世界のゲーム産業をリードしてきた日本と欧米の企業が上位をほぼ独占しているが、中国などの新興国企業も急速に追い上げてきた。また、ネット関連企業の存在感が高まっていることもうかがえる。ただし、コンピュータゲームは、映画や出版物と同じように、ヒット作に恵まれるかどうかで売上げが大きく左右され、浮沈が激しいのが宿命だ。ランキングは毎年、大幅に入れ替わる可能性があることにも注意したい。
そうした中、2014年度上半期で世界第1位となったのは中国のテンセント(騰訊控股)だ。98年に創業したばかりの新興企業だが、無料のインスタントメッセンジャーソフト「QQ」で7億人以上のユーザーを獲得、中国屈指のネットサービス企業にのし上がった。今や世界最大のEC(電子商取引)企業となったアリババすら恐れる企業になったと評される。QQの急拡大に伴い、ゲームの有料配信サービスの売上げも大幅に伸びているというわけだ。また、世界的に人気の高い「League of Legends」のRiot Gamesを傘下に置き、2012年からは「Unreal Engine」のEpic Gamesにも出資していることで知られている。
第2位は米国のエレクトロニック・アーツ(EA)だ。82年にパソコン向けのゲームソフトメーカーとしてスタートした。NFL(米国のアメリカンフットボールプロリーグ)のライセンスを独占取得するなどスポーツゲームに強い。2000年代前半には世界最大のゲーム会社になった。M&A(企業合併・買収)にも積極的で、97年には「シムシティ」を世に送り出したマクシスを傘下に収めている。
第3位は米国のアクティビジョン・ブリザード。世界有数のソフトメーカーであるフランスのビベンティ・ユニバーサルゲームズと米国のアクティビジョン(「コール・オブ・デューティー」などのゲームソフトを開発)が、07年に経営統合して誕生した。合併当時はEAを抜き世界首位になった。2013年にはビベンティから独立した。
第5位のマイクロソフトは「Xbox」を販売するハードメーカーでもある。第6位のアップルや第7位のグーグルはご存じのとおり、スマートフォンのOSやプラットフォームを展開する企業であり、ゲーム業界での「スマートフォンゲーム」の成長ぶりを示している。
第8位のキング・デジタル・エンターテインメントは03年創業の英国企業で、スマートフォン向けゲーム「キャンディークラッシュ」は全世界で5億ダウンロードされ(13年時点)、日本でもテレビCMでおなじみだ。13年には日本法人のキング・ジャパンも設立されている。
【次ページ】日本のゲーム業界の課題と今後の戦略