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  • 2016/09/05

アクセルスペースとはいかなる企業か?JAXAが人工衛星開発を「丸投げ」できる理由

ビジネスモデル:人工衛星

アクセルスペースは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)人工衛星の開発・製造・運用を一括して委託する業者として選ばれた宇宙ベンチャー企業です。JAXAが衛星の設計から運用までの一連のプロセスを1社のベンチャー企業に委託するのは珍しいとされています。アクセルスペースがJAXAから高い評価を獲得した背景にあるのは、人工衛星の単なる製造にとどまらない、衛星から取得したデータを使った分析プラットフォームです。これまで取得できなかった膨大なデータで、農業・局地気象予報・都市計画など多様な産業の活性化を目指すアクセルスペースとはどのような企業でしょうか。

佐藤 隆之

佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うと共に、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」http://ctoforgood.com/を運営。

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宇宙ベンチャーのアクセルスペースとはいかなる企業か?


アクセルスペースはコスト1/100、期間1/5で人工衛星を開発する

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 従来、JAXAの人工衛星は、製造を三菱電機などの大手メーカーが行い、開発・運用はJAXAが主体となって行っていました。小型の人工衛星を用いた実証実験においては、高い技術力を持つ企業や研究機関が部品を用意し、JAXAが衛星本体を提供するという契約です。

 こうした中、人工衛星の開発・製造・運用まで全てを委託するという一大プロジェクトを受注したのがアクセルスペースです。

 アクセルスペースは東京大学・東京工業大学で生まれた超小型衛星技術をもとに2008年に設立されました。世界初の民間商用小型衛星「WNISAT-1」をはじめとした人工衛星を、圧倒的な低コストで開発しています。

 これまで政府主導で行われてきた人工衛星が民間でも開発できるようになったのは、その小型化・低価格化が理由です。アクセルスペースは、大型衛星の1/10~1/100のコスト、5~10年かかっていた開発期間も2年以内まで短縮させています。80キロほどの重量なので、都内のオフィスで製造できてしまうというのは驚きです。

アクセルスペースのビジネスモデルとは?

 アクセルスペースのビジネスモデルは、単に人工衛星を作って売るという類のものではありません。「AxelGlobe」と命名されたデータ分析プラットフォームによって、ユーザー企業は衛星画像から新たな知見を得られるようになります。人工衛星を所有せずに、必要なデータだけを解析できる「人工衛星・アズ・ア・サービス」、あるいは「宇宙ソリューションプロバイダー」というべきビジネスモデルです。

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スライド1枚で分かるアクセルスペースのビジネスモデル

 衛星画像が利用できる分野として、以下のような領域が提案されています。ユーザー企業はデータを取得し、独自の分析を行って、新たなサービス開発ができるのがメリットです。

天気:遠洋航行の補助
農業:収穫適期の把握、水・肥料の管理
林業:違法伐採の発見、森林の樹種判断
資源:プラントの監視


 AxelGlobeのプロジェクトでは、2020年までに10機、2022年までに50機の打ち上げを予定しています。50機の人工衛星が全陸地の45%を網羅し、毎日撮影される画像によって、必要な衛星データが誰でも手に入るようになるのです。

【次ページ】宇宙ビジネスはインターネットのように社会を変えるか?

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