予想したりすること)への投資だ。「信念に基づく投資の管理は、スポンサーシップやスコープ管理で行うべき」。

【次ページ】複雑さを増すIT投資を評価する4つの方法

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