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  • 2016/06/10

ジェフ・ベゾスは「長い時間」と「短い時間」を使い分けている

連載:ジェフ・ベゾスに学ぶイノベーターの仕事術

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの特徴は「時間軸を延ばす」ことで競争相手を減らす一方で、「短期間での急速な成長」によって市場を総取りしようとするところにある。ベゾスが常に意識しているのは「時間」であり、長い時間と短い時間を巧みに使い分けることで今日の成功を手にしている。イノベーターにとって時間をどう使いこなすかはとても大きな意味を持っている。

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。主な著書に『難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉』(KADOKAWA)『ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』(朝日新聞出版)『「ものづくりの現場」の名語録』(PHP文庫)『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』(ビジネス+IT BOOKS)などがある。

大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ (ビジネス+IT BOOKS)
・著者:桑原 晃弥
・定価:800円 (税抜)
・出版社: SBクリエイティブ
・ASIN:B07F62BVH9
・発売日:2018年7月2日


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ジェフ・ベゾスは「最も貴重な資源は時間である」と考える

「今しかない」と考えて行動できる人はそうはいない

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 ジェフ・ベゾスがインターネットの急成長に気づいたのは1994年の初めのことである。ボスであるデビッド・ショーの指示でウェブの使用状況を調査したベゾスは「1年で2300%という驚異的な速度で成長している」ことを知り、「年に2300%で成長するものは、今日はまだ目につかなくても、明日になれば巷に溢れるようになる」と直感した。

 当時、インターネット関連のビジネスで成功した人は誰もいなかったが、ゴールド・ラッシュならぬ「インターネット・ラッシュ」に見えたベゾスは急いだ。

「年に2300%も成長しているとなると、すぐに行動に移さなければなりません。その切迫感が一番重要な強みになるんです」

 チャンスに「気づく」人はいる。しかし、チャンスを「今しかない」と考えて即座に行動できる人はそうはいない。もしマーク・ザッカーバーグがフェイスブックの可能性に気づきながら、「ハーバードを卒業してから」と先延ばししたなら、今日の成功はなかったように、ベゾスも「ボスの許可が出るのを待とう」とか、「ボーナスをもらってからにするか」と考えたならやはり今日のアマゾンはなかったはずだ。

 チャンスに気づくとすぐに勤めていたD・E・ショー社を退社、ベゾスは7月にアマゾンの前身となる「カダブラ」を登記(1995年2月に「アマゾン」を登記)、翌年の春からアマゾンサイトのベータテストを開始している。

こだわり続けたのは「摩擦のない買い方」を実現すること

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ジェフ・ベゾス氏
 1年近くをかけた準備期間にベゾスがずっとこだわり続けたのが「摩擦のない買い方」を実現することだった。

 ベゾスは、アマゾンの初期メンバーで、当時ソフトウェア開発の責任者だったシェル・カファンにこう指示している。

「注文システムの“摩擦”をなくす工夫が大切だ。最小限の労力で商品を注文できるようにしなければならない。商品をクリックしたらそれだけで終わるくらいでなければならないと思う」

 目指したのは「シングルアクションによる注文」だったが、これは当時としては画期的な考え方だった。元副社長のスコット・リブスキーによると、当時、オンライン企業の多くが考えていたのは「店に入って行ってお目当ての品物を探す」という伝統的なスタイルをネット上で再現することであり、「何がオンライン・ショッピングの動機になるのか」を自らに問いかける人はいなかったという。

 そこにベゾスと他の会社の違いがあった。ベゾスが考えていたのは「オンライン・ショッピングを手間も時間もかからない経済的なものにすることが、そこで買い物をしようという動機になる」ということであり、オンラインで本を注文する利便性を提供することこそ成功の条件だと理解していた。

 理由はこうだ。

「私は、最も貴重な資源は時間であるという、20世紀後半によく言われた理論を今も踏襲しています。お金と時間を節約できるなら、みんな気に入ってくれますよ」

【次ページ】アマゾンの成功を支えている要因とは

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