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  • 2017/03/14 掲載

知らないとヤバい「世界経済17トレンド」、トランプ政権から自動運転まで

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今、世界が動いている。孤立主義が広がり、米国ではトランプ政権が誕生し、英国は欧州連合(EU)離脱を決定した。そのほかにも、重要な選挙を控える国は多い。政治だけではない。テクノロジーの変化も目覚ましく、AIの活用が自動車産業や住宅産業でも進み、IoTという概念も普及し、目新しいものでもなくなった。さらに、宇宙産業の成長も見逃せない。今、知らないと恥ずかしい「世界経済を動かす17トレンド」をフロスト&サリバン ビジョナリー・イノベーション部門主席コンサルタントのローレン・テイラー氏が解説する。

フロスト&サリバン ローレン・テイラー

フロスト&サリバン ローレン・テイラー

フロスト&サリバン ビジョナリー・イノベーション部門主席コンサルタント。米国を拠点に、グローバル経済やビジネス、産業に大きな変化を及ぼすメガトレンドのリサーチ・分析及びコンサルティングを実施。グローバルメガトレンド、消費者ブランド、デジタルマーケティングの分野において10年以上のコンサルティング経験を持つ。

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世界経済を動かす17のトレンドを理解すれば、より広い視野でビジネを考えられるようになる
(画像:© takasu - Fotolia)



トランプ政権による世界秩序の転換

 トランプ政権の誕生により、2017年には米国と関係各国間での貿易協定や関係性など、世界秩序が大きな転換を迎えることになるでしょう。とりわけ貿易政策の見通しは不透明であり、企業はサプライチェーン展開や長期的な投資戦略の見直しを強いられることになるでしょう。米大統領選でトランプ氏が公約に掲げた北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しによる劇的な変化は起こらないと予測される一方、米国は今後アジアや欧州との同盟関係の強化を図ることが見込まれています。米大統領が行使できる権限に基づいてみると、2017年には環境政策の大きな転換や、米国のエネルギーセクターの成長、米国とアジア諸国との通商関係の強化が見られる事が予測されます。

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Brexitがもたらすグローバル経済への影響

 2016年には、英国のEU離脱というもう1つの大きな歴史的転換が見られました。英国のEU離脱プロセスは、2017年3月にも開始となる見込みです。英国とEU間の今後の関係性についてはさまざまな可能性が存在する一方で、英国のEU離脱はインフレ率の上昇やポンド安、国内総生産(GDP)減少、投資の減少などを引き起こす可能性があります。

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AIパーソナルアシスタント:市場競争の加速

 Google の人工知能(AI)アシスタント機能「Google アシスタント」のリリースや、Appleの「Siri」のMacbook搭載、Amazonの「Alexa」の製品ラインの拡大など、2016年にはAIパーソナルアシスタント市場の掌握を目指す企業間の競争が見られました。2017年には各社がAIパーソナルアシスタントのデバイスや活用例、普及拡大に向けた戦略を実行し、自社の強みを活かした製品展開の実行が進み、この市場での競争がさらに加速していくことが予測されます。

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孤立主義の世界的な拡大

 トランプ新政権による通商政策の転換や英国のEU離脱、アジアにおける指導者交代といった大きな政治的変化は、孤立主義が今後世界的に進んでいく傾向を示唆すると同時に、2017年以降の貿易政策や移民政策にも重大な変化を及ぼすことが予測されます。2016年のイタリアでの国民投票の実施に続き、2017年にはフランスとドイツでも総選挙が予定されています。2017年以降、これまで政治とは分離されていた事柄が、正当性や合法性といった観点から投票による審査がなされる時代へと突入することが予想されます。これまで少数派だった人びとの台頭によって、孤立主義が世界的に拡大していく時代に突入することになるでしょう。

レベル3の自動運転車の誕生

 2017年には、システムが基本的な運転操作を行う条件付き自動運転「レベル3」の自動運転車の市場投入が見込まれています。2017年以降、データを駆使した自動運転技術がもたらす新たな変化に注目すべきでしょう。2017年は、本格的な自動運転技術の導入開始、プリクラッシュセーフティへの対応、法整備、データ標準化活動など、将来の自動車業界を形成する重要な変化点となるでしょう。関連するマーケットに注目すると、テクノロジーベンダーが開発したソフトウェアやSoC(機能統合型半導体チップ)が、自動車産業のバリューチェーンにおいてさらにその重要性を増すと見られます。自動車の価値が、ソフトウェアにも大きく左右される時代に進んでいくことが予想されます。

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スマートホームからコネクテッドリビングへの進化

 2016年は、Appleの「HomeKit」のiPhone対応や、Googleの「Google Home」のリリース、Amazonの「Amazon Echo」など、スマートホームを象徴するAIアシスタントデバイスが躍進し、スマートホームデバイスの浸透がさらに進んだ年でした。この様なAIアシスタントデバイスの進化によって、家の中のあらゆるモノをつなげる「スマートホーム」のコンセプトから、今後は車や職場などの家の外でも様々なモノがつながった「コネクテッドリビング」の世界の実現へと進化していくことが予想されます。この様な機能を展開する企業間のパートナーシップの構築は短期的なものとなる一方、各企業が開発したAI機能の独自性や強みが、コネクテッドリビング市場における勝利を左右することになるでしょう。「Amazon Echo」は短期的なスパンでの市場の優位性を持つ一方で、2017年には「Google Home」や「HomeKit」といったデバイスのさらなる進化が期待されます。

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「コグニティブ」がスマート化時代の新たなキーワードに

 2017年は、「コグニティブ」がスマート化時代の新たなキーワードとなるでしょう。メーターや照明、電子機器などのシンプルなスマートデバイスでも、知覚や状況認識に加えて、複雑な機能も提供するAI機能が搭載されています。人と同じように情報から学んで経験から学習するコグニティブ・テクノロジーは、ヒトの頭脳をモデルにした自己学習機能を活用することで、この様な進化を実現しています。2017年に先を見据えた企業は、コグニティブ・テクノロジーを活用した製品やソリューションの展開を進めていくでしょう。

IoTネットワーク・インダストリアルIoTの導入拡大

 2017年には、IoT(Internet of Things)ネットワークを利用したスマートサービスの導入拡大が期待され、新たな無線通信技術のLPWAネットワーク(Low Power Wide Area Network:LPWAN)が、IoTの活用をさらに促進していくことが予測されます。LPWANはインターネットを通じた新たなコネクティビティを生み出し、エネルギー管理やゴミ収集管理、物流、交通、セキュリティサービス、農業といった分野において、新たなスマートサービスを生み出していくことが期待されます。

 また、2016年のさまざまな産業用IoTの誕生に続き、2017年にはさらに多くの企業がこの市場に参入し、利益幅の減少やセグメントの細分化が進んでいくことが予測されます。インダストリアルIoTの市場参加者は自社独自のエコシステムの開発を進めており、市場におけるポジショニングの確立やパートナーシップの締結が2017年に進んでいくでしょう。2017年以降には、産業レベルにおけるAndroidとAppleの「iOS」との競争が見られることが予測されます。

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【次ページ】宇宙ビジネス、AR、DaaS、ハラール経済、ドローンはどうなる?

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