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- 2015/09/17 掲載
東大 森川博之 教授が、「IoTは地方の企業が主役」と語る理由
IoTの技術は既に成熟し、新たな視点を見つけることが重要な段階へ
森川教授が最初に切り出したのは、IoT/M2Mとは切っても切れないビッグデータに関する現状だ。紹介されたのは、米国の消費者分析の事例。購買習慣の変化から若い女性客が妊娠していることを見抜き、出産準備品のクーポンを送ったという話だ。
「話を聞けば、購買データからそういうことは推測できると理解はできる。しかし、よほど強い想いがなければ、ビッグデータからこのような情報が見つけられるわけではなく、かなりのやる気がなければこの情報を見つけるためのファクターを絞り込むこともできません」
ビッグデータの技術的な活用法だけがわかっているだけではビジネスにはつながらないというのが、森川教授の指摘だった。集まった情報からこういうことがわかるはずだという仮説を立て、それに強い信念を持って検証しなければ実際のビジネスに活きる分析結果は出てこない。
この事例を踏まえて「IoTはユビキタスやスマート化と技術的にはほとんど変わらない」と指摘、その技術自体は既に成熟していると述べた。ビジネスに活かせるかどうかは技術の進歩にかかっているのではなく、その技術を活用する視点やそれにかける信念の強さにかかっているというのだ。
まだネットにつながっていないものにこそ可能性がある
「今まではインターネットに接続されていなかったデバイスに無線LANを搭載してスマートフォンと連携させれば、クラウドに情報を集めて新たなビッグデータを生み出せます。グーグルはそこに注目し、32億ドルという価格をつけたのです」
つまり、まだインターネットにつながっていないものをインターネットにつないで情報収集することで、大きな価値が生まれる可能性があることを裏付けるのがグーグルのNest買収劇だった。
「そう考えてこの会場を見渡してみてください。壁に掛かっている時計、天井の照明やスピーカー、どれもインターネットにつながっていません。こういうものをインターネットにつなぐことで何かが変わるかもしれません。それこそが、IoTの持つ可能性です」
森川教授が訴えたのは、まだ誰も集めていないデータは何かと考えていくことが、ビジネス化のヒントになるということだ。これは先のサーモスタットの事例について語られた、まだインターネットにつながっていないものをインターネットにつなぐことで何かが変わるという視点とも通じる。まだネットにつながっていないものであれば、多数のデータを集めている先駆プレイヤーもいないからだ。
【次ページ】IoTでは、なぜ地方企業のほうが有利なのか
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