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  • 2016/04/28

インベスターズクラウド 古木 大咲氏に聞く、なぜ不動産テックにFinTechが必要なのか

金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせたFinTechに続いて、不動産(RealEstate)とテクノロジーを掛け合わせた「RealEstateTech(不動産テック)」という新たな流れが注目を集めている。2015年12月にマザーズ上場を果たしたインベスターズクラウドは、国内における不動産テックの代表的企業だ。同社は、レガシーな不動産業界の中でITを活用し、土地や建物といった在庫を持たず、オーナーと経営者をマッチングさせるビジネスモデルで業績を伸ばしている。さらに直近では、不動産投資型クラウドファンディングの提供も発表しているが、FinTechにまで事業領域を広げる理由とは何か。同社の代表取締役 古木 大咲氏に話を聞いた。

(聞き手:編集部 時田 信太朗)

photo
インベスターズクラウド
代表取締役
古木 大咲氏

「不動産テック」で在庫を持たないビジネスモデルを確立

 リーマンショックを契機に、不動産業界の常識を覆す"在庫を持たないビジネスモデル"を確立し、注目を集めている企業がインベスターズクラウドだ。2015年12月にはマザーズ市場への上場を果たし、初値3615円を付けた株価は2016年4月現在も右肩上がりで推移している。

 同社のビジネスモデルはまず、アパート経営を希望する顧客に、インベスターズクラウドが要望に合う土地情報を仕入れ、マッチングさせる。顧客は、その土地が気に入れば購入し、そこにインベスターズクラウドがアパートを建築する。建築されるのは、デザインアパートの付加価値の高い建物だ。そして、建築の請負と管理収入が、インベスターズクラウドの収益になる。

 土地の調査、資金調達や土地取得に関わるさまざまな手続きは、すべてインベスターズクラウドが代行する。さらに、建築後のアパート経営も同社が支援する。経営がうまくいかなければ、顧客とインベスターズクラウドの双方が不利益を被るため、土地選定からアパート建設、その後の経営まで、インベスターズクラウドはビジネス上のリスクを負う。一方、同社は情報・サービスの提供に徹し、不動産を持たないため、リーマンショックのような経営環境の急激な変化の影響は受けづらい。


 現在、旧態依然とした不動産ビジネスをITで革新するという意味で「不動産テック(RealEstateTech)」という言葉が注目されているが、まさにその言葉を実践して急成長しているのが、インベスターズクラウドなのである。同社の代表取締役 古木 大咲氏は、「不動産テックは、特に財務面で効果が大きい」と、次のように語る。

「弊社の2年前の売上は約146億円で、そのうち在庫分は約14億円でした。これは、あくまで一部地域の商慣習に基づくのものにすぎません。そして、前期の売上は215億円、今期は約272億円を見込んでいますが、在庫の14億円という数字に変化はありません」(古木氏)

 売上の約半分は在庫が占めるのが普通といわれていた不動産業界において、この数字がいかに常識外れかは想像に難くない。

土地のマッチングから賃貸管理までアパート管理をサポートする「TATERU」

 同社のビジネスを支えているのが、オンライン上で土地マッチングからアパートの提案・建築・賃貸管理までをワンストップで提供するクラウドサービス「TATERU(タテル)」だ。

「TATERUに会員登録し、スマートフォンにアプリをインストールしていただくと、弊社の営業担当者(コンシェルジュ)が44名表示されます。そこから好みの担当者を選ぶと、チャットを通じてアパート経営の相談ができるようになります。アパート完成後も、入居状況や送金明細の報告など、アパート経営に関するさまざまな情報やサービスを提供します」(古木氏)

 TATERUの会員数も順調に増えている。上場前の新規会員登録数は月間で約800名ほどだったが、上場後はその数字が1000名にまで跳ね上がった。2015年度のデータでは、累計の会員数は9万名超で、そのうちアパート経営の成約数は438名と成約率3.9%を達成している。

 ちなみに、同社の営業担当者は44名だが、今期、受注予定のアパート棟数は500棟で、1人あたり、年間で約11棟を受注した計算になる。従来の業界の平均値は1~1.5棟だというから、これまた常識外れの数字をたたき出しているのである。

 なお、TATERUはシステム改修にも余念が無い。上場によって得た資金で、優秀なエンジニアを確保できたことも大きいようだ。

「TATERUは、土地情報を管理する『ESTATE』、販売管理システムの『SALES』、物件の着工から竣工までを管理する『ARCHITECT』、賃貸管理業務の『PROPERTY』、そして会員を集客する『DMP(Data Management Platform)』という5つのクラウドシステムから構成されています。順次、アップデートをかけていますが、いまは集客システムのDMPと不動産会社用のアプリ、および工務店用のアプリを開発中であり、日常業務の効率化に取り組んでいます」(古木氏)

画像
アパート経営プラットフォーム「TATERU」のチャット画面

1口10万円から購入できるクラウドファンディングでFinTech分野に本格進出

 TATERUを中心に順調にビジネスを拡大しているインベスターズクラウドだが、ここにきて、新しい領域にも足を踏み出そうとしている。それがFinTechだ。直近では、10万円から購入できる不動産投資型クラウドファンディング「TATERU FUNDING(タテルファンディング)」のサービスを発表した。

「これまで、当社のサービスを使ってアパート経営するには、7000万円ほどが必要でした。それだけの資金を借りるか、自己資金を出すかしかなかったのですが、TATERU FUNDINGによって、10万円から投資できるようになりました」(古木氏)

 これは、Web上で1棟の物件に対して複数の投資家から出資を募り、インベスターズクラウドが運用して得た利益を出資者に分配する仕組みだ。同社にとっては、資金調達の幅を広げられるだけでなく、少額投資したい国内の潜在顧客や海外の個人投資家を掘り起こし、アパート経営へとつなげられるメリットもある。

 また、マネーフォワードとの提携によって提供される「TATERU確定申告」もFinTech関連の注目サービスだ。

「『TATERU確定申告』は、TATERUを利用している不動産オーナー用の確定申告システムです。銀行の入出金が自動的に取り込まれ、経費もクレジットカードで支払えば自動入力されます。また、紙の領収書もスマートフォンで撮影するだけで自動入力できます。税理士に頼まなくても、ボタンをクリックするだけでe-Taxで確定申告することが可能です。もちろん、TATERUユーザーは無料で利用できます」(古木氏)

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