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  • 2016/10/27

セブン&アイとH2Oの提携には「隠し玉」がある

注目は百貨店だけではない

セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)が中間期決算に合わせて「中期3ヵ年計画」と、阪急百貨店と阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー・リテイリング(以下、H2O)との資本業務提携を発表した。しかし、セブン&アイが発表した四半期純利益は60.4%の大幅最終減益。これを立て直すための中期3か年計画であり、提携の目玉も、てこ入れが必要な百貨店事業だが、両社の提携には「隠し玉」がある。そのヒントは、先週から24日にかけて発表された各業界団体のデータにも表れている。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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セブン&アイHDではコンビニ事業が圧倒的な存在感を誇る

百貨店もイトーヨーカ堂も営業赤字だった3~8月中間期

 10月6日、セブン&アイ・ホールディングスが中間期(3~8月期)決算を発表した。連結ベースで営業収益は4.3%減。営業利益は5.2%増だが、イトーヨーカ堂やそごう・西武の不採算店舗の減損処理などで特別損失を約880億円計上したため、四半期純利益は60.4%減という大幅な最終減益だった。

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セブン&アイHDの事業別業績

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 主軸のコンビニエンスストア事業(国内、海外のセブンイレブン)の営業収益は6.3%減。営業利益は5.2%増だが前年同期の11.3%増から伸び率は鈍化した。セブンイレブン・ジャパン単体では営業収益5.6%増、営業利益3.0%増で、これも前年同期と比べて伸び率が鈍化している。グループの利益をコンビニに依存する構造はますます鮮明になっているが、それは決して「黄金の柱」ではない。

 また、百貨店事業(西武・そごうなど)は営業収益2.9%減、営業損益は赤字幅が前年同期の8億円から18億円に拡大している。

 百貨店も赤字なら、大型量販店(GMS)はそれに輪をかけて赤字だ。イトーヨーカ堂の単独決算は営業収益1.7%減、営業損益は34億円の赤字だった。

 スーパーストア事業は営業収益0.8%減、営業利益は前年同期比で約7倍だが、それは既存店売上高マイナス3.3%のイトーヨーカ堂の赤字を、既存店売上高がプラスだったヨークベニマルやヨークマートなどの食品スーパーがカバーしたおかげ。イトーヨーカ堂は通期では110億円の営業赤字を見込んでいる。

構造改革で業績を立て直すセブン&アイの「中期3ヵ年計画」

 セブン&アイは鈴木敏文氏が会長職、村田紀敏氏が社長職を退き、5月の株主総会で井阪隆一氏が新社長に就任した。「100日をメドにグループの成長戦略・構造改革案を策定する」という就任記者会見での約束通り、10月6日、中間期決算と合わせて「中期3ヵ年計画」を発表した。

 その数値目標は、2020年2月期でグループの営業利益を4500億円、ROEを10%に伸ばし、イトーヨーカ堂は2020年までに40店舗を閉鎖する、というものである。

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セブン&アイ「中期3ヵ年計画」の主な内容

 「中期3ヵ年計画」では構造改革の目玉として、H2Oとの資本業務提携の基本合意書を締結したことを強調している。その目的は、「選択と集中」が必要不可欠だという経営判断に基づき、苦戦の続く百貨店事業における資源再配分の実現を図る、とある。関西地区でそごう神戸、そごう西神、西武高槻の3店舗をH2Oに譲渡し切り離す予定になっている。

 3店舗は「関西のものは関西に返せ」で、H2Oの「阪急」か「阪神」の店舗に衣替えして再生を図る。だが、「関西ドミナント戦略」を意欲的に進めるH2Oが単に「セブン&アイのリストラの受け皿」にとどまるとしたら、それはもったいない話だ。

 10月6日に発表された両社の資本業務提携で協議される内容には、H2Oの発行済株式総数の3%相当金額の株式持ちあい、関西地区の「セブンイレブン」でのH2Oの「Sポイント」の導入、両社の顧客にとってメリットのあるサービスを実現すること、が盛り込まれている。しかし、関西屈指の流通グループであるH2Oの事業には、直接的でも間接的でも、セブン&アイの業績の立て直しに貢献できそうな「隠し玉」が潜んでいる。

【次ページ】セブン&アイとH2Oの「隠し玉」とは

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