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  • 2015/02/17

長谷工の事業開発にみる、大企業の新規事業を成功に導く6つのポイント

マンション建設では、40年以上にわたって業界首位の座に君臨する長谷工コーポレーション。現在、同事業に次ぐ第二の基幹事業を育てるべく、住宅関連サービスの新規事業開発に積極的に取り組んでいる。その一翼を担っているのが長谷工アネシスだ。大企業では新規事業とはいえ、100億単位の市場規模が求められる。そのような新規事業をどう開発していけばよいのか。長谷工アネシス 常務執行役員の松﨑篤氏が同社での取り組みを基に、新規事業開発のツボを明かした。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

3つの新規事業で手応え

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長谷工アネシス
常務執行役員
松﨑 篤 氏
 準大手ゼネコンの長谷工コーポレーション。1978年から現在までの分譲マンションの施工実績は累計56万戸にも上り、マンション建設では業界首位の座を40年以上もキープしている。

 1月26日から27日にかけて開催された新規顧客創出フェアに登壇した松﨑氏は「経営の教科書では、一つのビジネスモデルが続くのは10年、長くても30年と言われている。当社のように40年以上も1つのビジネスモデルが続いているのは異例のこと。しかも2番手以降がまったく追随できないビジネスモデルを築いてきた。なぜ、それが可能なのか。実はここに新規事業開発のヒントがあった」と明かす。

 今回、松﨑氏が語った新規事業開発のコツは、同社がこれまで新規事業開発を実践してきたことの中から抽出してきたもの。長谷工では現在、住宅関連サービスの新規事業を数多く立ち上げている。マンション向け電力供給事業や不用品のリサイクル事業、マンションインターネット設備導入事業はその一例だ。

 マンション向け電力供給事業とは、電力単価の安い高圧電力を地域の電力会社から一括購入し、マンション内に設置した変電設備で低圧に変換してマンション内の各家庭に供給するという事業で2012年から実施している。現在、長谷工グループの設計・施工する新築マンションでは標準装備となっており、「家庭向け市場の自由化を先取りしたサービス」とも言える。これにより長谷工マンションの家庭はより安い料金で電気を使用できるようになっているという。

 不用品リサイクル事業とは、引っ越しなどで出た不用品や使わなくなった家具・家電などを引き取る事業で、2004年から実施している。総戸数200戸以上のマンションでは、希望によって不用品買取フェアを開催し、それら買い取った不用品は郊外の長谷工直営リサイクルショップで販売する。モノの循環システムを推進する事業である。「マンションの住民にも非常に喜ばれている」(松﨑氏)。

 マンションインターネット設備導入事業はその名の通り、マンションの管理室などにHUBを設け、マンション内LANを構築、各家庭にインターネットサービスを提供するという事業だ。これは2000年から実施しており、電力供給事業同様、長谷工のマンションでは標準装備となっている。

大企業にとって新規事業開発は有利とは言えない

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 もちろん、このように成功した事例だけではない。松﨑氏は「その他提案しても否決されたり、実施後撤退したケースなどもたくさんある」と明かし、「新規事業開発は必ずしも大企業が有利というわけではない」と指摘する。

 なぜ大企業が有利とは言えないのか。これは松﨑氏自身が体験したことでもある。インターネットが立ち上がった1995年、「これからはインターネットビジネスだ」と思った松﨑氏は役員会で提案したという。しかしその提案は否決された。その理由は「当時の役員陣にはインターネットそのものがよく理解できないから」だったそうだ。

 一方、この時期にインターネットビジネスを立ち上げたヤフー(1996年設立)や楽天(1997年設立)は、現在、大きな成功を遂げている。「新規事業はむしろベンチャー向き事業が多い。大企業は必ずしも有利ではない」と言うのである。もちろん、松﨑氏が今推進している電力供給事業のように何十億円もの資金および相当数の社員が必要になる事業は、大企業だからこそできるわけで、要は大企業が有利な事業とベンチャーが得意な事業は違うということである。

 また日本の企業経営の歴史を振り返ってみれば「企業は基本的にワンビジネスモデル」と言わざるをえないとも。つまり今現在「大企業」として存在している企業は、過去に社会全体で無数に試行されたビジネスモデルの中で、たまたま当たって生き残った。その企業が、今のビジネスを乗り越えられるような規模の新規事業を模索する行為は、いわば「スロットマシンで初日は偶然に、二日目は意図して、二晩連続777を出す」ようなもの。かように「そもそも不可能に挑戦している」という認識が経営者に必要と言う。

【次ページ】新規事業を立ち上げる際、検討すべき6つの観点

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