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  • 2017/10/27

社会課題を解決するアイデアが激突、マネージャーの生産性向上と農業ロボットが受賞

第3回MVPアワード

社会の課題を解決するためのアイデア事業化コンテスト「MVPアワード」が開催された。名称に「MVP」(Minimum Viable Product)とあるように、実用可能な最小範囲でのプロダクトやサービスについて、アイデアの課題・ニーズに対する仮説を立て、その実現性を検証するものだ。当日は審査員が最終選考に残った5つのアイデアの社会貢献性や、今後の事業発展性などを中心に審査。ここでは最終選考の模様をお伝えする。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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「第3回MVPアワード」のテーマは「テクノロジーで『社会の課題』を解決する」というものだった。

ソーシャルキャピタルによって、自律的ビジネスを創出する

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 10月12日に行われた第3回MVPアワードのテーマは「テクノロジーで『社会の課題』を解決する」というもの。全123件の応募から、最終的に5件のアイデアが選ばれた。残念ながら審査の結果、今回のコンテストでは最優秀賞は出なかったが、フリーランスエンジニアの石田勝信氏が提案した「KaizenNote」が優秀賞を獲得。また実験工房「FabLab Setouchi β」を運営している三木裕紀氏の「自産地消Bot」も特別賞に選ばれ、各人には50万円と30万円の賞金が授与された。

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第3回MVPアワード受賞式。審査員代表のSBメディアホールディングス 代表取締役社長 土橋康成氏(左)と優秀賞の石田勝信氏(右)

 まずは、惜しくも受賞は逃したものの、最終選考に残った3名のプレゼンテーションに簡単に触れ、その後受賞アイデアの詳細を紹介する。

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ビデオ会議システムを提供するウェブシェアの山崎邦夫氏。「Webセミナー@シェアによるソーシャルキャピタル創生」を提案。
 長野県のウェブシェアにて、ビデオ会議システムを提供する山崎邦夫氏は、「Webセミナー@シェアによるソーシャルキャピタル創生」をテーマに発表した。

 リアルなセミナーでは、同じ目的の人々が集まっても、イベントが終われば散ってしまう。そこで名刺交換の広場とWebセミナーにより、参加者間で交流をはかり、ビジネスコミュニティをつくろうというアイデアだ。

 仲間が集まり、互いに共通課題の解決例を示しつつ、よりよいビジネスに発展させるソーシャルキャピタル(社会・地域における人々の信頼関係や結びつき)の仕組みを構築する。

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名刺交換の広場とWebセミナーで人材交流の場をつくり、ビジネスの自律成長型・課題解決サービスモデルを構築する

 山崎氏は「Webセミナーなので、どこでも参加でき、交通費もかからず、同じ課題を抱える人々とつながりを持てる。まず我々の在宅介護・遠隔医療ソリューションの延長で展開し、認知症予防のためのソーシャルキャピタルを創生したい」と意気込みを語った。

他チームの状況をチャットbotで見える化する

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エンジニアの小幡洋一氏は、プロジェクトの進捗状況を俯瞰できるサービス「pickupon」を提案。
 エンジニアの小幡洋一氏は、チャットbotを利用し、チームのプロジェクトの状況を自動でマッピングするサービス「pickupon」を紹介した。

 これまではプロジェクトの進捗を把握するために、マネージャーに大きな負担がかかっていた。自分が担当するチームの状況は把握しやすいが、異なるチームの状況は見えづらい。そのためマネージャーが、いちいち相手チームに行って、情報を仕入れ、苦労しながら自分のチームに情報を共有していた。

「そこでビジネスチャットbotを利用して、チームごとの忙しさ、業務の詰まり具合といった情報を効率的に集め、チームの状況がわかるサマリーマップをリアルタイムに自動生成する仕組みを考えました。全体を一望し、横断的に情報を共有できる工夫を凝らしました。MVPを作成してUIのテストを行って、インタビューも実施しました」(小幡氏)

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ビジネスチャットから情報を集めたり、時にはbotが状況を訊ねる。それらの情報をマップとしてリアルタイムに自動生成。

 pickuponの目的は、あたかも鳥の目のように状況を俯瞰し、最終的にフラットな組織をつくることだ。ビジネスモデルは、フリーミアム・広告ミックスモデルとし、プレミアムのときだけは有料にするという。

「ビジネスチャットや自然言語処理・機械学習などの技術が普及し、GPSやIoT機器もコモディティ化してきました。ようやくアイデアの機が熟したと考えています。今後はGPSの位置情報も取り入れていきたいですね」(小幡氏)

IoTを利用した食材残量自動管理サービスで、食材の無駄をなくす

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IoT関連会社の代表を務める荻原裕氏は、得意なIoTを利用した食材残量自動管理サービスを提案した。
 食材残量自動管理サービス「TANAORO」を提案したのは、IoT関連の開発会社の代表を務める荻原裕氏だ。

 現在、飲食業界では調味料や酒の残量を目分量で管理し、発注などの業務を手作業で行っている。単にマンパワーでカバーしているだけで、有効な対策をとっているわけではない。そこで同氏は、得意のIoT技術で飲料や食材などの残量を可視化する仕組みを考えた。

「ポイントは既存容器にセンサーを後付けし、食材の残量などをスマホやPCに表示させること。これにより残量チェック時間が減り、人件費が削減されます。またロス率の可視化により、オーバーポーション(メニューに対する基準よりも多い量を使用すること)も抑えられ、コスト削減につながります」(荻原氏)

 使用センサーのプロトタイプとして、非接触液体センサーや加速度センサー、光距離センサーなどを用意している。また他にはないオリジナルな技術として、フィルム型近接センサーによる液体の非接触検知を考えているという。

 ヒアリングを実施した結果、約7割が食材残量管理に課題があり、大手チェーン店でのニーズがあることが判明。さらにMVP後にソリューションを絞り込み、飲料と調味料管理に特化させた。開封前の在庫管理をRFIDで対応し、開封後のロス率を非接触液体センサーで管理するモデルとし、飲食チェーンや高級店をターゲットにするという。

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MVP後に改良したビジネスモデル。取得した残量データを在庫管理システムと連動させ、システム利用料や残量データAPI利用料などを徴収。

 同氏は「さまざまな材料データをリアルタイムに管理するIoTプラットフォームを提供し、新サービスの創造を促進していく。飲食店の店長さんたちの心配ごとを減らしたい」とアピールした。

【次ページ】優秀賞、特別賞を受賞したMVPは?

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