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  • 2015/01/14 掲載

ゲーム業界の世界ランキング:アリババも恐れるテンセント ソニーや任天堂の行方は?

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今や6.3兆円にものぼるとされる世界のゲーム市場。これまでエレクトロニック・アーツやアクティビジョン・ブリザードといった“ゲーム業界の巨人”が割拠する欧米勢、そしてソニーや任天堂といった日本勢が上位を占めてきた。そこに驚くべきスピードで成長を果たした企業がある。それが、“アリババも恐れる”と言われる中国のテンセント(騰訊控股)だ。今回は、テレビゲームからソーシャルゲーム、そしてスマートフォンやタブレット端末を利用したスマホゲームへと主役が劇的に入れ替わるゲーム業界の動向を見ていこう。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

入れ替わりの激しいゲーム業界

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 囲碁や将棋、チェス、麻雀、トランプ、花札、かるた、双六……。世の中には、さまざまな種類のゲームがある。囲碁や将棋といった古い歴史を有するゲームが、いまだに根強い人気を保っている一方、新しいタイプのゲームも次々と生まれている。中でも、現代において世界中にファンを拡大しているのが、「コンピュータゲーム」だ。いまや“ゲーム”と言えば、“コンピュータゲーム”を指すと言ってもいいほど、ゲーム業界の主役に躍り出たのである。

 コンピュータゲームは1958年、米国のブルックヘイブン国立研究所で開発された「テニス・フォー・ツー」が第1号と言われている。当初はゲームの新しいジャンルの一つに過ぎなかったが、IT化の波に乗って70年代以降、米国で巨大産業に発展した。

 日本では78年、アミューズメント施設用のゲーム機として「スペースインベーダー」(タイトー製)が登場、若者や子供を中心に一大ブームを巻き起こした。さらに、80年代に入ると、任天堂が「ゲーム&ウォッチ」「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」を投入し、「家庭用ゲーム機」という新市場を創り出した結果、「テレビゲーム」は一挙に普及したのである。

 ゲーム産業は大きく分類すると玩具産業に入る。たとえば、日本の大手総合玩具メーカーの多くがゲーム用品も生産していた(任天堂も、もともと花札のメーカーだった)。そうしたゲームメーカーの中から、コンピュータゲームを主力として、成長する企業が増えていったのである。

 ゲームセンターといったアミューズメント施設向けのゲーム機を生産していたメーカーの中からも、家庭用ゲーム機を手がける企業が現れた。また、日本の大手家電メーカーも家庭用ゲーム機に参入するようになった。「プレイステーション(PS)」を展開しているソニーがその代表格である。

 コンピュータゲームはその後、専用ゲーム機を使って遊ぶタイプから、携帯電話やソーシャルメディアを使ったタイプにシフト。最近では、スマートフォンやタブレット端末で気軽に楽しめる「スマートフォンゲーム」も広まっている。

 そうした市場の変化を受けて台頭してきたのが、ゲームソフトの開発に特化したソフトメーカーだ(専用ゲーム機も生産するメーカーを「ハードメーカー」と呼ぶ)。ハードメーカーやネットサービス企業などにゲームソフトを提供、ハードメーカーを凌ぐ規模に成長した企業もある。さらに、ソフトメーカーも、ゲームソフトの発売元となる「パブリッシャー」(ソフトの開発から流通までの総合機能を備えた大手メーカーが多い)と、ゲームソフトの開発のみを担う「デベロッパー」に分かれるなど、分業化が進んでいる。

中国のネットサービス企業が世界一に躍進

 ゲーム業界の売上高による直近のグローバルランキングのトップ24は次のとおりである。

画像
ゲーム業界の世界ランキング

 世界のゲーム産業をリードしてきた日本と欧米の企業が上位をほぼ独占しているが、中国などの新興国企業も急速に追い上げてきた。また、ネット関連企業の存在感が高まっていることもうかがえる。ただし、コンピュータゲームは、映画や出版物と同じように、ヒット作に恵まれるかどうかで売上げが大きく左右され、浮沈が激しいのが宿命だ。ランキングは毎年、大幅に入れ替わる可能性があることにも注意したい。

 そうした中、2014年度上半期で世界第1位となったのは中国のテンセント(騰訊控股)だ。98年に創業したばかりの新興企業だが、無料のインスタントメッセンジャーソフト「QQ」で7億人以上のユーザーを獲得、中国屈指のネットサービス企業にのし上がった。今や世界最大のEC(電子商取引)企業となったアリババすら恐れる企業になったと評される。QQの急拡大に伴い、ゲームの有料配信サービスの売上げも大幅に伸びているというわけだ。また、世界的に人気の高い「League of Legends」のRiot Gamesを傘下に置き、2012年からは「Unreal Engine」のEpic Gamesにも出資していることで知られている。


 第2位は米国のエレクトロニック・アーツ(EA)だ。82年にパソコン向けのゲームソフトメーカーとしてスタートした。NFL(米国のアメリカンフットボールプロリーグ)のライセンスを独占取得するなどスポーツゲームに強い。2000年代前半には世界最大のゲーム会社になった。M&A(企業合併・買収)にも積極的で、97年には「シムシティ」を世に送り出したマクシスを傘下に収めている。

 第3位は米国のアクティビジョン・ブリザード。世界有数のソフトメーカーであるフランスのビベンティ・ユニバーサルゲームズと米国のアクティビジョン(「コール・オブ・デューティー」などのゲームソフトを開発)が、07年に経営統合して誕生した。合併当時はEAを抜き世界首位になった。2013年にはビベンティから独立した。

 第5位のマイクロソフトは「Xbox」を販売するハードメーカーでもある。第6位のアップルや第7位のグーグルはご存じのとおり、スマートフォンのOSやプラットフォームを展開する企業であり、ゲーム業界での「スマートフォンゲーム」の成長ぶりを示している。

 第8位のキング・デジタル・エンターテインメントは03年創業の英国企業で、スマートフォン向けゲーム「キャンディークラッシュ」は全世界で5億ダウンロードされ(13年時点)、日本でもテレビCMでおなじみだ。13年には日本法人のキング・ジャパンも設立されている。

【次ページ】日本のゲーム業界の課題と今後の戦略

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