「CBは4ヵ月ごとに新しい機能をまとめて提供するモデルで、CBBは、CBのアップデートがさらに4~8ヵ月遅れで提供されるモデルだ。その間に、アプリケーションの機能などをテストできる。しかし、アップデートの受け入れは無制限に延期できない。セキュリティFIXが受けられなくなるからだ」
このほかにも、「Long Time Service Branch」というアップデートの間隔を2~3年ごとに空け、その間、セキュリティFIXだけを受けるオプションもあるが、これは、安定性が重視される特定の業種などで適用されるモデルだ。
ジョーンズ氏は、自社の環境に適したアップデートのタイミングとして以下の3つのパターンを挙げた。
積極的:
新機能などを広く実装したい企業は2016年~2017年末までをめどに
対象を絞る:
特定のニーズを対象に導入を進めたい企業は、2016年~2019年をめどに
保守的:
今のところアップデートのニーズはない企業は、2017年~2019年をめどに
いずれの場合においても、Windows 7のサポートが2020年1月に終了することから、それまでに移行作業を完了する必要がある。
「2020年1月までに移行完了というスケジュールを逆算すると、積極的な企業では、今後、2~3ヵ月をかけてIT担当者を対象としたWindows 10に関するトレーニングを開始するというスケジュールになる。自組織だけでなく、業務アプリや関連するソフトウェアを開発する外部のソフトウェアプロバイダーなどと、移行タイムラインについて十分に話し合ってほしい」
また、移行の難易度はWindows XPからWindows 7などへの移行に比べて容易だが、どの移行シナリオが最もコスト効果が高いか、あるいは、移行に際してのテストや修正といった全体の計画について事前にしっかりと考えておくことが重要だ。
移行に向けた方針と大まかなスケジュールの決定に直ちに着手すべき
次に、導入のための準備だ。ジョーンズ氏は、以下のように導入準備を3つのステップに分け、だいたい準備には9~12ヵ月を要すると指摘した。
・ハードウェアやソフトウェア、IT担当者や開発者などへの情報収集:
3ヵ月
・エンジニアリング・テスト:
3~6ヵ月
・パイロット・テスト:
3ヵ月
「移行が容易といっても、準備には最低でも9~12ヵ月は必要だ。『待ち』の姿勢ではなく、今すぐ最初のステップに着手することを推奨する」
多くの企業では、Windows 10への移行は、ハードウェアの入れ替えのタイミングが一つの契機となるだろう。上述の通り、Windows 10は、固定化されたプロダクトではなく、継続的にOSが最新の状態に進化する「Windows as a Service」というサービスである。
「CIOが直ちに実行すべき事項は、まず、Windows 10を管理された環境で調査し、移行に向けた方針と大まかなスケジュールを決めることだ。次に、90日以内に実行して欲しいことは、サポートや最新情報の取得についてソフトウェアのプロバイダーや社内開発者と相談し、新しいセキュリティ機能が今の運用体制にどう影響をおよぼすかを考えることだ。そして、1年以内に実行すべきことは、継続的なアップデートに対応できるプロセスを作成し、移行のプロジェクト計画を完成させることだ」